塩見允枝子 特別頒布会

1964年にニューヨークへ渡り、「フルクサス」に参加。イヴェント、インターメディア、パフォーマンス、作曲など多様な活動を行なっている塩見允枝子さん。
今までも作品集や書籍は取り扱ってきましたが、このたび塩見さんの作品を初めて取り扱うことになりました。お披露目をかねて特別頒布会を開催します。
各作品の解説は塩見さんが今回のために書き下ろしてくださいました。

●塩見允枝子 特別頒布作品
001)Bottled Music 音楽の小瓶 Selection 1
DSC_0882《Bottled Music 音楽の小瓶 Selection 1》
1993/2013  1個限定 サインとナンバー入り。
瓶高:8~10cm
箱サイズ:24×18×11cm
<このシリーズは1993年ケルンのフンデルトマルク画廊が主催した「サウンド・オブジェクト展」のために制作した作品で、様々な音楽的コンセプトが小瓶の中に詰まっています。例えば、透明なシリコンロックを透して凍り付いたように見える(オクターヴ)12の音が入っている瓶とか、五度の持続和音が録音されているテープと芳香で満たされている瓶。或いはJ. S. バッハの平均律曲集第1番のプレリュードに含まれる全ての音が10個の和音となって琥珀色の中に閉じ込められている瓶などです。
出品した#1~#8は、現地の新聞でも紹介されたせいか、会期中に大半が売れてしまいましたので、続けて#9~#14を制作しました。これは2013年になって、手元にあったナンバーを集めて桐箱に入れ、3つのセレクションとして作ったものの1つです。
箱の中には、この作品群を紹介している新聞Koelner Stadt-Anzeigerのコピーや
この展覧会への案内状も入っています。

セレクション1に含まれる8種類の瓶:
#4 An Aromatized Chord 芳香をつけられた和音 (VI/VI)
#6 Frozen Twelvetones 凍れる十二音 (IX/XII)
#9 Ready to Blend Expressions 調合された曲想標語 (VI/XII)
#10 Time-Capsules 時間のカプセル (V/XII)
#11 Amber Prelude 琥珀色のプレリュード (V/VI)
#12 Sonic Palindrome 音の回文 (2個で一組) (VI/XII)
#13 Silence for a Bell 沈黙する鐘 (V/XII)
#14 Dream Inducer 夢の誘引剤 (V/XII)(塩見允枝子記)>


002)Assorted Spices for Dinner & Daydreams 晩餐と白昼夢のための特選スパイス
晩餐と白昼夢のための特選スパイス《Assorted Spices for Dinner & Daydreams 晩餐と白昼夢のための特選スパイス》
1995
12個限定 サインとナンバー入り。
瓶高:16.2cm 箱サイズ:21.5 × 13 × 9cm  
<1995年ブレーメンのコルネリウス・ヘルツ画廊で開かれた「トリロジー展 mirror-food-skin」のfoodの部門のために作った作品で、ピアノ曲のスコアー15種と本物のスパイス20種がそれぞれ2個ずつ、合計70個のカプセルに入っています。12個限定で制作しましたが、現在6個までが海外のコレクターに収集されています。

内容一覧:アニスシード、アラベスク=グラナドス、バルカローレ=チャイコフスキー、バジル、黒胡椒、カプリッチオ=バッハ、中国山椒、チャイヴス、コリアンダー、謎=スクリヤービン、ファンタジー=ショパン、フェンネル、ガーリック、ホースラディッシュ、ラヴェンダー、月桂樹、レモングラス、リーベストラウム=リスト、メディテーション=サティ、古風なるメヌエット=ラヴェル、ノヴェレッテ=シベリウス、ナツメッグ、パプリカ、パセリ、パヴァーヌ=フォーレ、赤唐辛子、夢想=ドビュッシー、ラプソディー=ブラームス、ローズマリー、セージ、スケルツォ=ベートーヴェン、タピオカ、トロイメライ=シューマン、ターメリック、束の間の幻影=プロコフィエフ(塩見允枝子記)>


003) Ultimate Music 究極の音楽 No1~No.6 "6点組"
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ultimate music006《Ultimate Music 究極の音楽 No1~No.6》
2004
46部限定版 サインとナンバー入り。 
サイズ:A4 厚紙封筒入り。
楽譜を使った視覚詩。
<これは楽譜を使った視覚詩です。2003年に東京の啓祐堂画廊で「北園克衛展」が開催されたのを記念して、「in the spirit of Kit Kat」という21名の詩人の小品を箱に入れたエディションが出版されました。その時にNo.1を寄稿したのが切っ掛けとなり、継いでNo.6までを一気に作成し、翌年46部限定で個人のエディションとして出版したものです。

No.1 凝縮された交響曲第九番 最終楽章(合唱付き)
No.2 大荒れのジムノペディ
No.3 視覚化された4‘33“
No.4 ヘイ、プレリュード、いつまでやっているんだ!
No.5 ラールゴ – 無限のアリア
No.6 トロイ - 遮断された - メライ

タイトルからもお分かりのように、これらは既成の楽曲を、凝縮したり、変形したり、文字化したり、擬人化したり、というような操作を加えた一種の音楽的ジョークでもあります。(塩見允枝子記)>
※今回の頒布会では35/46と、36/46が出品されます(画像は35/46)
※額装を希望の方は額代実費がかかります。お申込みの際にご相談ください。


004)TIME LABYRINTH 時の迷宮
TIME LABYRINTH_page-0001《TIME LABYRINTH 時の迷宮》
シルクスクリーン
1994  A.P.10部、サインとナンバー入り。
作品サイズ:30.5×21.5cm
<1994年ニューヨークで、ナム・ジュン・パイクとジョナス・メカスの共催による「SeOUL NYmAX」が行なわれました。そこでは「フルクサス再会コンサート」と題した1か月にも及ぶパフォーマンス・シリーズの他に、35人のメンバーから予めファックスで送られていた原画がシルクスクリーンとして出版されました。それらはFLUXFAXと印字された皮の鞄に入れられて100部限定の全集となりましたが、その際、各作家にはA.P.10部ずつが贈呈されたのです。これも時間を軸にした一種の視覚詩と言えるでしょうか。(塩見允枝子記)>
※額装を希望の方は額代実費がかかります。お申込みの際にご相談ください。

005)Endless Music 無限の音楽 スタンプセット
Endless Music《Endless Music 無限の音楽》スタンプセット
1997 Stamp Art Gallery版
箱サイズ:18×14.5×3.5cm
Ed.50 サイン入り。
<サンフランシスコにあるStamp Art Galleryのディレクターから、フルクサスのメンバーによるラバー・スタンプの展覧会を開きたいので、参加しないかという誘いを受けました。2~4個のスタンプが一つの箱に入ったエディションになるとのことでした。
そこで、スタンプなる物の特性を考えてみると、何度でも押せること、そして向きを変えて押すことも出来るということから、無限に続く音楽を作曲する為のスタンプセットを作りたいと思い、接続可能な4つのメロディーと4個のスタンプを組み合わせるルールを考えたのです。蓋を開けると作曲法が書いてあります。50部限定と聞きましたがナンバーはありません。  これは私の所に送られてきた数個の内の一つです。(塩見允枝子記)>


006)An Incidental Story on the Day of a Solar Eclipse #1, #2, #3
日蝕の昼間の偶発的物語 1巻、2巻、3巻
An Incidental Story on the Night of a Lunar Eclipse #1, #2, #3
月蝕の昼間の偶発的物語 1巻、2巻、3巻(アタッシュケース入り)

月蝕日食DSC_0697
《An Incidental Story on the Day of a Solar Eclipse #1, #2, #3
An Incidental Story on the Night of a Lunar Eclipse #1, #2, #3
日蝕の昼間の偶発的物語 1巻、2巻、3巻
月蝕の昼間の偶発的物語 1巻、2巻、3巻》
2008/2019
6部限定 サインとナンバー入り。
ケースのサイズ:38×27×7cm
<タイトル同様、この作品には長い経緯があるのです。発端は1994年にフンデルトマルク画廊の「ブック・オブジェクト展」へ参加を依頼され、3冊の鍵の掛かった手書きの本を出品したことに遡ります。その後、この物語は改訂を重ねながら、平面作品としてパリのドンギュイ画廊で展示されたり、ナレーションや環境音その他を伴うパフォーマンスとなったり、1997年には神戸国際現代音楽祭で「日蝕の昼間の偶発的物語#1、#2、#3」として、ソプラノやピアノを交えた本格的な室内楽として初演されたりしました。
この物語が何故「偶発的」なのかと言いますと、日蝕が始まると同時に、或るピアニストがバッハのパルティータという組曲を弾き始め、彼女がプレリュードを弾いているときならP, アルマンドに移ったならAを頭文字に持つ単語を多用して紡がれているからです。PならPという文字で始まる単語は沢山ありますが、どれを選ぶかによって、お話しの内容はすっかり変わってきます。ここに綴られた物語は、その時の私の想像力や好みによって偶々選ばれた単語によって具体化されたものだからです。そしてここでは、日蝕や月蝕という天体の現象、パルティータという音楽的な時間、そして不特定の場所で起きる様々な出来事、という三つの層の時間が同時に流れています。
J. S. バッハには6曲のパルティータがありますが、第1番~3番を「日蝕の昼間の偶発的物語」に、第4番~第6番を「月蝕の夜の偶発的物語」に当てています。

2008年に豊田市美術館で「日本のアーティスト6人」と題する展覧会が開かれたとき、
この6つの物語に1枚のグランドピアノの写真の拡大・縮小コピーを切り貼りしたイラストと楽譜の一部を添え、一種の絵本として展示し、来場の方々に読んで頂きました。
このアタッシュケース入りの6巻からなる全集は、その時の原稿に手を加えて6部限定のクリアファイル本として作成したものです。(塩見允枝子記)>


007)Events & Games イヴェント小品集
Events & Game《Events & Games イヴェント小品集》
2005
ギャラリー360°版
80部限定 サインとナンバー入り。
ボックスのサイズ:17×14×5cm
<1963~64年にフルクサスから出版された23枚のイヴェント・カードと顔写真を、ギャラリー360°が特製のアクリル・ボックスに入れ、80部限定で再版したものです。
これらの単純なイヴェント作品は、私のその後の活動にとって原点ともいうべきもので、
コミュ二ケーションという点ではスペイシャル・ポエムに発展し、又、パフォーマンスとしてはインターメディアや現在に至るまでの様々な演奏芸術の源となっています。(塩見允枝子記)>


008)Fluxus Balance フルクサス・バランス
DSC_0892《Fluxus Balance フルクサス・バランス》
1993
ポートフォリオ
100部限定 サインとナンバー入り。
<スペイシャル・ポエムに次ぐ、郵便による共同作品の第2弾です。これは1992年にマドリードで開かれる筈であったフルクサス・フェスティヴァルの為に企画したのですが、諸々の事情で開催は中止となりました。そこで、参加して下さった人達に送り返すために出版したのが、このポートフォリオ版です。事前に、招待者には次のような招待状を送っていました。
   「天秤の皿の一つに、他の人が乗せるはずのもう一方の皿上のものと、
    バランスするような何かを書いて下さい。それは物体でも概念でもいいし、
    又、その重量は明記してもしなくても結構です」
勿論その時点では、他の人が何を提示するかは誰にも分かりません。68人の参加者から、如何にもその人らしいキャラクターを反映した回答が寄せられました。スペイシャル・ポエムは単なるパノラマでしたが、これは後で誰もが遊べる、コンセプチュアルなゲームなのです。1995年には私自身が組み合わせを考えて、箱入りの34枚の天秤を10部限定で作り、国内だけでなく、日独ヴィジュアル・ポエトリーのグループ展に出品して、ヨーロッパ数か所を巡回しました。

ポートフォリオの内容: 天秤の写真1枚、参加者から寄せられた68枚のカード、微調整用の3個の重りと紐、このゲームの趣旨と参加者一覧表、招待状のコピー、購入者が参加するための2枚の白紙カード。
エディションとしては、750部限定の普及版(ナンバーのみ)と100部限定の特別版(サインとナンバー入り)を作りましたが、これは特別版の方です。(塩見允枝子記)>

●お申込み方法
お問合せ、お申込みはこちらから、またはメール(info@tokinowasuremono.com)にてお願いします。
※お問合せ、ご注文には、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください
現在、スタッフは在宅勤務を基本に画廊には交代で出勤しています。返信にお時間がかかりますことを予めご了承下さいませ。
梱包送料は1,000円~2,000円、ただし複数の額装をご希望される場合は別途お見積りさせていただきます。


●塩見允枝子さんのオーラル・ヒストリーをぜひお読みください。

●ブログ2020年04月08日『後藤美波、塩見允枝子「女性の孤独な闘いを知る10分 SHADOW PIECE」ジェンダー差別「考えたことがない」―― 世界的”女性アーティスト”が背負ってきたもの』
映画監督の後藤美波さんによる短編ムービーをご紹介しましたのでぜひご覧ください。
https://creators.yahoo.co.jp/gotominami/0200058884

●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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