小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」第54回
1月1日
新しい年が始まる。
正直この二年間は激動だった。二年前に何を考えて、何をしようとしていたのかは全く思い出せない。時間の使い方も、自分の生活のペースも変わりすぎて、悪いことばかりでもないが、これからどうなっていくのだろうという不安の方が大きい。
1月10日
ずっと読もう読もうと思っていたこの本を、なかなか夜は読めないので、ついに朝の時間に引っ張り出すことにした。


内田誠『遊魚集』著者は久保田万太郎の句会「いとい会」の同人で随筆家。何冊か随筆集を店頭で売ったことがあるが、わりとどうでもいい内容(今だったらTwitterやブログで終わりそうなものかも)を面白く書くという随筆家の本領が発揮されるようなもので気になっていた。4コマ漫画っぽくもある。
内田誠は明治製菓勤務で田辺茂一(最近、談志の茂一伝も中公文庫で復刊されたっけ)の義弟らしい。
1月16日
電子化された絶版本が、インターネットを経由してタブレット端末などで閲覧できるようになるらしい。「絶版本」という範囲がどこまでなのかわからないが、古書を扱う我々にとっては、良いことではないだろうな。とはいうもののすでにスマホで文庫や雑誌が大きく売り上げを減らした今では、そこ(電子化並びにネット閲覧)を規制するのもナンセンスだろう。むしろ積極的に広めたあとに、どうやったら「紙で持ってみたい」という欲望を刺激できるか、だけど、その時まで商売を続けられるのか・・・。
1月22日
paypayのキャンペーンを一月中に行なっているため(なんと30%ポイント還元)わざわざうちのお店で新刊を取り寄せて買ってくださる方が増えた。
今日も図鑑のセットの注文をいただく。さっそく八木書店に注文したところ、すぐに折り返しがあって「品切れのFAXが出版社から返ってきました。」とのこと。「あれ?新版に切り替えでもするのか?」と思いその予定を確認するため出版社に電話する。すると、「品切れだが、後継シリーズが出ている。」との回答。さっそくそれを手配してもらい、無事お客さんにお渡しすることができた。
でもさ、なんかおかしくない?最初のFAXの時に、後継シリーズうんぬんは書いておいてくれても良いと思うんだけど…。そりゃあ「そのくらい本屋なら気づけよ。」ってことかもですが(まぁ、おかしいと思ったからわざわざ電話で確認したわけだが)出版社は少なくとも自社の注文に関しては、きちんと対応すべきだと思うけど。それとも20,000円程度は売上じゃないのかな?モヤモヤする。
1月25日
調布パルコでの古本市の搬入と設営。
十数店舗がいっしょに売場を作る。お互いの棚を見ながら、自分には同じ棚を作れないとみんな思いながら、自分の棚を作り上げる。いつも思うけど、同じ本を商っていながら、全部の棚がまったく違う色であることが不思議だし、すごい。
(おくに たかし)
●小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。
■小国貴司 Takashi OKUNI
「BOOKS青いカバ」店主。学生時代より古書に親しみ、大手書店チェーンに入社後、店長や本店での仕入れ・イベント企画に携わる。書店退職後、新刊・古書を扱う書店「BOOKS青いカバ」を、文京区本駒込にて開業。
●本日のお勧めはオディロン・ルドンです。
オディロン・ルドン Odilon REDON
《ベアトリーチェ》
1897年
カラーリトグラフ
イメージサイズ:33.0×29.5cm
シートサイズ:51.6×38.4cm
Ed.100
※レゾネNo.168
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●ときの忘れものは2017年に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。もともと住宅だった阿部勤設計の建物LAS CASASを使って、企画展の開催、版画のエディション、美術書の編集等を行なっています。WEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>の特集も是非ご覧ください。
JR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
1月1日
新しい年が始まる。
正直この二年間は激動だった。二年前に何を考えて、何をしようとしていたのかは全く思い出せない。時間の使い方も、自分の生活のペースも変わりすぎて、悪いことばかりでもないが、これからどうなっていくのだろうという不安の方が大きい。
1月10日
ずっと読もう読もうと思っていたこの本を、なかなか夜は読めないので、ついに朝の時間に引っ張り出すことにした。


内田誠『遊魚集』著者は久保田万太郎の句会「いとい会」の同人で随筆家。何冊か随筆集を店頭で売ったことがあるが、わりとどうでもいい内容(今だったらTwitterやブログで終わりそうなものかも)を面白く書くという随筆家の本領が発揮されるようなもので気になっていた。4コマ漫画っぽくもある。
内田誠は明治製菓勤務で田辺茂一(最近、談志の茂一伝も中公文庫で復刊されたっけ)の義弟らしい。
1月16日
電子化された絶版本が、インターネットを経由してタブレット端末などで閲覧できるようになるらしい。「絶版本」という範囲がどこまでなのかわからないが、古書を扱う我々にとっては、良いことではないだろうな。とはいうもののすでにスマホで文庫や雑誌が大きく売り上げを減らした今では、そこ(電子化並びにネット閲覧)を規制するのもナンセンスだろう。むしろ積極的に広めたあとに、どうやったら「紙で持ってみたい」という欲望を刺激できるか、だけど、その時まで商売を続けられるのか・・・。
1月22日
paypayのキャンペーンを一月中に行なっているため(なんと30%ポイント還元)わざわざうちのお店で新刊を取り寄せて買ってくださる方が増えた。
今日も図鑑のセットの注文をいただく。さっそく八木書店に注文したところ、すぐに折り返しがあって「品切れのFAXが出版社から返ってきました。」とのこと。「あれ?新版に切り替えでもするのか?」と思いその予定を確認するため出版社に電話する。すると、「品切れだが、後継シリーズが出ている。」との回答。さっそくそれを手配してもらい、無事お客さんにお渡しすることができた。
でもさ、なんかおかしくない?最初のFAXの時に、後継シリーズうんぬんは書いておいてくれても良いと思うんだけど…。そりゃあ「そのくらい本屋なら気づけよ。」ってことかもですが(まぁ、おかしいと思ったからわざわざ電話で確認したわけだが)出版社は少なくとも自社の注文に関しては、きちんと対応すべきだと思うけど。それとも20,000円程度は売上じゃないのかな?モヤモヤする。
1月25日
調布パルコでの古本市の搬入と設営。
十数店舗がいっしょに売場を作る。お互いの棚を見ながら、自分には同じ棚を作れないとみんな思いながら、自分の棚を作り上げる。いつも思うけど、同じ本を商っていながら、全部の棚がまったく違う色であることが不思議だし、すごい。
(おくに たかし)
●小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。
■小国貴司 Takashi OKUNI
「BOOKS青いカバ」店主。学生時代より古書に親しみ、大手書店チェーンに入社後、店長や本店での仕入れ・イベント企画に携わる。書店退職後、新刊・古書を扱う書店「BOOKS青いカバ」を、文京区本駒込にて開業。
●本日のお勧めはオディロン・ルドンです。
オディロン・ルドン Odilon REDON《ベアトリーチェ》
1897年
カラーリトグラフ
イメージサイズ:33.0×29.5cm
シートサイズ:51.6×38.4cm
Ed.100
※レゾネNo.168
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●ときの忘れものは2017年に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。もともと住宅だった阿部勤設計の建物LAS CASASを使って、企画展の開催、版画のエディション、美術書の編集等を行なっています。WEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>の特集も是非ご覧ください。
JR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
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営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
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