「生誕130年 ヘンリー・ミラー 特別頒布会」
2021年12月26日はヘンリー・ヴァレンタイン・ミラー(Henry Valentine Miller, 1891年12月26日 - 1980年6月7日)の生誕130年です。
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『久保貞次郎 美術の世界 8 ヘンリー・ミラー』(1984年、叢文社) p.3より引用
ヘンリー・ミラー(左)と久保貞次郎(右)。1972年/撮影・飯塚国雄

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『久保貞次郎 美術の世界 8 ヘンリー・ミラー』(1984年、叢文社) p.4より引用

ヘンリー・ミラー Henry MILLER
アメリカ合衆国の小説家、水彩画家。1891年ニューヨーク市マンハッタン区ヨークヴィルにドイツ系アメリカ人の長男として生まれる。本名ヘンリー・ヴァレンタイン・ミラー。小説の代表作に『北回帰線』『南回帰線』『薔薇色の十字架』などがある。文豪でもあるが、生涯に数千点の水彩画を描き上げた画家でもある。

●画家としてのヘンリー・ミラー
小説家の印象が大きいヘンリー・ミラー。しかし、同時に水彩画の名手であることも事実である。
ミラーの水彩が1955年に京橋・ブリヂストン美術館(現・アーティゾン美術館)で40数点が陳列されたとき、日本の美術界は彼の作品をさほど高くは評価しなかった。「これは独自の技術を持たない素人の絵だ」と評する評論家もいた。これに対して美術評論家であり、のちに町田市立国際版画美術館初代館長を務めた日本有数の大コレクターであった久保貞次郎はこの論評に疑問を投じる。果たして本当に彼の絵は独自の技術を持たないのだろうか。
久保貞次郎はこう評する。
ミラーの絵には何物にも拘束されない自由さがあり、かれのえがくものにそそいだ限りない愛情がそこに定着している。
ミラーは深く対象物を愛する故にその愛し方を探して我を忘れる。ここにミラーの絵画の独自な技術が生まれる秘密がある。彼の愛はあまりに素朴で奔放なためそこから生み出された彼の技術を、技術としてみなすことを人々が怠るのではないか。この頃はまだ世界がこの偉大な画家の真価を認めていなかった。あまりに無邪気でパターンにとらわれない作風は要するに複雑で理解できなかったのだ。

●久保貞次郎とヘンリー・ミラー
久保貞次郎はヘンリー・ミラーの作品の収集をはじめ、1957年にブリヂストン美術館でヘンリー・ミラーの作品を3点購入し、その時展覧会の主催者だった啓明社という出版社を通じてヘンリー・ミラーと文通するようになる。文通期間は断続的に約10年続く。ミラーに会い、懇意になるとその絵の魅力を靉嘔木村利三郎、川上高徳、飯塚国雄、磯辺行久らに語る。彼らは当時世間でそれほど評判になっていないミラーの水彩のよき理解者となった。
1962年、ケルン、ロンドン、ニューヨークでミラーの水彩画集が出版された。その頃には状況も幾分変わった。同年『北回帰線』映画化契約が成立した。1968年には日本各地で展覧会が開催されるようになる。このころにはもう知らない者はいなかった。

●ヘンリー・ミラーの版画
日本でも、版画入り『ヘンリー・ミラー絵の世界 特装版』限定220部が1980年に叢文社から出版された。
挿入された版画作品は、もともとは久保貞次郎により1968年にある画集のために制作された作品だったが、画集の出版が頓挫してしまい、作品だけが完成した。翌年、ヘンリー・ミラーが署名(サイン)したので年記が1969年となっている。このときヘンリー・ミラーの水彩をシルクスクリーンの版下に起こしたのは若き日の池田満寿夫である。いかにも自由奔放なミラーらしいのびやかな線と自由な色彩が印象的な作品である。その後、この作品は長い眠りを経て、挿入された。1970年にはファースト・インプレッションズ(サン・フランシスコ)社から日本の「S・クボ」の名で色彩石版画が2枚刊行される。以降、久保貞次郎は自ら版元となり、ミラーから買い取った水彩をもとに多くの版画エディションを世に送り出した。
(以上は『久保貞次郎 美術の世界 8 ヘンリー・ミラー』(1984年、叢文社)より抜粋しました。「」の箇所は原文ママです)

IMG_5287『久保貞次郎 美術の世界 8 ヘンリー・ミラー』(1984年、叢文社)表紙

現在、ヘンリー・ミラーの作品は世界中で広く人気を集めるようになりました。ヘンリー・ミラー絵画作品の日本への紹介者であり研究者である久保貞次郎氏の功績も大きいです。
今回はミラーの版画作品を皆様に特別頒布価格でご紹介いたします。自由でのびやかな線やモチーフはもちろん、色使いもミラーらしい作品ばかりです。

1)「地震のあと After the Quake」
AAA_0705ヘンリー・ミラー
「地震のあと After the Quake」
1975年 リトグラフ 
イメージサイズ:20.8×25.7cm シートサイズ:24.0×29.8cm
Ed.120 サインあり ※レゾネNo.44
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2)「子どもっぽい空想 Childish Fantasy」
AAA_0712ヘンリー・ミラー
「子どもっぽい空想 Childish Fantasy」
1979年 リトグラフ 
イメージサイズ:27.0×36.0cm シートサイズ:39.3×45.7cm
Ed.200 サインあり ※レゾネNo.45
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3)「春の夢 Dream of Spring」
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「春の夢 Dream of Spring」
1975年 リトグラフ 
イメージサイズ:35.0×29.0cm シートサイズ:49.6×39.5cm
Ed.200 サインあり ※レゾネNo.43
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4)「目に見えない小さな魔もの Gremlins」
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「目に見えない小さな魔もの Gremlins」
1970年 リトグラフ 
イメージサイズ:32.0×45.0cm シートサイズ:38.2×54.0cm
Ed.200 サインあり ※レゾネNo.18
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5)「ブレース・サンドラール Blaise Cendrars」
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「ブレース・サンドラール Blaise Cendrars」
1980年 リトグラフ 
イメージサイズ:46.0×30.0cm シートサイズ:57.0×38.5cm
Ed.200 サインあり ※レゾネNo.50
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6)「面と向かって Face to Face」
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「面と向かって Face to Face」
1973年 リトグラフ 
イメージサイズ:36.4×47.0cm シートサイズ:38.0×56.8cm
Ed.200 サインあり ※レゾネNo.25
※以下の画像をクリックすると拡大します。
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7)「アサマラ Asamara(Morning Election)」
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「アサマラ Asamara」(Morning Election)
1970年 リトグラフ 
イメージサイズ:60.0×45.0cm シートサイズ:70.0×53.0cm
Ed.100 サインあり ※レゾネNo.19
※以下の画像をクリックすると拡大します。
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8)「恋人たち The Lovers」
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「恋人たち The Lovers」
1970年 リトグラフ 
イメージサイズ:41.0×54.0cm シートサイズ:52.8×70.0cm
Ed.100 サインあり ※レゾネNo.20
※以下の画像をクリックすると拡大します。
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9)「線の幻想 Linear Fantasy」
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「線の幻想 Linear Fantasy」
1973年 リトグラフ 
イメージサイズ:47.0×30.3cm シートサイズ:56.7×38.0cm
Ed.200 サインあり ※レゾネNo.27
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10)「ジョーカー Joker」
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「ジョーカー Joker」
1982年 リトグラフ 
イメージサイズ:47.0×34.0cm シートサイズ:74.0×54.5cm
Ed.150 サインあり ※レゾネNo.53
※以下の画像をクリックすると拡大します。
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誠に勝手ながら、12月17日(金)は16時半で画廊を閉めさせていただきます。
何卒ご了承くださいますようお願いします。

●冬季休廊のお知らせ
ときの忘れものは、12月26日(日)~1月3日(月)まで冬季休廊いたします。
休廊中にいただいたメールには1月4日(火)以降に順次ご返信いたします。

●ときの忘れものは2017年に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。もともと住宅だった阿部勤設計の建物LAS CASASを使って、毎月展覧会Web展)を開催し、美術書の編集事務所としても活動しています。
WEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>の特集も是非ご覧ください。
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