スタッフSの海外ネットサーフィン No.70

「磯崎新 プリツカー賞 Pritzker Architecture Prize」


 読者の皆様こんにちは。この記事が皆様をお目汚しする頃には、遠く香港の地、Art Basel Hong Kong 2019にて瑛九初の海外個展を設営すべく四苦八苦しているだろう、スタッフSこと新澤です。フェアはもちろん、スタッフの誰も訪れたことのない土地、とりあえず美味いものだけはたらふく食ってやろうと考えております。

 今月の記事ですが、海外の展覧会ではなく、今月初頭に日本が世界に誇る現代建築の第一人者、磯崎新先生が受賞したプリツカー賞について書かせていただきます。

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プリツカー賞公式ページのトップ。歴代受賞者の先頭に磯崎先生の写真が掲載されています。

 ウチのブログでも「建築界のノーベル賞」として既に度々話題に上がっていますが、正確にはプリツカー賞とは何なのか? 自分が調べて範囲で分かった事を説明させていただきます。

 プリツカー賞(正式名称:Pritzker Architecture Prize)は1979年にアメリカ人実業家でハイアットホテルアンドリゾーツの創業者であるジェイ・プリツカー夫婦によって設立された賞です。夫妻はこの賞のためにハイアット財団を設立して賞の運営資金を提供しており、現在は夫妻の長男であるトーマス・プリツカー氏が代表を務めています。
「建築を通じて人類や環境に一貫した意義深い貢献をしてきた」存命の建築家を選考対象とし、「建造物が日常生活に与える影響の大きさを周知すること」を創設の趣旨として、賞は特定の建築物ではなく、受賞者の全作品に対して授与されます。
 受賞者の選考に当たっては8人前後で構成される独立した審査団が組織されており、選考対象となった建築家の作品群を審査団が実際に見て回るのですが、この点が写真審査に基づく他の賞とは一線を画す特徴となっています。
 受賞者の国籍・人種・思想・信条は問わず、原則として1年に1人が表彰されており、設立40年を迎えた今年までに43人の受賞者がいます(過去3回、同年に2名受賞者がいたため)。副賞として10万ドルとブロンズのメダルが授与され、メダルの意匠はルイス・サリヴァンの作品を模したもので、世界最古の建築理論家・ウィトルウィウスの言葉が刻まれています。ちなみに1986年以前はヘンリー・ムーアによる彫像だったそうです。

 150年の歴史を持つ英国のRIBAゴールドメダルや100年続くアメリカのAIAゴールドメダルには歴史の上では及びませんが、1988年に「ニューヨーク・タイムズ」の記事で「建築家にとってこの賞は、科学者や作家たちにとってのノーベル賞のようなものだ」と書かれて以降、「建築界のノーベル賞」ととして広く世界に知られるようになりました。

 日本の受賞者は1987年の丹下健三以来、槇文彦安藤忠雄、妹島和世+西沢立衛、伊東豊雄、坂茂と続き、今回の磯崎先生で8人目です。実はこれ、アメリカと並んで最多受賞者国籍1位タイです。磯崎先生、改めて受賞おめでとうございます!

(しんざわ ゆう)

プリツカー賞公式ホームページ
https://www.pritzkerprize.com/

●本日のお勧め作品は磯崎新です。
sakuhin2磯崎新 Arata ISOZAKI
"MOCA #1"

1983年
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
イメージサイズ:46.5×98.0cm
シートサイズ:73.0×103.5cm
Ed.75 Signed
*現代版画センターエディション
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

◆ときの忘れものは「第309回企画◆ル・コルビュジエ展 」を開催しています。
会期:2019年3月15日[金]―4月6日[土] 11:00-19:00 ※日・月・祝日休廊
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20世紀の鉄とコンクリートとガラスの建築をリードした巨匠、ル・コルビュジエは精力的に世界各地に建築を残しましたが、その出発点は画家であり、生涯絵筆を離すことはありませんでした。版画作品も精力的に制作しています。今回は「ユニテ」連作ほか、銅版、リトグラフ、リト刷りポスター、陶器など17点をご覧いただきます。出品作品の詳細は3月17日ブログに掲載しました。
最終日4月6日[土]は1日だけの「吉川盛一の建築本の販売」を開催します。
吉川盛一の本(画面をクリックすると拡大します)
吉川盛一氏は「住まいの図書館出版局」などで活躍する建築専門の編集者です。


●『第28回 瑛九展』カタログのご案内
第28回カタログ表『第28回 瑛九展』(アートバーゼル香港)図録
2019年 ときの忘れもの
B5版 36頁 作品17点、参考図版27点掲載
執筆:大谷省吾(東京国立近代美術館)
編集:尾立麗子(ときの忘れもの)
デザイン:岡本一宣デザイン事務所
翻訳:Polly Barton、勝見美生(ときの忘れもの)
価格:800円 *送料250円

●瑛九の資料・カタログ等については1月11日ブログ「瑛九を知るために」をご参照ください。
埼玉県立近代美術館では「特別展示:瑛九の部屋」で120号の大作「田園」を公開、「瑛九と光春―イメージの版/層」では山田光春の新収蔵作品とともに、40点以上の油彩、フォトデッサン、版画他を展示しています(4月14日まで)。
宮崎県立美術館でも<瑛九 -宮崎にて>で120号の大作「田園 B」などを展示しています(4月7日まで)。

●ときの忘れものは〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
駒込外観1TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。
*日・月・祝日は休廊。