小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」第45回

今回ご紹介するのは、丸善のPR誌『學燈』です。
入手したのは、昭和初めの号、60冊ほど。
もともとは洋書の丸善、和洋の書籍のカタログ的な役割を果たしていた『學燈』ですが、あの内田魯庵が編集長になってからは、そのカタログ的な役割から、もう少し幅を広げ評論誌のようになったそうです。
今回入手した号は、内田魯庵が亡き後、二代目編集長に劇作家の水木京太が就いてからの号となります。

写真1

まずは表紙が素晴らしいものが多いです。

写真2

そして、洋書や雑貨などさまざまな広告も、すべてがカッコいい。

写真3写真4
写真5写真6

記事もこんなものがありました。

写真7「ナチス治下の独逸出版界」

なにもかもがナチス=ヒトラー一色になっていき、ナチスのスローガンの下、出版界も存在できることを、筆者は直接否定をするわけではありません。
ただ文中には「嘗ての多種多様なドイツの思想界書籍界を、賛否は知らず書に親しむ筆者としては懐かしく思ふ。」と書いてあり、1934年の号でありながら、忍び寄る何かに違和感を持つ読書人の姿を見ることが出来ます。

ほかにも興味深い記事はたくさん。
なにより掲載の広告をひとつずつ眺めているだけでも、好奇心を刺激されます。
ご来店の際には、ぜひお手に取ってご覧ください。

※『學燈』については、こちらの丸善出版さんのHPからも詳しくご覧いただけます。

おくに たかし

小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。

■小国貴司 Takashi OKUNI
「BOOKS青いカバ」店主。学生時代より古書に親しみ、大手書店チェーンに入社後、店長や本店での仕入れ・イベント企画に携わる。書店退職後、新刊・古書を扱う書店「BOOKS青いカバ」を、文京区本駒込にて開業。

●本日のお勧め作品は宇田義久です。
uda_05宇田義久 Yoshihisa UDA
"aquarium 21-1"
2021年
パネル・アクリル・ウレタンニス
160x91cm  サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

●ときの忘れものが青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転して3年が経ちました。もともと住宅だった阿部勤設計の建物LAS CASASを使って、毎月展覧会(Web展)を開催しています。
WEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>の特集も是非ご覧ください。
ときの忘れものはJR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。