野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」 第45回

ニューヨークのアートフェア、松下幸之助歴史館

3月上旬、ときの忘れものさんからニューヨークのArt on Paperに出展させて頂く為に出発、昨年のこのフェアは手応えがすごくあったので、珍しく少し自信を持ってフェアを迎えたのですが、始まってみるとなかなか苦戦、昨年とは何かが違いました。
結果は尾立さんが書いておられたので省略致しますが、先月のエッセイで「良い結果を残して元気に帰ってこられるように頑張りたいと思います。」と書いていたのに、運悪くニューヨークで熱が出て2日間寝込み、肝心の土日のほとんどを会場にいられず、良い結果も出せず元気に帰ってくる事もできませんでした。
色々な事が常に変化していて、同じアートフェアでも二年連続で運に恵まれるとは限らない、改めて難しいものだと感じました。
とはいえ、やはりアメリカのアートフェアはアジアよりもチャンスは多いと感じるので、また機会を頂ければチャレンジしたいと思います。

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DSC_8039ニューヨーク


IMG_6672Art on Paper会場


DSC_8091ときの忘れものブース


DSC_8052建築家の光嶋裕介さんと、合作の前で


そして、3月1日の松下幸之助歴史館への作品贈呈式の時の集合写真や父と僕のスピーチの写真などをパナソニックさんから頂けました。
集合写真なんて久しぶりでした、なんだか若造一人浮いています 笑 中央に座っておられるのがパナソニック代表取締役会長の長榮 周作氏、写真右側が寄贈者の電気屋の皆さんとご家族、左側に野口家3人と両親の親友のオフジさんです。
当日は式典用の赤いカーペットの赤色が作品に反射してしまって、海のプラチナ部分がちょっと赤いです。

ecn18032012000012-p1松下幸之助歴史館


EPSON003 のコピー


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以下、当日緊張しながら話した下手くそなスピーチの原稿です。
聞いていた家族には、原稿見ないで話してた技法の説明のとことだけ声が大きくなったと言われました、技法の説明はもう人前で何千回もしてきたので、そりゃそうですよね。
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この度は松下幸之助歴史館のオープンと、100周年おめでとうございます。
そして、寄贈者の皆様にこのような大切な作品の制作を任せて頂けた事を光栄に思っております。
父からも説明がありましたが、私は箔屋野口の5代目となるはずが、苦しい西陣の状況などもあり、17年程前から箔画作家として活動をしております。
箔画という名前は、制作を初めた頃に自分が作ったものを何と呼べばいいのだろうかと考え、私が名付けたものなので、その定義がはっきりあるものではないのですが、簡単に私の箔画について説明致しますと、

(箔画技法の説明)

次に今回の作品についての説明ですが、先程中松さんよりお話頂きましたが、寄贈者の皆さんの表現されたいコンセプトが、パナソニックさん、町の電気屋さん、そしてお客様との絆、また、今までの100年、これからの100年という事でしたので、新しい夜明けの光に向かって飛ぶ3羽の鳥の絵を描きました。
そのコンセプトが皆さんにどれだけ伝わる作品になったのかは自分ではわからないものですが、これからこの松下幸之助歴史館に来場される皆様にその想いを少しでも感じて頂けるならば、作家としてとても嬉しく思います。

そして、普段父とは作品にお互いほとんど口出ししないのですが、作品について親子でたくさん話す機会をくださった事、
二人の名前をこの場所に残す機会を与えて頂いた事にも、感謝しております。

また、今まで私に一生懸命に働く背中を見せ、色々な事を伝えてくれて、私の地盤を作ってくれた父に作品の地盤となる下地の制作などを手伝ってもらい合作する事ができたので、その制作工程を通しても、今回のコンセプトである絆、これまでとこれからという表現に深みをもたす事ができたのではないかと思っております。本当にありがとうございました。

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●パナソニックミュージアム 松下幸之助歴史館
【所在地】〒571-8501 大阪府門真市大字門真1006番地
【アクセス】京阪電車 西三荘駅下車 徒歩2分
【入館料】無料
【開館時間】午前9時~午後5時
【休館日】日曜、年末年始
【駐車場】普通乗用車 10台、大型バス4台
※駐車スペースは台数に限りがございます。ご来館の際はできるだけ公共の交通機関をご利用下さい。
【駐輪場】数台程度
【連絡先】電話番号:06-6906-0106 /FAX番号:06-6906-1894
パナソニックミュージアムwebサイト
https://www.panasonic.com/jp/corporate/history/panasonic-museum.html

のぐち たくろう

野口琢郎 Takuro NOGUCHI(1975-)
1975年京都府生まれ。1997年京都造形芸術大学洋画科卒業。2000年長崎市にて写真家・東松照明の助手に就く。2001年京都西陣の生家に戻り、家業である箔屋野口の五代目を継ぐため修行に入る。その後も精力的に創作活動を続け、2004年の初個展以来毎年個展を開催している。

●今日のお勧め作品は野口琢郎です。
20180215_noguchi_38_sound
野口琢郎 "Wish -Sound of the sky-"
2016年  箔画(木パネル、漆、金・銀・プラチナ箔、石炭、樹脂、アクリル絵具)
102.0×185.0cm  Signed
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◆野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。

●ときの忘れものは昨年〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ12月号18~24頁>に特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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