スタッフSの海外ネットサーフィン No.14 「Wedding Dresses 1775-2014」

Victoria & Albert Museum


まだ七月も終わっていないというのに、連日蒸篭で調理される肉まんのような気がしてくる天気が続く中、皆様いかがお過ごしでしょうか? 冷房費を浮かせるため、休日は本屋と古本屋と図書館巡りが定着しつつあるスタッフSこと新澤です。ちなみに自分は肉まんなら大阪名物551蓬莱がイチオシです。先日のART OSAKA 2014でもお昼ご飯に美味しくいただきました。

露骨なステマはさておき、前回は新世紀に開館したTate Modernを話題にしましたが、テムズ川沿いにはもう一つ、2000年を記念したランドマークとしてロンドンアイがございます。建設当時は世界最大級の観覧車として多いに衆目を集め、テムズ川の上で建設され、完成後にクレーンで河岸に釣り上げられる建築方法などで何かと話題になりました。自分も乗ってみたいとは常々思ってはいたのですが、全面ガラスのカプセルは空調が貧弱で、夏はサウナで冬は冷蔵庫、おまけに一度乗ったら30分は逃げ場なし!という評判に腰が引けてしまい、結局乗ることはありませんでした。

ここ最近の定番ですが、ここまでの話は今回の展覧会の紹介には「全く」関係ありません。

さて、お約束を消化したした所で今回の展覧会場のご紹介をば。大英博物館ナショナルギャラリーテートモダン等に比べるとやや地味な印象がありますが、その実決して引けを取らない、その名も「ヴィクトリア&アルバート博物館 (Victoria & Albert Museum)」です。

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ロンドンのケンジントンに居を構え、現代美術・各国の古美術・工芸・デザインなど多岐にわたる400万点の膨大なコレクションを誇る国立博物館です。ヴィクトリア女王(1819-1901年)とアルバート公(1819-1861年)が基礎を築いたことから二人の名を冠しており、「V&A」の略称で親しまれています。博物館の歴史は1851年のロンドン万国博覧会まで遡り、その収益や展示品をもとに、1852年に産業博物館として開館しました。1857年に現在の立地であるサウス・ケンジントンに移転し、「サウス・ケンジントン博物館」と名を改めます。元々はヴィクトリア朝の産業・技術の発展を背景に、イギリスの工芸品やインダストリアルデザインの質を高め、工業の振興を図るための博物館として構想されており、製造業の労働者たちにデザインの重要性を啓蒙する教育機関を目指していたため、当初入場料は徴収しなかったそうです。1899年に名を「ヴィクトリア&アルバート博物館」と改称し、1909年に現在の建物が竣工しました。なお、建物西側には第二次世界大戦当時、ナチス・ドイツ軍の爆弾が落下・爆発した事による多数の傷が壁面に修復されずに残っており、大戦の記憶を今日に伝えています。

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そんな歴史ある博物館で、今年の5月3日から来年の3月15日まで開催されているのが「Wedding Dresses 1775-2014」。女性にとっては永遠の夢、男性にとっては終身刑の通達書である所のウェディングドレス、その200年の歴史を実物と共に辿るという、最古から最新までを網羅した中々に見ごたえがありそうな企画展です。

20140726_VaA1Silk satin wedding dress, designed by Norman Hartnell, 1933, given and worn by Margaret, Duchess of Argyll. c Victoria and Albert Museum, London

展示されているドレスのデザイナーにはチャールズ・フレドリック・ワース(Charles Frederick Worth/後のシャルル ・フレデリック・ ウォルト)、ノーマン・ハートネル(Norman Hartnell)、チャールズ・ジェームス(Charles James)、ジョン・ガリアーノ(John Galliano)、クリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)、ビビアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)やベラ・ウォン(Vera Wang)が名を連ねており、純白の花嫁衣裳がどのような変遷を経て今日の形を成したのかを見ることができます。

独り身で行っても罰ゲームにしかなりそうにありませんが、来年のジューン・ブライドを計画されている方は、婚前旅行のプランにいかがでしょうか?

(しんざわゆう)

Victoria & Albert Museum公式サイト:http://www.vam.ac.uk/
展覧会紹介ページ:http://www.vam.ac.uk/content/exhibitions/wedding-dress-1775-2014/

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