海外の某美術館から「マルセル・デュシャン展」を計画しているので、金坂健二の撮影したデュシャンのポートレートを展示したい、というメールが届きました。
そういえば金坂先生のデュシャンの肖像写真があったよなあ・・・。
亭主の記憶力の減退はあきれるほどですが、今日はデュシャンではなくウォーホルのポートレートについて、忘れないうちに書いておきましょう。

亭主が美術界に入って47年になりますが、久保貞次郎先生はじめ美術評論家に方々にはとてもお世話になりました。
そのお一人、瀬木慎一先生が亡くなられたのは10年前の2011年3月15日、80歳でした。ちょうど3月11日の東日本大震災の直後で不安に怯える日々、お焼香もできませんでした。
不思議な偶然ですが、亭主が1974年春に現代版画センターを創立したとき最初の機関誌『画譜 創刊準備号』に寄稿してくださったのが瀬木先生で、その発行日が奇しくも1974年の同じ3月15日でした。
このとき同じく創刊準備号に寄稿してくださった詩人の清水昶さんもその少し後の5月30日に亡くなられています。
2008年9月19日瀬木慎一、金華飯店小野隆生展オープニング2008年9月19日小野隆生展オープニングの会食会にてスピーチする瀬木先生。

瀬木先生が亡くなられた後、遺された資料、作品(コレクション)などの整理をお手伝いしました。
瀬木先生の徹底した資料収集、それを活用しての執筆活動は誰もが認めるところでした。
ご遺族から託された膨大な資料類の大半は国立新美術館にお収めし、コレクションは幾度かギャラリーで売り立てしました。
瀬木先生は一つ一つの資料や作品を紙袋に入れ、きちんと資料名や作家名を記載されており、後継の者にとってはとてもありがたい保存の仕方(遺産)でした。
その中に金坂健二先生が1968年にNYのウォーホルのスタジオで撮影した写真作品14点がシートのまま紙袋に入れて保存されていました。
parco201金坂健二1983年6月7日「アンディ・ウォーホル全国展」渋谷パルコでのオープニングにて金坂健二先生。

ウォーホルを撮った14点の写真は、亭主がぼけっとしていてつい最近まで気づかなかったのですが、1988~1989年にかけて東京、名古屋、金沢で開催された『アンディ・ウォーホル展』に出品、展示された作品そのものでした。
1988年12月27日~1989年1月17日にエスパース・プランタンでスタートをきった同展の企画は瀬木先生が主宰する総合美術研究所によるものでした。
同展の図録をご紹介しますが、出品リストの最後に「ウォーホルの肖像写真14点 Portrait of Andy Warhol 金坂健二氏撮影」と記載されています。
ただし、14点中、図録の各所に掲載されているのは9点です。
以下、写真が掲載されているページをスキャンして掲載しますので、ときの忘れものの作品ページと参照してみてください。サインなど全く同じです。

『アンディ・ウォーホル展』図録0001『アンディ・ウォーホル展』図録0002
『アンディ・ウォーホル展』図録0003
『アンディ・ウォーホル展』図録0004
『アンディ・ウォーホル展』図録0005
『アンディ・ウォーホル展』図録0006
『アンディ・ウォーホル展』図録0007
『アンディ・ウォーホル展』図録0008
『アンディ・ウォーホル展』図録0009
『アンディ・ウォーホル展』図録0010
『アンディ・ウォーホル展』図録0011
『アンディ・ウォーホル展』図録0012
20210326113737_00001

瀬木コレクションの整理が一段落して、金坂先生の14点の写真を最初に公開したのは2017年の「WARHOL―underground america」展でしたが、金坂先生を知る人も少なく、ほとんど売れませんでした。
そして先日「銀塩写真の魅力Ⅶ 20世紀の肖像」展に数点を展示し、連動してブログで『金坂健二とウォーホル特別頒布会』を開催したところ、思いがけずも好評で若いコレクターの皆さんに売れ、ウォーホル、瀬木先生、金坂先生の三人に世話になった亭主としてはなんかほっとしました。
09とは言え、まだ半分残っています。
ぜひ稀少なウォーホルの肖像写真をコレクションしてください。
ところで、この駄文をお読みの方の中で冒頭に記した金坂先生撮影のデュシャンのポートレートをお持ちの方がいらしたら、ぜひご一報ください

金坂先生については森下明彦さんのブログ連載エッセイをお読みください。
2017年12月11日 『森下明彦「金坂健二とその時代」その1』
2017年12月14日 『森下明彦「金坂健二とその時代」その2』
2017年12月21日 『森下明彦「金坂健二とその時代」その3』

●本日のお勧め作品は金坂健二です。
012金坂健二 Kenji KANESAKA
無題 12
1968   ゼラチンシルバープリント
34.7x27.1cm
*瀬木慎一旧蔵 「アンディ・ウォーホル展」(1989年 愛知県美術館、石川県立美術館)出品展示作品。
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塩見允枝子のエッセイ「フルクサスの回想」第5回を掲載しました。合わせて連載記念の特別頒布会を開催しています。
AAA_0894塩見允枝子先生には11月から2021年4月までの6回にわたりエッセイをご執筆いただきます。3月28日には第5回目の特別頒布会を開催しました。お気軽にお問い合わせください。


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