『瑛九』を待ちながら
瀧口修造(詩人・美術評論家)
何事も平均化され、うやむやにされがちな現状にとって、山田光春氏の多年にわたる瑛九探求が『瑛九』として刊行されることはうれしい。瑛九の周辺に熱い友情と支持のサークルがあることも注目してよいことだが、本書はそうした地層の結実であるのみならず、ひとりの芸術家の生死についての記録の集成に異例な情熱を傾けてきた山田氏の瑛九論はおそらく世上の跳ね返った天才芸術論ではなく、私たちにはまだ身近な存在であり、決して鬼面人を驚かす謳い文句つきの画家に陥らぬものをもち、しかも彼を絶えず動かしつづけながら倒れた人間像の在りかを身近かに示してくれるはずである。ふたたび「やあ」といってふと訪ねてくれる瑛九を想うとき、少くとも私にはこの本からあらたに学びたい多くのものがあるはずである。
山田光春著『瑛九』内容見本(青龍洞 1976年6月)
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瑛九の会機関誌『眠りの理由』には瑛九の友人で画家の山田光春による瑛九伝が連載された。後に加筆修正したものが1976年に宮崎の青龍洞から刊行され、内容見本に瀧口が推薦文を執筆した。
山田光春著『瑛九 評伝と作品』
1976年 青龍洞 480頁
山田光春が全国をまわり資料・作品を蒐集調査、克明に瑛九の生涯を追った伝記。
瀧口修造が瑛九について書いた7つのテキストを、ご遺族のご許可をいただいて、このブログで順次再録しています。「土渕信彦のエッセイ~瀧口修造の箱舟」とあわせ、お読みください。
●「瑛九へ」『ノートから、1951』/』『コレクション 瀧口修造 4』所収
●「瑛九のエッチング」『美術手帖』No.74 1953年10月号 美術出版社
●「瑛九のフォート・デッサン」『瑛九 フォート・デッサン展』図録 1955年1月 日本橋・高島屋
●「ひとつの軌跡 瑛九をいたむ」『美術手帖』1960年5月号
●「通りすぎるもの……」1966年4月 瑛九の会機関誌『眠りの理由』創刊号
●「『瑛九』を待ちながら」山田光春著『瑛九』内容見本 1976年6月 青龍洞
●「瑛九の訪れ」『現代美術の父 瑛九展』図録 1979年6月 小田急グランドギャラリー(瑛九展開催委員会主催)
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「第24回瑛九展 瑛九と瀧口修造」は本日が最終日です。19時まで開廊していますので、ご来廊ください。
本展の出品作品から初期フォトデッサン「面影」と、晩年の水彩「朝」をご紹介します。

瑛九《面影》
1936年
フォトデッサン
イメージサイズ:29.0x22.6cm
シートサイズ:30.2x25.0cm
作品裏面に都夫人の署名あり
※『瑛九作品集』(日本経済新聞社、1997年)140ページ所収

瑛九《朝》
1958年
紙に水彩
33.0×25.0cm
サイン・年記あり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
◆ときの忘れものは2013年10月26日[土]―11月2日[土]「第24回瑛九展 瑛九と瀧口修造」を開催しています(※会期中無休)。

瑛九のよき理解者であった瀧口修造との関係にスポットをあてます。瑛九の油彩、水彩、フォトデッサン、版画とともに、瀧口修造のデカルコマニーや瀧口の詩による版画集『スフィンクス』を展示します。
瀧口修造(詩人・美術評論家)
何事も平均化され、うやむやにされがちな現状にとって、山田光春氏の多年にわたる瑛九探求が『瑛九』として刊行されることはうれしい。瑛九の周辺に熱い友情と支持のサークルがあることも注目してよいことだが、本書はそうした地層の結実であるのみならず、ひとりの芸術家の生死についての記録の集成に異例な情熱を傾けてきた山田氏の瑛九論はおそらく世上の跳ね返った天才芸術論ではなく、私たちにはまだ身近な存在であり、決して鬼面人を驚かす謳い文句つきの画家に陥らぬものをもち、しかも彼を絶えず動かしつづけながら倒れた人間像の在りかを身近かに示してくれるはずである。ふたたび「やあ」といってふと訪ねてくれる瑛九を想うとき、少くとも私にはこの本からあらたに学びたい多くのものがあるはずである。
山田光春著『瑛九』内容見本(青龍洞 1976年6月)
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瑛九の会機関誌『眠りの理由』には瑛九の友人で画家の山田光春による瑛九伝が連載された。後に加筆修正したものが1976年に宮崎の青龍洞から刊行され、内容見本に瀧口が推薦文を執筆した。
山田光春著『瑛九 評伝と作品』1976年 青龍洞 480頁
山田光春が全国をまわり資料・作品を蒐集調査、克明に瑛九の生涯を追った伝記。
瀧口修造が瑛九について書いた7つのテキストを、ご遺族のご許可をいただいて、このブログで順次再録しています。「土渕信彦のエッセイ~瀧口修造の箱舟」とあわせ、お読みください。
●「瑛九へ」『ノートから、1951』/』『コレクション 瀧口修造 4』所収
●「瑛九のエッチング」『美術手帖』No.74 1953年10月号 美術出版社
●「瑛九のフォート・デッサン」『瑛九 フォート・デッサン展』図録 1955年1月 日本橋・高島屋
●「ひとつの軌跡 瑛九をいたむ」『美術手帖』1960年5月号
●「通りすぎるもの……」1966年4月 瑛九の会機関誌『眠りの理由』創刊号
●「『瑛九』を待ちながら」山田光春著『瑛九』内容見本 1976年6月 青龍洞
●「瑛九の訪れ」『現代美術の父 瑛九展』図録 1979年6月 小田急グランドギャラリー(瑛九展開催委員会主催)
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「第24回瑛九展 瑛九と瀧口修造」は本日が最終日です。19時まで開廊していますので、ご来廊ください。
本展の出品作品から初期フォトデッサン「面影」と、晩年の水彩「朝」をご紹介します。

瑛九《面影》
1936年
フォトデッサン
イメージサイズ:29.0x22.6cm
シートサイズ:30.2x25.0cm
作品裏面に都夫人の署名あり
※『瑛九作品集』(日本経済新聞社、1997年)140ページ所収

瑛九《朝》
1958年
紙に水彩
33.0×25.0cm
サイン・年記あり
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◆ときの忘れものは2013年10月26日[土]―11月2日[土]「第24回瑛九展 瑛九と瀧口修造」を開催しています(※会期中無休)。

瑛九のよき理解者であった瀧口修造との関係にスポットをあてます。瑛九の油彩、水彩、フォトデッサン、版画とともに、瀧口修造のデカルコマニーや瀧口の詩による版画集『スフィンクス』を展示します。
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