今週末6月22日[土]まで開催している「6月の画廊コレクション展~9人の作家たち」はときの忘れものが期待する若い世代9人の作品展です。
コレクション展とは銘打ちましたが、新作もあり、新登場の作家もいます。
9人からは近況報告をかねた皆さんへのメッセージをいただいています。
本日は、ときの忘れものには珍しいインスタレーション系の作家・若宮綾子さんです。
若宮さんは布(トリコット)や柔らかな素材でつくった立体作品をインスタレーション的に展示することによって、独特の浮遊感溢れる空間を生み出しています。作家自身のエッセイもぜひお読みください。



"ischium"
2010年 スタイロフォーム、トリコット(布)
H12.0×W38.0×D14.0cm Signed

"mekuru2"
2010年 スタイロフォーム、トリコット(布)
H23.0×W15.0×D6.0cm Signed

"mekuru3"
2010年 スタイロフォーム、トリコット(布)
H24.0×W17.0×D6.0cm Signed

"untitled"
2010年 スタイロフォーム、トリコット(布)
H12.0×W8.0×D4.0cm Signed

"untitled"
2010年 スタイロフォーム、トリコット(布)
H200.0×W20.0×D7.0cm Signed
-------------------------------
『トリコロール2010』に参加させていただいてから、早いもので3年がたとうとしています。
その後4回ほど新作を発表いたしました。
その間には震災があり、私自身の中にもさまざまな変化がありました。そんな変化の中で感じた事を、作品に織り込み乍ら制作しています。私にとって、最も身近に変化が感じられるのは、家族との関係性です。家族とは、社会の中で一番小規模なコミニュティで、そこから見えてくる事に、私は興味があり制作の軸となっています。
そんな家族と過ごす場所として家屋には「居間」という場所があります。
家の中には寝る為の部屋「寝室」、食事を作る部屋「台所」など、それぞれ目的がはっきりとした部屋がありますが、「居間」だけは目的が定まりません。。。ただ、そこに私や家族が存在して、たわいもない時間を綴って行く空間なのです。
その「居間」を英訳すると『 Living room、、、生きる為の部屋』というところでしょうか。
その目的の定まらない時間や空間から、美しいと思えるものが生まれてくるのではないかと考えています。
2010年以降の作品です。
「ただいま」

「ただいま帰りました〜」のただいまです。
「ただいま」とは「ただ、今、私はここに居ます」という挨拶のひとつです。そのあたり前の挨拶で、居間の静まった空気が震え、死んでいた空間に人が存在することにより、生き生き空気が動き始める有り様を作品にしてみたいと思いました。
「うつわ」


この年の3月11日に起きた出来事で感じた事を形にしました。
その時の作品メモを見てみます。
華やかな街の明かりは力を失い、次から次へと来る急行電車は姿を消し、突然現れた街の静けさは、人々の不安と動揺を表しているかの様だ。
人は想像も出来ない程のアクシデントに遭遇した時、それを受け入れられない自分がいるものだ。今にも自身が壊れてしまいそうな不安を、淡々と受け入れていく【人々が持つうつわ】の逞しさ。逞しいとは優しく美しいこと。美しい形とは、大自然の歴史の畝りから、足下に落ちている小さな日常に至るすべてを受け入れ、そして支える『どこか頼りないが逞しいうつわ』なのではないか。。。。
「答えるえるより聞く事が多くなっていた」


この数年、子供の成長につれ、母として生活するより、アトリエで自身を考える時間が増えた様に思います。
「どうして?」「これは何?」と答えを求めていた子は自身で歩く方向を考え始めた様です。と同時に「この字、何て読むんだっけ?」と親の方から教えてもらう事が多くなりました。
居間に何気なくおかれているものの関係性や空気を私と娘との関係で考えた作品です。

平面作品の時に試みていた『絵の具を重ねる時間を表すという事』を、近年の『何色もの薄い布を重ねて造るスタイル』をもう一度見直し、一刀一刀石粉粘土を彫って形を作って行くことで『積み重なる日常という時間』が現れないかと試みました。
その上から油絵の具で何層か着彩しています。
ここ十数年扱っていた薄い布を使わずに、作品を造る事は、少々勇気のいることでした。しかし自分に正直に向かい合ってみた結果なので、受け止めるしかありません。
この度、旧作を展示して下さることとなり、昔の作品と客観的に向き合うチャンスをいただき嬉しく思います。と同時に、次への制作のステップになれればいいな、と感じています。
(わかみや あやこ)
◆ときの忘れものは、2013年6月7日[金]―6月22日[土]「6月の画廊コレクション展~9人の作家たち」を開催しています(※日・月・祝日休廊)
上段左から:
秋葉シスイ、渡辺貴子、永井桃子
中段左から:
君島彩子、宇田義久、光嶋裕介
下段左から:
根岸文子、若宮綾子、野口琢郎
ときの忘れものが期待する若い世代の作家9名による作品展です。
平面、立体、技法や素材もさまざまな現代作家の多彩な表現をご堪能ください。
●光嶋裕介さんからのメッセージはコチラ。
●宇田義久さんからのメッセージはコチラ。
●渡辺貴子さんからのメッセージはコチラ。
●野口琢郎さんからのメッセージはコチラ。
●根岸文子さんからのメッセージはコチラ。
●君島彩子さんからのメッセージはコチラ。
●永井桃子さんからのメッセージはコチラ。
●若宮綾子さんからのメッセージはコチラ。
●秋葉シスイさんからのメッセージはコチラ。
コレクション展とは銘打ちましたが、新作もあり、新登場の作家もいます。
9人からは近況報告をかねた皆さんへのメッセージをいただいています。
本日は、ときの忘れものには珍しいインスタレーション系の作家・若宮綾子さんです。
若宮さんは布(トリコット)や柔らかな素材でつくった立体作品をインスタレーション的に展示することによって、独特の浮遊感溢れる空間を生み出しています。作家自身のエッセイもぜひお読みください。



"ischium"
2010年 スタイロフォーム、トリコット(布)
H12.0×W38.0×D14.0cm Signed

"mekuru2"
2010年 スタイロフォーム、トリコット(布)
H23.0×W15.0×D6.0cm Signed

"mekuru3"
2010年 スタイロフォーム、トリコット(布)
H24.0×W17.0×D6.0cm Signed

"untitled"
2010年 スタイロフォーム、トリコット(布)
H12.0×W8.0×D4.0cm Signed

"untitled"
2010年 スタイロフォーム、トリコット(布)
H200.0×W20.0×D7.0cm Signed
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『トリコロール2010』に参加させていただいてから、早いもので3年がたとうとしています。
その後4回ほど新作を発表いたしました。
その間には震災があり、私自身の中にもさまざまな変化がありました。そんな変化の中で感じた事を、作品に織り込み乍ら制作しています。私にとって、最も身近に変化が感じられるのは、家族との関係性です。家族とは、社会の中で一番小規模なコミニュティで、そこから見えてくる事に、私は興味があり制作の軸となっています。
そんな家族と過ごす場所として家屋には「居間」という場所があります。
家の中には寝る為の部屋「寝室」、食事を作る部屋「台所」など、それぞれ目的がはっきりとした部屋がありますが、「居間」だけは目的が定まりません。。。ただ、そこに私や家族が存在して、たわいもない時間を綴って行く空間なのです。
その「居間」を英訳すると『 Living room、、、生きる為の部屋』というところでしょうか。
その目的の定まらない時間や空間から、美しいと思えるものが生まれてくるのではないかと考えています。
2010年以降の作品です。
「ただいま」

「ただいま帰りました〜」のただいまです。
「ただいま」とは「ただ、今、私はここに居ます」という挨拶のひとつです。そのあたり前の挨拶で、居間の静まった空気が震え、死んでいた空間に人が存在することにより、生き生き空気が動き始める有り様を作品にしてみたいと思いました。
「うつわ」


この年の3月11日に起きた出来事で感じた事を形にしました。
その時の作品メモを見てみます。
華やかな街の明かりは力を失い、次から次へと来る急行電車は姿を消し、突然現れた街の静けさは、人々の不安と動揺を表しているかの様だ。
人は想像も出来ない程のアクシデントに遭遇した時、それを受け入れられない自分がいるものだ。今にも自身が壊れてしまいそうな不安を、淡々と受け入れていく【人々が持つうつわ】の逞しさ。逞しいとは優しく美しいこと。美しい形とは、大自然の歴史の畝りから、足下に落ちている小さな日常に至るすべてを受け入れ、そして支える『どこか頼りないが逞しいうつわ』なのではないか。。。。
「答えるえるより聞く事が多くなっていた」


この数年、子供の成長につれ、母として生活するより、アトリエで自身を考える時間が増えた様に思います。
「どうして?」「これは何?」と答えを求めていた子は自身で歩く方向を考え始めた様です。と同時に「この字、何て読むんだっけ?」と親の方から教えてもらう事が多くなりました。
居間に何気なくおかれているものの関係性や空気を私と娘との関係で考えた作品です。

平面作品の時に試みていた『絵の具を重ねる時間を表すという事』を、近年の『何色もの薄い布を重ねて造るスタイル』をもう一度見直し、一刀一刀石粉粘土を彫って形を作って行くことで『積み重なる日常という時間』が現れないかと試みました。
その上から油絵の具で何層か着彩しています。
ここ十数年扱っていた薄い布を使わずに、作品を造る事は、少々勇気のいることでした。しかし自分に正直に向かい合ってみた結果なので、受け止めるしかありません。
この度、旧作を展示して下さることとなり、昔の作品と客観的に向き合うチャンスをいただき嬉しく思います。と同時に、次への制作のステップになれればいいな、と感じています。
(わかみや あやこ)
◆ときの忘れものは、2013年6月7日[金]―6月22日[土]「6月の画廊コレクション展~9人の作家たち」を開催しています(※日・月・祝日休廊)
上段左から:秋葉シスイ、渡辺貴子、永井桃子
中段左から:
君島彩子、宇田義久、光嶋裕介
下段左から:
根岸文子、若宮綾子、野口琢郎
ときの忘れものが期待する若い世代の作家9名による作品展です。
平面、立体、技法や素材もさまざまな現代作家の多彩な表現をご堪能ください。
●光嶋裕介さんからのメッセージはコチラ。
●宇田義久さんからのメッセージはコチラ。
●渡辺貴子さんからのメッセージはコチラ。
●野口琢郎さんからのメッセージはコチラ。
●根岸文子さんからのメッセージはコチラ。
●君島彩子さんからのメッセージはコチラ。
●永井桃子さんからのメッセージはコチラ。
●若宮綾子さんからのメッセージはコチラ。
●秋葉シスイさんからのメッセージはコチラ。
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