パリのシャルル・ドゴール空港内に美術館が誕生したというニュース。

亭主は膝を打って喜びました。
朝一番のフライトから最終フライトまでオープンしているこの「ミュージアム・スペース」には、ターミナル「2E」を使用する搭乗客ならば全員無料で入場できる。開館記念展では彫刻家オーギュスト・ロダン(Auguste Rodin)の「考える人」や「接吻」などロダン美術館(Rodin Museum)の作品約50点が展示されています。

ずいぶん昔ですが、何かの事情(飛行機便の遅れ)であの空港の待合室に8時間なすこともなくいたことがある。
持っていった本は読みつくし、新聞は読めない(語学できないので)。雑誌もぱらぱら写真を眺めるだけ、いや参りましたね。
誰でも空港での待ち時間でうんざりしたことがあるでしょう。
そんなとき、無料のミュージアム・スペースがあったらどんなにいいことか。

「駅は旅人が美しくみえなければならない」

師匠の植田実先生の名言です。
その言葉にふさわしい「駅」がどのくらいあるでしょうか。
東京駅にはレンガの東京ステーションギャラリーがあるけれど(有料)、羽田や成田にもぜひ美術館をつくってほしいですね。
日本の美術館はそれぞれ特色のあるコレクションを持っている。大きな美術館では膨大なコレクションをいつも展示できるわけではない、「出張美術館」はいいアイデアだと思うんですが・・

空港と駅とくればサム・フランシスですね。
パイロットとして第二次世界大戦中に飛行機事故で負傷し、病床生活をおくる中で絵を描き始めたというエピソードは有名。カリフォルニア大学に復学し、絵画と美術史を学び、1950年パリに渡って抽象画家として認められ、1957年世界旅行中に初めて日本を訪れました。以後の作品には余白を生かした画面構成、「にじみ」の効果を生かした表現方法が出現し、日本美術の影響が見られます。パリ、ニューヨーク、東京のスタジオを行き来しながら、鮮やかな色彩がほとばしる独特の作品を創作し続けたサムは、勅使河原蒼風、大江健三郎、大岡信、小山富士夫、宮脇愛子磯崎新ら多くの日本人と交友。出光興産社主であり、東洋古美術のコレクターとして知られた出光佐三は、フランシスのコレクターとしても知られ出光美術館には多くの作品が収蔵されています。ちょうど今出光美術館(門司)でサム・フランシスの大型作品がロビーに展示中。

画廊コレクションからサム・フランシスのリトグラフをご紹介します。
サム
サム・フランシス
コンポジション・黒
1972年  リトグラフ
Ed.8(6/8)
signed *南画廊シール添付

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