小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」第25回
今月はいつもとは少し趣向を変えまして、みなさんに古本屋のワクワク感を伝えてみたいと思います。「おもしろそう!」と思っても、道を間違えて古本屋さんになろうと思ってしまわないように、その辺りは加減をしつつ、臨場感をお伝えできれば、と。
本当は映像で撮った方が、よりリアルかもしれませんが、(YouTube?)まったく上手くない写真を添えつつ、がんばります。
さて、先日市場からこんなものを仕入れてきました。

なんだかよくわかりませんが、雑誌っぽい束ですね。かなり古いものも混ざっていそうです。今ではあまり見かけない、かなり大判の雑誌もあります。私は、もちろん中身を確認して入札したのですが、限られた時間のため、じっくり吟味はしていません。今回は、なんと!この束に何が入っていて、なにをどう商品にしていくのか!見ていくことにしましょう!
さっそく一番上のものを見てみると・・・。

型紙です!そこまで古いものではありませんが、なんとも時代を感じさせる字体。こんな型紙が、表裏に印刷されて2枚入っていました。
うん・・・。売れる・・・かも?盛夏用の型紙ですし!
次!

おお?これは、野鳥ですね。あの野鳥です。ただ、出版社にご注目。
「ビクター音楽出版」そして、この年代(おそらく昭和30年代)の本ということは・・・。

そうです!ソノシートが付いています!しかも揃っていた!いいですね。

本の内容も、野鳥のイラストがきれいで、すばらしい出来栄え。これはきっと売れるでしょう。
期待を込めて、次の本の束の紐を緩めます。

『写真週報』です。「支那事変五周年」とありますので、昭和17年のもの。戦争はいよいよ苛烈になっていくのですが、まだ少し余裕が見える気がします。裏表紙はこんな感じ。

「ウンと蓄め」という言葉がまだあり、金附が割増という惹句からは、まだ切迫した感じはありません。紙面も和やか。

時代を読み解く資料のひとつとしても、貴重な雑誌と言えそうです。
次の束はこれ。

『書苑』明治四十四年に創刊の書の専門誌です。
きれいな印刷で、解説のほかに、挟み込みで書の作品が印刷され、美しい。正直、これが明治に出ているとは、と言える本のクオリティーの高さです。

これは、ある程度まとまっていますが、揃ってはいないので、1冊ずつバラバラでネット商品向きかな?とか、考えます。
次は、この本の束を仕入れたお目当ての商品です。

この表紙!雰囲気がありますね。戦前の判に混ざって、戦後のものも入っていました。

写真ではなく、イラストを使った表紙が何とも言えず味わい深い。今の本屋さんでは、こんな映画雑誌は見かけません。
なぜこれがお目当てだったかというと・・・。
今月8月24日から行われる「吉祥寺パルコの古本市」で販売しようと思っているからです!映画関係も人気で、これは売れそう!と思っています。結果は神のみぞ知る。
今日ご紹介した本は、ほとんどパルコに持って行く予定です。他にもいろいろ面白そうな雑誌がたくさん入っていました。


気になるものがあれば、ぜひ8月24日から行われる「吉祥寺パルコの古本市」にお立ち寄りください!
それでは、また来月!
(おくに たかし)
■小国貴司 Takashi OKUNI
「BOOKS青いカバ」店主。学生時代より古書に親しみ、大手書店チェーンに入社後、店長や本店での仕入れ・イベント企画に携わる。書店退職後、新刊・古書を扱う書店「BOOKS青いカバ」を、文京区本駒込にて開業。
●本日のお勧め作品は六角鬼丈です。
六角鬼丈 Kijo ROKKAKU
「奇想流転(奇合建築)」
2017
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
Image size: 41.5x69.0cm
Sheet size: 56.0x75.0cm
Ed.15 Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
今月はいつもとは少し趣向を変えまして、みなさんに古本屋のワクワク感を伝えてみたいと思います。「おもしろそう!」と思っても、道を間違えて古本屋さんになろうと思ってしまわないように、その辺りは加減をしつつ、臨場感をお伝えできれば、と。
本当は映像で撮った方が、よりリアルかもしれませんが、(YouTube?)まったく上手くない写真を添えつつ、がんばります。
さて、先日市場からこんなものを仕入れてきました。

なんだかよくわかりませんが、雑誌っぽい束ですね。かなり古いものも混ざっていそうです。今ではあまり見かけない、かなり大判の雑誌もあります。私は、もちろん中身を確認して入札したのですが、限られた時間のため、じっくり吟味はしていません。今回は、なんと!この束に何が入っていて、なにをどう商品にしていくのか!見ていくことにしましょう!
さっそく一番上のものを見てみると・・・。

型紙です!そこまで古いものではありませんが、なんとも時代を感じさせる字体。こんな型紙が、表裏に印刷されて2枚入っていました。
うん・・・。売れる・・・かも?盛夏用の型紙ですし!
次!

おお?これは、野鳥ですね。あの野鳥です。ただ、出版社にご注目。
「ビクター音楽出版」そして、この年代(おそらく昭和30年代)の本ということは・・・。

そうです!ソノシートが付いています!しかも揃っていた!いいですね。

本の内容も、野鳥のイラストがきれいで、すばらしい出来栄え。これはきっと売れるでしょう。
期待を込めて、次の本の束の紐を緩めます。

『写真週報』です。「支那事変五周年」とありますので、昭和17年のもの。戦争はいよいよ苛烈になっていくのですが、まだ少し余裕が見える気がします。裏表紙はこんな感じ。

「ウンと蓄め」という言葉がまだあり、金附が割増という惹句からは、まだ切迫した感じはありません。紙面も和やか。

時代を読み解く資料のひとつとしても、貴重な雑誌と言えそうです。
次の束はこれ。

『書苑』明治四十四年に創刊の書の専門誌です。
きれいな印刷で、解説のほかに、挟み込みで書の作品が印刷され、美しい。正直、これが明治に出ているとは、と言える本のクオリティーの高さです。

これは、ある程度まとまっていますが、揃ってはいないので、1冊ずつバラバラでネット商品向きかな?とか、考えます。
次は、この本の束を仕入れたお目当ての商品です。

この表紙!雰囲気がありますね。戦前の判に混ざって、戦後のものも入っていました。

写真ではなく、イラストを使った表紙が何とも言えず味わい深い。今の本屋さんでは、こんな映画雑誌は見かけません。
なぜこれがお目当てだったかというと・・・。
今月8月24日から行われる「吉祥寺パルコの古本市」で販売しようと思っているからです!映画関係も人気で、これは売れそう!と思っています。結果は神のみぞ知る。
今日ご紹介した本は、ほとんどパルコに持って行く予定です。他にもいろいろ面白そうな雑誌がたくさん入っていました。


気になるものがあれば、ぜひ8月24日から行われる「吉祥寺パルコの古本市」にお立ち寄りください!
それでは、また来月!
(おくに たかし)
■小国貴司 Takashi OKUNI
「BOOKS青いカバ」店主。学生時代より古書に親しみ、大手書店チェーンに入社後、店長や本店での仕入れ・イベント企画に携わる。書店退職後、新刊・古書を扱う書店「BOOKS青いカバ」を、文京区本駒込にて開業。
●本日のお勧め作品は六角鬼丈です。
六角鬼丈 Kijo ROKKAKU「奇想流転(奇合建築)」
2017
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
Image size: 41.5x69.0cm
Sheet size: 56.0x75.0cm
Ed.15 Signed
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
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