第268回企画
◆「瀧口修造展 IV
会期=2015年10月17日[土]―10月31日[土] 
12:00-19:00 会期中無休

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ときの忘れものでは、明日10月17日(土)から10月31日(土)まで、「瀧口修造展Ⅳ」を開催いたします。
当画廊では昨年初めから3度にわたり「瀧口修造展」を開催してまいりましたが、本展はその第4回目に当たり、また昨年11月に開催した「瀧口修造とマルセル・デュシャン」展の後半ということにもなります。

瀧口修造は、現代美術の先駆者であるマルセル・デュシャンに対して、1930年代から深い関心を寄せ、たびたび論じてきましたが、1958年の欧州旅行でダリ宅を訪れた際にデュシャン本人を紹介され、以降は互いに著書を献呈するなど、直接の交流が生まれました。帰国後1960年代に入るとデュシャンに対する瀧口の傾倒はさらに深まり、その頃に構想した架空の「オブジェの店」についてもデュシャンに命名を依頼し、若き日の有名な変名「ローズ・セラヴィ」を贈られました。その返礼として瀧口が製作し、1968年に刊行したのが『マルセル・デュシャン語録』です。デュシャンのメモや言葉の遊びを自ら編集・翻訳したもので、デュシャンだけでなく、ジャスパー・ジョーンズ、ジャン・ティンゲリー、荒川修作ら協力者たちの作品(マルチプルないし複製)も付属しています。その後もデュシャンに対する瀧口の関心は継続し、手作り本『扉に鳥影』(1973年)や岡崎和郎との共作のマルチプル『檢眼圖』(1977年)、デュシャンについてのメモを収めた「シガー・ボックス」なども制作しています。デュシャンを巡る考察は、後半生の瀧口の最も重要な課題のひとつであり、最も多くの時間が充てられていた、といっても過言ではないでしょう。

本展は上記の『マルセル・デュシャン語録』のA版(特装版)と付属作品を中心に、下記のような作品を展示することにより、瀧口とデュシャンとの間の共鳴関係や、同語録完成に至るコラボレーションに想いを致すものです。また併せて、1960年代前半頃並びに1970年前後に制作されたと思われる瀧口のデカルコマニーも展示し、同語録製作前後のデカルコマニーの変化の有り様にも視線を注ぎたいと思います。
最後になりましたが、ご協力いただきました所蔵家各位に心より感謝申し上げます。

主な展示作品(予定)
1.『マルセル・デュシャン語録』とその付属作品
『マルセル・デュシャン語録』A版、東京ローズ・セラヴィ、1968年
マルチプル《ウィルソン・リンカーン・システムによるローズ・セラヴィ》(マルセル・デュシャンの署名入り)
ジャスパー・ジョーンズ オリジナル・レリーフ版画《夏の批評家》(番号・署名入り)
ジャン・ティンゲリー《コラージュ・デッサン》色彩版複製(署名入り)
荒川修作 《静物》色彩版複製(署名入り)
マルセル・デュシャン 《プロフィール》色彩版複製
 
2.関連作品
瀧口修造 水彩《ローズ・セラヴィのために》、1968年(同語録完成記念のためのポスター下絵)
同    水彩《ローズ・セラヴィのために》、1968年(同上 別バージョン)
ジャスパー・ジョーンズ 立体《夏の批評家》Summer Critic、1966年
同    ドローイング《批評家は微笑む》The Critic Smiles(年代不詳)
同    ミクスト・メディア《標的》Target、1970年
ジャン・ティンゲリー リトグラフ《エッフェル塔へのオマージュ》、1989年
荒川修作 ミクストメディア 〈棺桶〉シリーズより (年代不詳)
 
3.瀧口修造 デカルコマニー、ドローイング 約20点

●ときの忘れものでは2014年からシリーズ企画「瀧口修造展」を開催し、関係する記事やテキストを「瀧口修造の世界」としてまとめています。
土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
●出品リストはホームページに掲載しました。
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