ときの忘れもの新春企画は「植田実写真展―都市のインク 端島複合体 同潤会アパートメント」です。
端島複合体と同潤会アパートメント
植田実
長崎の端島(軍艦島)は明治年間以来長年にわたり三菱鉱業の所有する石炭採掘の基地として、1974年の閉山までひとびとが働き、家族が生活していました。今回展の写真はその閉山直後に取材で行ったときのものです。長崎港から約18キロの沖にある小さな孤島に超高密度の建築複合体が大正から昭和40年代にかけて形成されていった結果は、アカデミックな建築・都市の計画概念をはるかにこえた懐かしい村であり未来的な街でありました。同時にその出自の特異性はこの建築複合体の印象に結びつけられ、無人のままさらに長い歳月が過ぎた現在は、一種の廃墟観光の対象にされてしまっています。けれども40年前に訪ねたとき、私に襲いかかってきたのは何よりも、それぞれの建築が海や風や雨の苛酷な力に立ち向かう戦闘士としての圧倒的な巨大さ強靭さでした。ひとびとが立ち去ったあとに取り残されたそれらの建築群はまだ人間の体熱に応えようとしている、それだけを撮りたかったように覚えています。
同潤会アパートメントは関東大震災の焦土に浮ぶ孤島群だったかもしれません。復興のイメージはそこからも採掘されたはずです。都内13ヵ所、横浜2ヵ所の立地が、下町や山手、工業地や商業地、住宅地や軸線道路ぞいと多様であるに加えて、限られた建設期間(1926―34年)に配置の工夫、住戸の構成、さまざまな意匠が次々と試行され、また復興住宅でありながら日本にはなかった最高水準の集合住宅がめざされていました。そしてそれらが長く住まわれてきた表れとしての増改築の様相、外壁の剥落や金属部分の腐蝕、けれども住むひとびとの丹精による花々や庭、サイン類の工夫などのすべてを、私たちは現在という一視点から見ていたのです。いいかえれば年月の重なりの順序が見分けつかなくなり、建物細部から佇まいから場所までが自由に錯綜した、古くてラディカルな建築遺産が身近かにあった現在、そしてその一切が失われた現在が私たちの立っているところです。1972年から2012年のあいだ、たまに撮っていた記録がすこし残っていました。
端島複合体と同潤会アパートメントは漆黒のインクです。
褪色することはありません。
(うえだまこと)
出品番号7.
植田実
《端島複合体 7》
1974(Printed in 2014)
Gelatin Silver Print
26.9x40.4cm Ed.5
Signed
出品番号8.
植田実
《端島複合体 8》
1974(Printed in 2014)
Gelatin Silver Print
26.9x40.4cm Ed.5
Signed
出品番号13.
植田実
《端島複合体 13》
1974(Printed in 2014)
Gelatin Silver Print
40.4x26.9cm Ed.5
Signed
出品番号17.
植田実
《端島複合体 17》
1974(Printed in 2014)
Gelatin Silver Print
26.9x40.4cm Ed.5
Signed
出品番号26.
植田実
《同潤会アパートメント 代官山 5》
(Printed in 2014)
Lambda Print
24.4x16.3cm Ed.7
Signed
出品番号27.
植田実
《同潤会アパートメント 代官山 6》
(Printed in 2014)
Lambda Print
24.4x16.3cm Ed.7
Signed
出品番号31.
植田実
《同潤会アパートメント 清砂通 2》
(Printed in 2014)
Lambda Print
24.4x16.3cm Ed.7
Signed
出品番号37.
植田実
《同潤会アパートメント 江戸川 2》
(Printed in 2014)
Lambda Print
24.4x16.3cm Ed.7
Signed
出品番号39.
植田実
《同潤会アパートメント 江戸川 4》
(Printed in 2014)
Lambda Print
16.3x24.4cm Ed.7
Signed
■植田実作品の価格について
発表する全作品は今回初めてプリントするものです。価格は下記の通りステップアップ方式をとります。
●端島シリーズ(限定5部)出品番号1~20番
1/5~2/5: 50,000円(税別、シート)税込み54,000円
3/5~4/5: 70,000円(税別、シート)税込み75,600円
5/5 :100,000円(税別、シート)税込み108,000円
額代は、税込み12,960円
●同潤会シリーズ(限定7部)出品番号21~40番
1/7~2/7: 25,000円(税別、シート)税込み27,000円
3/7~5/7: 40,000円(税別、シート)税込み43,200円
6/7~7/7: 60,000円(税別、シート)税込み64,800円
額代は、税込み7,560円
*画廊亭主敬白
昨日より新年の営業を開始しました。
10日ぶりににこやかに顔を合わせるスタッフたち、とは参りませんでした・・・
新年早々家族がインフルエンザにかかったり、本人が風邪をこじらせたりで、当分出社できそうにない社員数名。
そんなわけで、ホームページの更新などが遅れておりますが、どうぞお許しください。
新春の初売りは上掲の植田実作品で、九州のTさん、時間をおかず静岡のNさんからそれぞれネットでご注文をいただきました。ありがとうございます!
画廊への最初のお客さまは遠くシンガポールからでした。
本日は、強力助っ人浜田さんの助力を得て、植田実写真展の展示作業です。
◆ときの忘れものは2015年1月9日[金]―1月23日[金]「植田実写真展―都市のインク 端島複合体、同潤会アパートメント」を開催します(*会期中無休)。

2003年度の日本建築学会文化賞を受賞するなど、建築評論、編集者として長年活躍し続ける植田実が、長年撮りためてきた写真作品を初めて公開したのは2010年のときの忘れものでの「植田実写真展―空地の絵葉書」でした。70歳を超えての初個展でした。二度目の個展となる本展では〈端島複合体〉〈同潤会アパートメント〉の写真と、61年に8mmフィルムで撮影した《丸の内赤煉瓦街》の映像をご覧いただきます。
●イベントのご案内
1月9日(金)18時より植田実さんを囲んでオープニングを開催します。
1月16日(金)19時より植田実さんと降旗千賀子さん(目黒区美術館学芸員)を迎えてギャラリートークを開催します。
※要予約/参加費1,000円
※必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申込ください。
E-mail. info@tokinowasuremono.com
※開始時間の変更
DMにはギャラリートークの開始時間を「18時」と記載しておりましたが、「19時」に変更になりました。お間違いのないようお願いいたします。
端島複合体と同潤会アパートメント
植田実
長崎の端島(軍艦島)は明治年間以来長年にわたり三菱鉱業の所有する石炭採掘の基地として、1974年の閉山までひとびとが働き、家族が生活していました。今回展の写真はその閉山直後に取材で行ったときのものです。長崎港から約18キロの沖にある小さな孤島に超高密度の建築複合体が大正から昭和40年代にかけて形成されていった結果は、アカデミックな建築・都市の計画概念をはるかにこえた懐かしい村であり未来的な街でありました。同時にその出自の特異性はこの建築複合体の印象に結びつけられ、無人のままさらに長い歳月が過ぎた現在は、一種の廃墟観光の対象にされてしまっています。けれども40年前に訪ねたとき、私に襲いかかってきたのは何よりも、それぞれの建築が海や風や雨の苛酷な力に立ち向かう戦闘士としての圧倒的な巨大さ強靭さでした。ひとびとが立ち去ったあとに取り残されたそれらの建築群はまだ人間の体熱に応えようとしている、それだけを撮りたかったように覚えています。
同潤会アパートメントは関東大震災の焦土に浮ぶ孤島群だったかもしれません。復興のイメージはそこからも採掘されたはずです。都内13ヵ所、横浜2ヵ所の立地が、下町や山手、工業地や商業地、住宅地や軸線道路ぞいと多様であるに加えて、限られた建設期間(1926―34年)に配置の工夫、住戸の構成、さまざまな意匠が次々と試行され、また復興住宅でありながら日本にはなかった最高水準の集合住宅がめざされていました。そしてそれらが長く住まわれてきた表れとしての増改築の様相、外壁の剥落や金属部分の腐蝕、けれども住むひとびとの丹精による花々や庭、サイン類の工夫などのすべてを、私たちは現在という一視点から見ていたのです。いいかえれば年月の重なりの順序が見分けつかなくなり、建物細部から佇まいから場所までが自由に錯綜した、古くてラディカルな建築遺産が身近かにあった現在、そしてその一切が失われた現在が私たちの立っているところです。1972年から2012年のあいだ、たまに撮っていた記録がすこし残っていました。
端島複合体と同潤会アパートメントは漆黒のインクです。
褪色することはありません。
(うえだまこと)
出品番号7.植田実
《端島複合体 7》
1974(Printed in 2014)
Gelatin Silver Print
26.9x40.4cm Ed.5
Signed
出品番号8.植田実
《端島複合体 8》
1974(Printed in 2014)
Gelatin Silver Print
26.9x40.4cm Ed.5
Signed
出品番号13.植田実
《端島複合体 13》
1974(Printed in 2014)
Gelatin Silver Print
40.4x26.9cm Ed.5
Signed
出品番号17.植田実
《端島複合体 17》
1974(Printed in 2014)
Gelatin Silver Print
26.9x40.4cm Ed.5
Signed
出品番号26.植田実
《同潤会アパートメント 代官山 5》
(Printed in 2014)
Lambda Print
24.4x16.3cm Ed.7
Signed
出品番号27.植田実
《同潤会アパートメント 代官山 6》
(Printed in 2014)
Lambda Print
24.4x16.3cm Ed.7
Signed
出品番号31.植田実
《同潤会アパートメント 清砂通 2》
(Printed in 2014)
Lambda Print
24.4x16.3cm Ed.7
Signed
出品番号37.植田実
《同潤会アパートメント 江戸川 2》
(Printed in 2014)
Lambda Print
24.4x16.3cm Ed.7
Signed
出品番号39.植田実
《同潤会アパートメント 江戸川 4》
(Printed in 2014)
Lambda Print
16.3x24.4cm Ed.7
Signed
■植田実作品の価格について
発表する全作品は今回初めてプリントするものです。価格は下記の通りステップアップ方式をとります。
●端島シリーズ(限定5部)出品番号1~20番
1/5~2/5: 50,000円(税別、シート)税込み54,000円
3/5~4/5: 70,000円(税別、シート)税込み75,600円
5/5 :100,000円(税別、シート)税込み108,000円
額代は、税込み12,960円
●同潤会シリーズ(限定7部)出品番号21~40番
1/7~2/7: 25,000円(税別、シート)税込み27,000円
3/7~5/7: 40,000円(税別、シート)税込み43,200円
6/7~7/7: 60,000円(税別、シート)税込み64,800円
額代は、税込み7,560円
*画廊亭主敬白
昨日より新年の営業を開始しました。
10日ぶりににこやかに顔を合わせるスタッフたち、とは参りませんでした・・・
新年早々家族がインフルエンザにかかったり、本人が風邪をこじらせたりで、当分出社できそうにない社員数名。
そんなわけで、ホームページの更新などが遅れておりますが、どうぞお許しください。
新春の初売りは上掲の植田実作品で、九州のTさん、時間をおかず静岡のNさんからそれぞれネットでご注文をいただきました。ありがとうございます!
画廊への最初のお客さまは遠くシンガポールからでした。
本日は、強力助っ人浜田さんの助力を得て、植田実写真展の展示作業です。
◆ときの忘れものは2015年1月9日[金]―1月23日[金]「植田実写真展―都市のインク 端島複合体、同潤会アパートメント」を開催します(*会期中無休)。

2003年度の日本建築学会文化賞を受賞するなど、建築評論、編集者として長年活躍し続ける植田実が、長年撮りためてきた写真作品を初めて公開したのは2010年のときの忘れものでの「植田実写真展―空地の絵葉書」でした。70歳を超えての初個展でした。二度目の個展となる本展では〈端島複合体〉〈同潤会アパートメント〉の写真と、61年に8mmフィルムで撮影した《丸の内赤煉瓦街》の映像をご覧いただきます。
●イベントのご案内
1月9日(金)18時より植田実さんを囲んでオープニングを開催します。
1月16日(金)19時より植田実さんと降旗千賀子さん(目黒区美術館学芸員)を迎えてギャラリートークを開催します。
※要予約/参加費1,000円
※必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申込ください。
E-mail. info@tokinowasuremono.com
※開始時間の変更
DMにはギャラリートークの開始時間を「18時」と記載しておりましたが、「19時」に変更になりました。お間違いのないようお願いいたします。
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