新連載・小林美香のエッセイ
「写真集と絵本のブックレビュー」第1回
小島康敬『coming back』/『New York』/『Tokyo』
今回から、「写真集と絵本のブックレビュー」と題して、私が興味を持っている写真集や絵本のご紹介をしていきます。美術館で写真作品について調査したり、大学などで写真に関する講義をしたりする仕事柄、写真集を手に取って見ることは多いですし、娘に読み聞かせる絵本を選ぶために頻繁に図書館に通っていたりもしています。そのような経験を重ねる中で、写真集や絵本の「もの」としての魅力を再認識することも多く、本に触れて紙の手触りや重みを感じ、ページをめくるといった体感が、絵や写真によって表されていることや物語や味わう上で重要なものであることを実感するようにもなりました。娘が字を読むようになってからは、選ぶ本の幅も広がってきたこともあって、私が興味を持った絵本作家の作品を読み比べたりするようにもなり、そういった絵本の読み方が、写真集の見方に反映されるようになってきたようにも思います。この連載では、写真集や絵本の構成、装幀、編集についても考えながら本という形式ならではの表現の特徴や魅力について探っていきたいと考えていますのでよろしくおつきあい下さい。
(図1)
左『coming back』(Superlabo, 2013)
中『New York』(蒼穹舎 2014)
右『Tokyo』(蒼穹舎 2015)
今回ご紹介するのは、小島康敬(1977-)が2013年から三年にわたって発表した三冊の写真集『coming back』(2013)、『New York』(2014)、『Tokyo』(2015)(図1)です。通常、ブックレビューといえば、一冊の本に焦点を合わせて紹介するのが一般的なやり方ですが、この三冊は、相互に関連を持って編集、制作されているので、それぞれの写真集の判型や編集の仕方の違いに注目しながら見比べつつ、紹介します。
小島康敬は、2006年にニューヨークに渡り国際写真センター(ICP)に在籍しながら写真家として活動し、ニューヨークの街を撮影し、2008年からは日本に帰国する折に東京の街を撮影してきました。小島は、人間の欲望によって形成される大都市に"儚さ"を感じてきた、と語っており、(「東京画」掲載のステートメントより) ニューヨークと東京という二つの都市の間を行きつ戻りつしながら、それぞれの都市空間を記録してきました。最初に刊行された写真集『coming back』は、そのタイトルが示唆するように二つの都市の空間の間を「行きつ戻りつする」過程を反映するような形で構成され、『New York』(2014)は2008年から2013年まで、『Tokyo』(2015)は2008 年から2014年までの間にそれぞれの都市で撮影された写真が纏められています。
(図2)
『coming back』カバーをずらした状態
(図3)
『coming back』開いて伏せておいた状態
『coming back』(2013)は後の二冊にいたる途中経過で制作されたものですが、編集方法、ブックデザインのユニークさが際立っています。表紙には青い文字ででタイトルや作家の名前を記した透明なカバーが被せられています。(図1)では右綴じの本として右側に文字が重なるようにカバーを被せていますが、左綴じとしてカバーを被せることも可能です(図2) 。つまり、どちらの面が本の表紙なのかということを見る側が任意に決めることができるということであり、本を広げることで、一つの写真の画面が表紙と裏表紙で半分に分けられているということがわかります(図3)。綴じを左にしてページを捲ると、左ページにカラー写真、右ページに白黒写真が並び(図4)、綴じを右にしてページを捲ると、左ページに白黒写真、右ページに白黒写真が並ぶ(図5)という見開きが表れ、写真に写された街の建物や文字情報から、カラー写真で東京が、白黒写真でニューヨークが撮影されたものであることを看て取ることができます。
本の真ん中には薄い紙に印刷された奥付のページが表れ、そのページを閉じて上に持ち上げてみるとニューヨークで撮影された白黒写真が見開きに現れます。この見開きを見ることで、この本のデザイン、仕掛けの全容を理解することができます。つまり、一枚の紙の一面に東京で撮影したカラー写真を、もう一面にニューヨークで撮影した白黒写真を印刷したものを重ね合わせ、画面を縦半分に折った上でホチキスで留めて製本されており、重ね合わされて対面した東京とニューヨークの写真が、右半分と左半分に分断された状態の見開きを作り出しています。
(図4)
『coming back』見開き
(図5)
『coming back』見開き
(図6)
奥付の前後のページ見開き
(図7)
東京
(図8)
ニューヨーク
先に挙げた見開き(図4)と(図5)では、東京で撮影された写真(図7)とニューヨークで撮影された写真(図8)が組み合わさっていますが、この写真集ではそれぞれの画面全体を一度では見渡すことができないようになっています。したがって、写真集を見る人はページの間を「行きつ戻りつ」して、写し取られた断片的な光景のディテールを見ながら左右に分断された写真を頭の中で接合するような作業をしていくことになります。このように、敢えて写真を分断して見せるというユニークな編集方法を用いることで、めまぐるしく変化する二つの都市を行き来しながらその様相を記録してきた小島康敬の都市に対する姿勢や、それぞれの都市の特徴や違いが鮮明に浮かび上がってきています。
『coming back』に続いて、蒼穹舎から刊行された『New York』と『Tokyo』は、それぞれの都市で撮影した写真をまとめたもので、どちらも同じサイズ、判型、見開きでページに余白を設けてで左右に写真を一点ずつ並べるというオーソドックスな方法で構成、編集されています。『New York』のシリーズを掲載したウェブサイトのページを見ると、一連の写真の多くが、高層建築を見上げたり、あるいは高所から俯瞰したりするような視点ではなく、路上で真っすぐに立って見るような視点で撮影されたものであることや、マンハッタンを遠景に望むような川を隔てたエリアで撮影されたものが多いこと、空間の広がりよりも奥行きを強く意識させるような撮り方をしていることがわかります。ページに余白の幅を広くとって、ページの下の方に写真を配置するという写真集のレイアウト(図9)は、このような視点や写真の撮り方に結びつき、広い余白が穴を覗き込むような効果を作り出し、奥行きの感覚を強めています。
(図9)
『New York』
(図10)
『Tokyo』
『New York』が白黒写真で緻密な空間の奥行きへと視線を引き込むような効果を作り出しているのに対して、「Tokyo」のシリーズはカラー写真でやや俯瞰するような視点で捉えられたものが多く、写真集ではページの上の方にに写真が配置され、余白の幅は狭く空間の広がりを印象づけるような構成になっています(図10)。『coming back』の見開き(図4)(図5)のように同じサイズで二つの写真を分断・接合するような編集の仕方を経た後に、写真のサイズやページでの位置関係に明確な違いを設定した別個の写真集として提示することで、二つの都市空間の特徴や視点の位置の違いを詳細に吟味するような姿勢をこの二冊の写真集から看て取ることができます。『New York』と『Tokyo』を見た後に再び、『coming back』を見ると、左右に分断された写真と、分断されていない写真の全体像を見比べるなかで、画面の中にそれまで見落としていようなディテール、とくに建造物の素材や構造、建物同士の位置関係といったような、普段生活していても意識に留めないような都市空間の様相が記憶に刻まれていくように感じられます。
小島康敬は、二つの都市の間を「行きつ戻りつ」しながら撮り続けた写真を、ページの間を「行きつ戻りつ」するような見方を促すような写真集『coming back』として構成した上で、さらに続けて『New York』、『Tokyo』を刊行することで、三部作の写真集の間を「行きつ戻りつ」しながら写真を繰り返し見るという「見方」を提示しているようにも思われます。このような見ることに対する執拗かつ真摯な姿勢は、PCやタブレットの画面で画像として写真を見るだけでは分かるものではなく、写真集という「もの」に接してこそ受け止めることのできるものではないでしょうか。
(こばやし みか)
■小林美香 Mika KOBAYASHI
写真研究者・東京国立近代美術館客員研究員。国内外の各種学校/機関で写真に関するレクチャー、ワークショップ、展覧会を企画、雑誌に寄稿。2007-08年にAsian Cultural
Councilの招聘、及び Patterson Fellow としてアメリカに滞在し、国際写真センター(ICP)及びサンフランシスコ近代美術館で日本の写真を紹介する展覧会/研究活動に従事。2010年より東京国立近代美術館客員研究員、2014年から東京工芸大学非常勤講師を務める。
*画廊亭主敬白
しばらくお休みしていた小林美香さんがようやく復帰してくれました。
昨秋から今春にかけていくつかの連載が終了となり、その後継をどうするかで四苦八苦しておりましたが、新たな執筆陣のめどもたち、小林さんもカムバックしてくれ、一安心です。
小林さんの新連載タイトルは「写真集と絵本のブックレビュー」、つい先日20日に新登場した浜田宏司さんの連載タイトルも「“ART&BOOK”ナナメ読み」、どうやら2016年は本の年になりそうですね。本好きの亭主にとっては異存があろうはずもなく、画廊亭主ならぬ古本屋のおやじになったつもりで楽しみましょう。
再三再四「竹橋へ」と連呼している東京国立近代美術館の恩地孝四郎展ですが、今日を入れて残り4日です(2月28日まで)。あまりに亭主がわめくものだから、画廊に来るお客さまも、ドアをあけるなり「行ってきました」。わざわざ電話をかけてきて「ワタヌキさん、行ってきましたよ」と報告してくださる方も多々あり。
先日なんぞ、わざわざ京都からいらしてくれたお客をほったらかして、盛岡から来た別のお客さんとえんえん恩地談義を繰り広げたものだから、おそれをなした京都人はそそくさと立ち上がり「私、これから行ってきます」。
まことにはた迷惑な話であります。
●今日のお勧め作品は、エドワード・スタイケンです。
エドワード・スタイケン
「Merle Oberon, Hollywood」
1935年(1986年プリント)
ゼラチンシルバープリント
33.5x27.0cm
Ed.100
裏にプリンターと遺族のサインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆新連載・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
「写真集と絵本のブックレビュー」第1回
小島康敬『coming back』/『New York』/『Tokyo』
今回から、「写真集と絵本のブックレビュー」と題して、私が興味を持っている写真集や絵本のご紹介をしていきます。美術館で写真作品について調査したり、大学などで写真に関する講義をしたりする仕事柄、写真集を手に取って見ることは多いですし、娘に読み聞かせる絵本を選ぶために頻繁に図書館に通っていたりもしています。そのような経験を重ねる中で、写真集や絵本の「もの」としての魅力を再認識することも多く、本に触れて紙の手触りや重みを感じ、ページをめくるといった体感が、絵や写真によって表されていることや物語や味わう上で重要なものであることを実感するようにもなりました。娘が字を読むようになってからは、選ぶ本の幅も広がってきたこともあって、私が興味を持った絵本作家の作品を読み比べたりするようにもなり、そういった絵本の読み方が、写真集の見方に反映されるようになってきたようにも思います。この連載では、写真集や絵本の構成、装幀、編集についても考えながら本という形式ならではの表現の特徴や魅力について探っていきたいと考えていますのでよろしくおつきあい下さい。
(図1)左『coming back』(Superlabo, 2013)
中『New York』(蒼穹舎 2014)
右『Tokyo』(蒼穹舎 2015)
今回ご紹介するのは、小島康敬(1977-)が2013年から三年にわたって発表した三冊の写真集『coming back』(2013)、『New York』(2014)、『Tokyo』(2015)(図1)です。通常、ブックレビューといえば、一冊の本に焦点を合わせて紹介するのが一般的なやり方ですが、この三冊は、相互に関連を持って編集、制作されているので、それぞれの写真集の判型や編集の仕方の違いに注目しながら見比べつつ、紹介します。
小島康敬は、2006年にニューヨークに渡り国際写真センター(ICP)に在籍しながら写真家として活動し、ニューヨークの街を撮影し、2008年からは日本に帰国する折に東京の街を撮影してきました。小島は、人間の欲望によって形成される大都市に"儚さ"を感じてきた、と語っており、(「東京画」掲載のステートメントより) ニューヨークと東京という二つの都市の間を行きつ戻りつしながら、それぞれの都市空間を記録してきました。最初に刊行された写真集『coming back』は、そのタイトルが示唆するように二つの都市の空間の間を「行きつ戻りつする」過程を反映するような形で構成され、『New York』(2014)は2008年から2013年まで、『Tokyo』(2015)は2008 年から2014年までの間にそれぞれの都市で撮影された写真が纏められています。
(図2)『coming back』カバーをずらした状態
(図3)『coming back』開いて伏せておいた状態
『coming back』(2013)は後の二冊にいたる途中経過で制作されたものですが、編集方法、ブックデザインのユニークさが際立っています。表紙には青い文字ででタイトルや作家の名前を記した透明なカバーが被せられています。(図1)では右綴じの本として右側に文字が重なるようにカバーを被せていますが、左綴じとしてカバーを被せることも可能です(図2) 。つまり、どちらの面が本の表紙なのかということを見る側が任意に決めることができるということであり、本を広げることで、一つの写真の画面が表紙と裏表紙で半分に分けられているということがわかります(図3)。綴じを左にしてページを捲ると、左ページにカラー写真、右ページに白黒写真が並び(図4)、綴じを右にしてページを捲ると、左ページに白黒写真、右ページに白黒写真が並ぶ(図5)という見開きが表れ、写真に写された街の建物や文字情報から、カラー写真で東京が、白黒写真でニューヨークが撮影されたものであることを看て取ることができます。
本の真ん中には薄い紙に印刷された奥付のページが表れ、そのページを閉じて上に持ち上げてみるとニューヨークで撮影された白黒写真が見開きに現れます。この見開きを見ることで、この本のデザイン、仕掛けの全容を理解することができます。つまり、一枚の紙の一面に東京で撮影したカラー写真を、もう一面にニューヨークで撮影した白黒写真を印刷したものを重ね合わせ、画面を縦半分に折った上でホチキスで留めて製本されており、重ね合わされて対面した東京とニューヨークの写真が、右半分と左半分に分断された状態の見開きを作り出しています。
(図4)『coming back』見開き
(図5)『coming back』見開き
(図6)奥付の前後のページ見開き
(図7)
東京
(図8)ニューヨーク
先に挙げた見開き(図4)と(図5)では、東京で撮影された写真(図7)とニューヨークで撮影された写真(図8)が組み合わさっていますが、この写真集ではそれぞれの画面全体を一度では見渡すことができないようになっています。したがって、写真集を見る人はページの間を「行きつ戻りつ」して、写し取られた断片的な光景のディテールを見ながら左右に分断された写真を頭の中で接合するような作業をしていくことになります。このように、敢えて写真を分断して見せるというユニークな編集方法を用いることで、めまぐるしく変化する二つの都市を行き来しながらその様相を記録してきた小島康敬の都市に対する姿勢や、それぞれの都市の特徴や違いが鮮明に浮かび上がってきています。
『coming back』に続いて、蒼穹舎から刊行された『New York』と『Tokyo』は、それぞれの都市で撮影した写真をまとめたもので、どちらも同じサイズ、判型、見開きでページに余白を設けてで左右に写真を一点ずつ並べるというオーソドックスな方法で構成、編集されています。『New York』のシリーズを掲載したウェブサイトのページを見ると、一連の写真の多くが、高層建築を見上げたり、あるいは高所から俯瞰したりするような視点ではなく、路上で真っすぐに立って見るような視点で撮影されたものであることや、マンハッタンを遠景に望むような川を隔てたエリアで撮影されたものが多いこと、空間の広がりよりも奥行きを強く意識させるような撮り方をしていることがわかります。ページに余白の幅を広くとって、ページの下の方に写真を配置するという写真集のレイアウト(図9)は、このような視点や写真の撮り方に結びつき、広い余白が穴を覗き込むような効果を作り出し、奥行きの感覚を強めています。
(図9)『New York』
(図10)『Tokyo』
『New York』が白黒写真で緻密な空間の奥行きへと視線を引き込むような効果を作り出しているのに対して、「Tokyo」のシリーズはカラー写真でやや俯瞰するような視点で捉えられたものが多く、写真集ではページの上の方にに写真が配置され、余白の幅は狭く空間の広がりを印象づけるような構成になっています(図10)。『coming back』の見開き(図4)(図5)のように同じサイズで二つの写真を分断・接合するような編集の仕方を経た後に、写真のサイズやページでの位置関係に明確な違いを設定した別個の写真集として提示することで、二つの都市空間の特徴や視点の位置の違いを詳細に吟味するような姿勢をこの二冊の写真集から看て取ることができます。『New York』と『Tokyo』を見た後に再び、『coming back』を見ると、左右に分断された写真と、分断されていない写真の全体像を見比べるなかで、画面の中にそれまで見落としていようなディテール、とくに建造物の素材や構造、建物同士の位置関係といったような、普段生活していても意識に留めないような都市空間の様相が記憶に刻まれていくように感じられます。
小島康敬は、二つの都市の間を「行きつ戻りつ」しながら撮り続けた写真を、ページの間を「行きつ戻りつ」するような見方を促すような写真集『coming back』として構成した上で、さらに続けて『New York』、『Tokyo』を刊行することで、三部作の写真集の間を「行きつ戻りつ」しながら写真を繰り返し見るという「見方」を提示しているようにも思われます。このような見ることに対する執拗かつ真摯な姿勢は、PCやタブレットの画面で画像として写真を見るだけでは分かるものではなく、写真集という「もの」に接してこそ受け止めることのできるものではないでしょうか。
(こばやし みか)
■小林美香 Mika KOBAYASHI
写真研究者・東京国立近代美術館客員研究員。国内外の各種学校/機関で写真に関するレクチャー、ワークショップ、展覧会を企画、雑誌に寄稿。2007-08年にAsian Cultural
Councilの招聘、及び Patterson Fellow としてアメリカに滞在し、国際写真センター(ICP)及びサンフランシスコ近代美術館で日本の写真を紹介する展覧会/研究活動に従事。2010年より東京国立近代美術館客員研究員、2014年から東京工芸大学非常勤講師を務める。
*画廊亭主敬白
しばらくお休みしていた小林美香さんがようやく復帰してくれました。
昨秋から今春にかけていくつかの連載が終了となり、その後継をどうするかで四苦八苦しておりましたが、新たな執筆陣のめどもたち、小林さんもカムバックしてくれ、一安心です。
小林さんの新連載タイトルは「写真集と絵本のブックレビュー」、つい先日20日に新登場した浜田宏司さんの連載タイトルも「“ART&BOOK”ナナメ読み」、どうやら2016年は本の年になりそうですね。本好きの亭主にとっては異存があろうはずもなく、画廊亭主ならぬ古本屋のおやじになったつもりで楽しみましょう。
再三再四「竹橋へ」と連呼している東京国立近代美術館の恩地孝四郎展ですが、今日を入れて残り4日です(2月28日まで)。あまりに亭主がわめくものだから、画廊に来るお客さまも、ドアをあけるなり「行ってきました」。わざわざ電話をかけてきて「ワタヌキさん、行ってきましたよ」と報告してくださる方も多々あり。
先日なんぞ、わざわざ京都からいらしてくれたお客をほったらかして、盛岡から来た別のお客さんとえんえん恩地談義を繰り広げたものだから、おそれをなした京都人はそそくさと立ち上がり「私、これから行ってきます」。
まことにはた迷惑な話であります。
●今日のお勧め作品は、エドワード・スタイケンです。
エドワード・スタイケン「Merle Oberon, Hollywood」
1935年(1986年プリント)
ゼラチンシルバープリント
33.5x27.0cm
Ed.100
裏にプリンターと遺族のサインあり
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆新連載・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
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