<東現美コレクション展。オノサト・トシノブの小特集状態。じっくり観てきた。出征前の柔らかい風景のような円から抑留後の円そのものの円、色彩そのものの円。やっぱり気になるオノサト・トシノブ。周囲の繊細さは円の色彩、存在感を輝かせ、その円は周囲の繊細さをいっそう際だたせているように観える
(20200126/甘酒さんのtwitterより)>
30年ぶりの快挙、東京都現代美術館でのオノサト特集展示は油彩と水彩32点(うち福原コレクションが31点)です。
ときの忘れものの小展では油彩、水彩、版画17点を展示しているので、本日は版画(特にリトグラフ)について書きます。
『オノサト・トシノブ版画目録 1958ー1989』(1989年 ART SPACE刊)には、220点の版画作品(リトグラフ、シルクスクリーン、木版、捺染によるタペストリー、立体マルチプル)が収録されている。
オノサトの生前に刊行されたもが210点(1番~210番)、没後に刊行されたものが10点(211番~220番、オノサト・トモコによるサイン)である。
いわゆる初期リトグラフ(石版画)は1958~1966年までに制作された18点(上記レゾネ1番~18番)であり、もっとも市場評価が高い。
オノサト自ら版(石またはジンク版)に直接描画し、桐生の石版職人・荻野栄一郎が刷った18点は、色むら、色抜け、版ずれなどがあり、それがまた味わいともなって魅力を醸し出している。
版を作家自らが作ったオリジナル版画であり、初期リトグラフ制作の経緯については『オノサト・トシノブ伝』(1991年、オノサト・トモコ著、アート・スペース発行)に種々記載されており、いずれご紹介しましょう。
現在開催中の「オノサト・トシノブ展」にはコンディション抜群の7点を出品しています(壁面の都合で全部を展示していませんが、スタッフにお声をかけてくださればご覧いただけます)。
「59-B」
1959年
リトグラフ(刷り:荻野栄一郎)
31.0×49.0cm
Ed.50 Signed
※レゾネNo.3(Art Space 1989年)
オノサトの初期のリトグラフ18点(1958~1966)のうち、「べた丸」版画は3点のみ。市場価格も別格で高く、入手はなかなか難しい。
「64-F」
1964年
リトグラフ(刷り:荻野栄一郎)
23.7x31.8cm
Ed.120 Signed
※レゾネNo.13(Art Space 1989年)
「64-G」
1964年
リトグラフ(刷り:荻野栄一郎)
24.0x24.0cm
Ed.120 Signed
※レゾネNo.14(Art Space 1989年)
*通称「IBM」。IBM社の広報雑誌の表紙に使われた作品です。
「65-A」
1965年
リトグラフ(刷り:荻野栄一郎)
17.0×24.0cm
Ed.120 Signed
※レゾネNo.15(Art Space 1989年)
※上記レゾネにはEd.150とあるが、これは誤記。
「65-B」
1965年
リトグラフ(刷り:荻野栄一郎)
30.0×40.0cm
Ed.120 Signed
※レゾネNo.16(Art Space 1989年)
「66-A」
1966年
リトグラフ(刷り:荻野栄一郎)
12.2×18.0cm
Ed.120 Signed
※レゾネNo.17(Art Space 1989年)
「66-B」
1966年
リトグラフ(刷り:荻野栄一郎)
イメージサイズ:36.5x36.5cm
Ed.120 Signed
※レゾネNo.18(Art Space 1989年)
*この作品は久保貞次郎氏がコミッショナーを務めたヴェネツィア・ビエンナーレにオノサト先生が出品したときに制作された作品です。もう時効でしょうから書きますが、この作品は志水さん(南画廊)へ紹介したり、ヴェネツィア・ビエンナーレ出品に尽力してくれた御礼の気持ちで全エディション(120部)が久保先生に贈られました。亭主が1974年に久保先生のご自宅に伺ったときにほぼ全部数がそのまま残されていました。「オノサトさんから貰ったものだから、ボクが売るわけにもいかない」と言っていたのを拝み倒し、亭主が100部近い残部を全部いただきました。現代版画センターの初期の活動に大きな役割を果たしてくれました。
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
レゾネ18番の「66-B」を最後に初期リトグラフの時代が終わります。
次に1966年からいわゆる「四人組(尾崎正教、高森俊、大野元明、岡部徳三)」が版元となってシルクスクリーンの制作が始まります。刷りは名プリンター岡部徳三さんでした。
後年には岡部さん以外の刷り師が刷ったものもありますが、大半は岡部刷りです。
●本日27日(月)は休廊です。
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◎昨日読まれたブログ(archive)/2006年02月24日|鐘紡美術館を知っていますか
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◆ときの忘れものは『オノサト・トシノブ展』を開催し、初期作品を中心に油彩、水彩、版画を17点展示しています。
会期:2020年1月10日[金]―2月1日[土] *日・月・祝日休廊

・展示の詳細は1月18日ブログに掲載しました。
・オノサト・トシノブの文献については1月24日ブログで紹介しました。
・東京都現代美術館で開催中の「MOTコレクション 第3期 いまーかつて 複数のパースペクティブ」に福原義春氏が寄贈したオノサト・トシノブ コレクションの中から、初期具象~べた丸時代の油彩・水彩が31点展示されています(~2月16日、出品リストはコチラ)。
●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
(20200126/甘酒さんのtwitterより)>
30年ぶりの快挙、東京都現代美術館でのオノサト特集展示は油彩と水彩32点(うち福原コレクションが31点)です。
ときの忘れものの小展では油彩、水彩、版画17点を展示しているので、本日は版画(特にリトグラフ)について書きます。
『オノサト・トシノブ版画目録 1958ー1989』(1989年 ART SPACE刊)には、220点の版画作品(リトグラフ、シルクスクリーン、木版、捺染によるタペストリー、立体マルチプル)が収録されている。
オノサトの生前に刊行されたもが210点(1番~210番)、没後に刊行されたものが10点(211番~220番、オノサト・トモコによるサイン)である。
いわゆる初期リトグラフ(石版画)は1958~1966年までに制作された18点(上記レゾネ1番~18番)であり、もっとも市場評価が高い。
オノサト自ら版(石またはジンク版)に直接描画し、桐生の石版職人・荻野栄一郎が刷った18点は、色むら、色抜け、版ずれなどがあり、それがまた味わいともなって魅力を醸し出している。
版を作家自らが作ったオリジナル版画であり、初期リトグラフ制作の経緯については『オノサト・トシノブ伝』(1991年、オノサト・トモコ著、アート・スペース発行)に種々記載されており、いずれご紹介しましょう。
現在開催中の「オノサト・トシノブ展」にはコンディション抜群の7点を出品しています(壁面の都合で全部を展示していませんが、スタッフにお声をかけてくださればご覧いただけます)。
「59-B」1959年
リトグラフ(刷り:荻野栄一郎)
31.0×49.0cm
Ed.50 Signed
※レゾネNo.3(Art Space 1989年)
オノサトの初期のリトグラフ18点(1958~1966)のうち、「べた丸」版画は3点のみ。市場価格も別格で高く、入手はなかなか難しい。
「64-F」1964年
リトグラフ(刷り:荻野栄一郎)
23.7x31.8cm
Ed.120 Signed
※レゾネNo.13(Art Space 1989年)
「64-G」1964年
リトグラフ(刷り:荻野栄一郎)
24.0x24.0cm
Ed.120 Signed
※レゾネNo.14(Art Space 1989年)
*通称「IBM」。IBM社の広報雑誌の表紙に使われた作品です。
「65-A」1965年
リトグラフ(刷り:荻野栄一郎)
17.0×24.0cm
Ed.120 Signed
※レゾネNo.15(Art Space 1989年)
※上記レゾネにはEd.150とあるが、これは誤記。
「65-B」1965年
リトグラフ(刷り:荻野栄一郎)
30.0×40.0cm
Ed.120 Signed
※レゾネNo.16(Art Space 1989年)
「66-A」1966年
リトグラフ(刷り:荻野栄一郎)
12.2×18.0cm
Ed.120 Signed
※レゾネNo.17(Art Space 1989年)
「66-B」1966年
リトグラフ(刷り:荻野栄一郎)
イメージサイズ:36.5x36.5cm
Ed.120 Signed
※レゾネNo.18(Art Space 1989年)
*この作品は久保貞次郎氏がコミッショナーを務めたヴェネツィア・ビエンナーレにオノサト先生が出品したときに制作された作品です。もう時効でしょうから書きますが、この作品は志水さん(南画廊)へ紹介したり、ヴェネツィア・ビエンナーレ出品に尽力してくれた御礼の気持ちで全エディション(120部)が久保先生に贈られました。亭主が1974年に久保先生のご自宅に伺ったときにほぼ全部数がそのまま残されていました。「オノサトさんから貰ったものだから、ボクが売るわけにもいかない」と言っていたのを拝み倒し、亭主が100部近い残部を全部いただきました。現代版画センターの初期の活動に大きな役割を果たしてくれました。
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
レゾネ18番の「66-B」を最後に初期リトグラフの時代が終わります。
次に1966年からいわゆる「四人組(尾崎正教、高森俊、大野元明、岡部徳三)」が版元となってシルクスクリーンの制作が始まります。刷りは名プリンター岡部徳三さんでした。
後年には岡部さん以外の刷り師が刷ったものもありますが、大半は岡部刷りです。
●本日27日(月)は休廊です。
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◎昨日読まれたブログ(archive)/2006年02月24日|鐘紡美術館を知っていますか
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◆ときの忘れものは『オノサト・トシノブ展』を開催し、初期作品を中心に油彩、水彩、版画を17点展示しています。
会期:2020年1月10日[金]―2月1日[土] *日・月・祝日休廊

・展示の詳細は1月18日ブログに掲載しました。
・オノサト・トシノブの文献については1月24日ブログで紹介しました。
・東京都現代美術館で開催中の「MOTコレクション 第3期 いまーかつて 複数のパースペクティブ」に福原義春氏が寄贈したオノサト・トシノブ コレクションの中から、初期具象~べた丸時代の油彩・水彩が31点展示されています(~2月16日、出品リストはコチラ)。
●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
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