初めてご連絡させていただきます。
上毛学舎3年のYと申します。
以前、取材を受けていただきまして、誠にありがとうございました。
突然ではございますが、先日、Kさんに取材をさせていただいた際に、綿貫さまはお知り合いが多いと聞きましたので、この度連絡をさせていただきました。
つきましては、上毛学舎の「温故知新」という新聞の取材をさせていただける方をご紹介いただけないでしょうか。
お手数をおかけいたしますが、
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。


新聞で甲子園野球の記事を読んでいたら(うろ覚えですが)、今年の出場校に男子校は一校もなかった。全国4千数百の高校で男子校は僅かに約100校、どうも絶滅危惧種らしい。
亭主は小学校、中学校は山の中(群馬県嬬恋村)の公立校だったので同級生の半分は女性でしたが、高校は大都会の高崎で男子校(群馬では普通でした)、大学は中央大学法学部でクラスに女子は二人だけでした。つまり15歳から21歳までの青春の7年間に女性のクラスメートはたった二人! 

大学時代は苦学生のための県人寮(小田急線千歳船橋駅の近くにあった)で過ごしました。ここも男ばかり120人(一学年30人)、戦前からの長い歴史のある「上毛学舎(じょうもうがくしゃ)」という自治寮でした。

冒頭のメールは上毛学舎の後輩からつい最近届いたメールです。
名前からすると女性らしい。
いつからか県人寮も男女共学になったことは、一昨年2017年06月12日のブログに「温故知新~亭主の学生時代」に書きました。あれから2年、今回も女子大生の後輩(と言っても会ったことはありません)からのメールでした。

可愛い後輩のためとあらばと古い名簿を取り出し、幾人かの先輩のことを知らせました。
そのお一人に堀川敦厚(本名:あつたか、ペンネームは堀川とんこう)さんという方がいます。
生まれは亭主と同じ群馬県中之条町、高校も同じ高崎高校、東大時代を上毛学舎で過ごし、卒業後はTBSに入社、数々のテレビドラマを手がけた名プロデューサーです。
テレビのない亭主ですが、「七人の刑事」「岸辺のアルバム」は昔見ています。
堀川とんこう著ずっとドラマを作ってきた
堀川とんこう目次
著書『ずっとドラマを作ってきた』(1998年、新潮社)は往年のTBSのテレビドラマを知る人ならば必読の名著です。

「新聞記者になるつもりで学校を卒業し、それがテレビ局の報道志望に変わり、さらにちょっとしたきっかけでドラマ作りをすることになった。もし報道の仕事についていたら、どこかで破綻して、今頃はまずい小説を書いていたかも知れない。(同書206ページ)」
「テレビが今の隆盛をそのまま維持するとは考えにくい時代である。この先テレビは、形も質も変化していくだろう。放送事業の業態も変わるだろう。それは抗しがたい力によって推し進められる。そうなると私が仕事場としたテレビは、<テレビのひとつの時代>として終わりを告げることになるだろう。(同書14ページ)」

堀川さんの20年前の著書からの引用ですが、このところの大手マスコミの惨憺たる状況(信頼性の喪失、報道の偏り、冷静な議論を守り立てず煽り立てるような傾向)を思うと、日本が戦後に築いてきたものがガラガラと崩れていくような恐怖を感じます。
数百万票を集め国会に二人を送り出した山本太郎さんのことを選挙中はどの新聞もほとんど報じませんでした。亭主の古巣は毎日新聞ですが、現場の記者たちは多くの聴衆を集めた山本さんの演説を聞いていたに違いない、しかし記事にしなかった(できなかった)。
と思うと、例の「表現の不自由展・その後」のあいちトリエンナーレ問題に関してはろくな取材もせずに、みんなで渡れば怖くないとばかり、何が問題なのかをきちんと整理せず、書きたい放題。展示が取りやめになったキム・ソギョンとキム・ウンソン「平和の少女像」についてはちょうど4年前の2015年8月18日ブログ・森下泰輔さんのエッセイ~戦後・現代美術事件簿第1回「犯罪者同盟からはじまった」でご紹介しましたが、一緒に展示中止となった大浦信行さん、藤江民さんの二人の作品についてはどの新聞にも正確な情報は掲載されていません。
二人とも現代版画センターのエディション作家(大浦作品藤江作品)で多少は出品作品の経緯を知るものですが、正確な情報を提供し冷静な議論の場をつくるというマスコミの使命を没却している、残念です。

私たち日本人は、仕事の場面で真面目な議論をするのが苦手だ。特に組織のなかの支配的な意見に対して、それとは違う自分の本心を発表するのが下手である。孤立するのも怖い。しかしその臆病と怠惰の結果は、想像するよりもはるかに大きい。(同書215ページ)」

後輩たちには、ぜひ堀川さんと会ってテレビにもこういう良心がいたのだと知って何かを学んでほしい。私たちの世代はもう終わりに近いけれど、若い人たちには未来がある、それを信じたいですね。

●本日のお勧め作品は藤江民です。
652_藤江民《さざなみⅠ》藤江民
さざなみ I
1984年
リトグラフ(作家自刷り)
Image size: 85.0×62.0cm
Sheet size: 91.0×63.0cm
Ed.30  Signed
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