『凸凹な多面体:星埜恵子の仕事1970-2021 ー共創スパーク ダンス、舞踏、マイムを中心にー』
併催:池田龍雄(1928-2020) いつも近くに、そしていつまでも その2
会期:2021年7月10日~15日
会場:六本木ストライプスペース
〒106-0032東京都港区六本木5-10-33 

IMG_6880六本木ストライプスペース入口。
地下鉄・大江戸線、日比谷線の六本木駅から芋洗い坂を下ってゆくと途中に見えます。

 7月10日(土)、六本木ストライプスペースにて行われていた、『凸凹な多面体:星埜恵子の仕事1970-2021 ー共創スパーク ダンス、舞踏、マイムを中心にー』展示とイベント&トーク『小林嵯峨、曽我傑×多田正美』に参加してきました。
1970年にアングラ演劇・小劇場の舞台美術家としてデビューした星埜恵子さんの50年の歩みをマルチ展示するとともにその歩みを支えてきた、小林嵯峨さんによる舞踏や、曽我傑さん、多田正美さんによる演奏ステージが披露されました。

イベント&トーク『小林嵯峨、曽我傑×多田正美』
IMG_6864舞踏や演奏が開始する前のステージ。参加は予約制でしたが人気が高かったらしく観客は多かったです。

 当日会場ではフェイスシールドが配られ、”密”による感染リスクを減らす工夫がなされていました。まずは小林嵯峨さんの舞踏が始まりました。マスクをつけて髪に草花(ドライフラワーか?)をあしらい、落ち着いた色のひらひらした衣装でゆっくりと登場。まるで秋の枯葉が木にかろうじてぶら下がっているかのような緊張感ある場面でスタート。嵯峨さんもマスクをつけていましたが目で表情以上の表現をされているように見えました。
 そして嵯峨さんが髪につけていた草花をむしり取り、それまでの緊張感ある場面とはうって変わって、ダイナミックな舞踏を披露。曽我傑さんと多田正美さんのインパクトある演奏が加わります。曽我さんは鍵盤で音を奏でて舞台の雰囲気を変え、多田さんはオリジナルの楽器(木の枝や缶、水の入ったボトル)などを駆使しステージを彩ってゆきます。中盤、嵯峨さんが舞台から姿を消した後は曽我さんと多田さんのセッションになります。目を閉じ、音だけに集中している観客もいました。
 パフォーマンス中は撮影禁止だったため皆様にこの舞台をご紹介するのに文字だけの説明となってしまいもどかしく思います。実際は舞踏と演奏に、照明の光や絶妙な”間”などが絡み合い独特な空間が形成されていました。
 その後のトークでは星埜さんと嵯峨さんのお付き合いの始まりが日向あきこさんの「他者の世紀」出版記念イベントであったこと、共創スパークドイツ公演や池田龍雄さんの美術展のパフォーマンスなどでお仕事されてきたことなどをお話ししてくださいました。

『星埜恵子の仕事』展示
IMG_6875IMG_6874
IMG_68731992年11月6日~11月8日にスタジオams(ams西武三軒茶屋)で開催された『水 THEATER MOVEMENT ー音、空間、そして動きのコラボレーションー』にて使われたオブジェ。蓮は不忍池の蓮を使用。今となっては貴重な当時の舞台オブジェやその時の写真も公開されました。

IMG_68702019年1月6日、シアターXで行われた『シアターX 新春舞踏鍋』の中の三浦一壮さん作・振付の「ちむりぐさ」で星埜さんが手がけた衣装。後ろに掲げてある写真は当時のもので舞台写真家の高島史於さん撮影。

IMG_6878IMG_6877IMG_6879
 おそらくこれでも一部なのだろうと思われますが数々の資料や美術作品が展示されています。

『池田龍雄(1928-2020) いつも近くに、そしていつまでも その2』
IMG_6866
 昨年、2020年11月30日にお亡くなりになった池田龍雄さんの展示会場では業績をたたえる種々の作品や資料が展示されています。池田さんと星埜さんについてはときの忘れものブログ2017年02月08日「LECTURES 2007-2015 池田龍雄講義録」もお読みください。

小林嵯峨さんとときの忘れもの
 小林嵯峨さんはときの忘れもので舞踏をしてくださったことがあります。まだときの忘れものが青山にあった2007年03月17日のことでした。
 今回のイベントが終わった後に嵯峨さんとお話をさせていただきました。ときの忘れものでの舞踏を覚えていてくださり、階段で踊ったことが印象的だったと語ってくださいました。その時のことはブログ2007年03月23日『ギャラリー新人日記 2007年3月17日』をお読みください(新人とは現在の副社長尾立です)。
 たまたまなのですがときの忘れものの「ヨシダ・ヨシエコレクション」を整理した際に嵯峨さんの著書が見つかりました。何かのご縁かもしれません。サインをしていただけないか伺ったところご快諾いただき、プレミア本となった『うめの砂草: 舞踏の言葉』(2005年)はこちらです。

20210710195556_0000120210710195556_00002
 ヨシダ・ヨシエさんに関してはブログ2016年01月12日「ヨシダ・ヨシエさん死去」をお読みください。

 ときの忘れものではこれまでに写真家・細江英公先生の展覧会を幾度も開催してきました。細江英公先生が、舞踏家・土方巽さんを撮影した『鎌鼬』は、1969年に現代思潮社より刊行され、芸術選奨文部大臣賞を受賞しています。土方巽さんに師事してきた小林嵯峨さんの舞踏はどこかに『鎌鼬』をも彷彿とさせる躍動感がありました。

お土産
 当日参加者に配られた「灰神楽」フライヤーは1997年、98年当時のもの(クリックで拡大します)。
20210710195504_0000120210710195504_00002

 <地球との対話プロジェクト>では『今、世界は大きく変容しつつある。』と書かれています。1997年、98年には既に地球の変化の兆しを感じ取っていた星埜さんたちは今の時代にこそ重要になる表現者ではないかと思います。星埜さんたちの活動の履歴がこの変化の時代においてどう地球と向き合っていくのか、国境や時代を超えたヒントを我々に与えてくださっているように思いました。

※画像はすべて星埜恵子さんの許可を得て撮影・掲載をしています。

(文・写真/スタッフI)

20210702190645_0000120210702190645_00002

●芸術祭のお知らせ
『アジアトライAKITA2021千秋芸術祭』
※Youtube にて同時配信
会期:2021年9月4日(土)・9月5日(日)
会場:秋田県秋田市・千秋公園本丸
20210710195438_0000120210710195438_00002
主催:アジアトライAKITA千秋芸術祭実行委員(主な構成団体:NPO法人土方巽記念秋田舞踏会等)
共催:秋田市・助成:秋田県(文化による地域の元気創出事業)・ASIA TRI PROJECT
協力:ASIA TRIPROJECT・慶応義塾大学アートセンター 鎌鼬の会
後援:秋田県教育委員会・秋田市教育委員会・秋田県芸術協会・秋田さきがけ新報社、朝日新聞秋田総局・毎日新聞秋田支局・ABS秋田放送・AKT秋田テレビ・CAN秋田ケーブルテレビ・AAB秋田朝日放送・河北新報社・読売新聞社秋田支局・秋田公立美術大学・公立大学法人国際教養大学・国立秋田大学公益財団法人秋田観光コンペンション協会・CAN 秋田ケーブルテレビ・エフエム秋田

出演
愛和気(舞踏)
神原ゆかり(モダンダンス)
上杉満代(舞踏)
小林嵯峨(舞踏)
多田正美(サウンドエンカウンター)
秀島 実(舞踏)
藤條虫丸(舞踏)
小林郁代(舞踏)
舞踏舎天鶏(舞踏)
舞踏派ZERO(舞踏)
ねいろ・山本むつみ(舞踏)
中村明一(尺八)&元井美智子(琴)
劇衆・上海素麺工場(演劇)
ヒグマ春夫(ビデオパフォーマンス)
大森政秀(舞踏)
高松真樹子(舞踏)
宇佐美雅司(演劇)
三浦一壮(舞踏)
リアント(コンテンポラリー)
荒 茂子(舞踊)
アベ・レイ(声楽)
川本裕子&東雲舞踏
木村由(舞踏)
工藤丈輝(舞踏)
BAMBANG PANINGRON
阿部歩(バリ舞踊)
Giri Kencana(バリ舞踊)
浅野修一郎(三味線)
今野日音琉(サマトワ)
小松アニー(ジャワ舞踊)
リマ・マハラザン(ネパール舞踊)
加賀谷葵(コンテンポラリー)
Naia Amwaj (ベリーダンス)
アフリカ舎カラバンテ(民族舞踊)
男鹿和太鼓愛好会(なまはげ)
灯乃会(西馬音内盆踊り)

映像出演
ホワイトダイス(舞踏)
RamaSimon(コンテンポラリー)
花名ーknna Kai Jones(舞踏)
Bimo Danse Theater(民族舞踊)
Nani Topeng Losari(民族舞踊)
Jocelyne Montpetit(舞踏)
Nine Dipia(コンテンポラリー)
Sin Cha Hong(モダンダンス) 他

司会 椎名恵
音楽 曽我傑
照明 アンビル 高橋剛・高橋淳一
映像 メルデジタル 小森一太 松野輝大
写真 菅野証 銭谷均
総合ディレクター 曽我傑
総合プロデューサー 米山伸子

●本日のお勧めは光嶋裕介です。
koshima_2021_PASTEL2光嶋裕介 Yusuke KOSHIMA
《幻想都市風景-2021PASTEL-2》 
2021年 紙にインク、パステル
シートサイズ:34.4×25.2cm
サインあり
作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

●ときの忘れものは2017年に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。もともと住宅だった阿部勤設計の建物LAS CASASを使って、毎月展覧会Web展)を開催し、美術書の編集事務所としても活動しています。
WEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>の特集も是非ご覧ください。
ときの忘れものはJR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。