明治5年(1872年)10月14日、新橋~横浜間に日本で最初の鉄道が開通したことを受け、毎年10月14日は「鉄道の日」とされています。本日はそのことに因んで、蔵書家・装丁家の佐々木桔梗(ささき・ききょう)氏が手掛けた鉄道に関する限定本を3冊、特別に頒布いたします。

1)『コートダジュール特急』(限定355部)Sold
1975年、プレス・ビブリオマーヌ
A5、61P、アクリルケース付

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副題は「文学渉猟によるブルートレイン物語」。「ブルートレイン」は、もともとフランスで19世紀末に走り始めた、リゾート地のコート・ダジュール(紺碧海岸)へ向かう豪華なワゴン・リの寝台列車総称だった。

(中略)

格式のあるワゴン・リの寝台車や食堂車を連結したブルートレインは、旧き佳き時代、まさにベル・エポックの“走るホテル”だった。『コートダジュール特急』は、桔梗氏が得意とする“文学渉猟”。ブルートレインを扱った小説や詩などを引用している。

ときの忘れものが所蔵するのは限定165部で製作されたという「愛書家用贅沢編成」版の装填。乗車券が貼り付けられていたり、奥付には「レイアウト・構成・運転 佐々木桔梗」のクレジットを見つけたりと、ページをめくるたびに心躍る内容です。

2)佐々木桔梗『荷風「ふらんす鉄道物語」』(限定335部)Sold
1973年、プレス・ビブリオマーヌ
55P、23cm×18cm

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永井荷風(1879-1959)の『ふらんす物語』に登場する鉄道について詳述したエッセイ風の研究書。かつての発禁本『ふらんす物語』(1909)といえば“紅灯の巷”。そうした方面については小門勝二の『荷風ふらんす漫談』(1974・冬樹社)などがあるが、『ふらんす物語』の鉄道を扱ったものは、おそらくこれが唯一だろう。桔梗氏も自ら「このテーマは最初にして最後のもの」と記している。

美しい青色の箱にしまわれた一冊の白い本。
一見シンプルなつくりに見えますが
金色の栞紐や、一枚ずつちぎられたような紙のニュアンスなど
細部までこだわりぬかれたデザインです。

3)『探偵小説と鉄道 「新青年」63の事件』(特装本限定170部)Sold
1975年、プレス・ビブリオマーヌ
B5、140P、アクリルケース付

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1920(大正9)年に創刊された青年向け雑誌「新青年」に掲載された内外の探偵小説のなかから、鉄道事件ものを取り上げ、掲載当時の鉄道事情などを解説したもの。ビブリオマーヌの創立20周年記念として出版された。

(中略)

ちなみに、桔梗氏自身、探偵小説を執筆していたこともあるというから(小説は碓氷峠を想定して、ラック・レールをトリックに用いたものだったとか)、その考証にも力が入っている。

赤の総革装で、物理的にもずっしりと重みのある1冊。
今回ご紹介する特装本の表紙には極小ルビーが埋め込まれています。
秋の夜長に読みふけりたい内容です。

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この機会にぜひ、佐々木桔梗氏の限定本をコレクションしてください(先着順)。
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*画廊亭主敬白
昔(笑)、初版本や限定本にうつつを抜かす時代があった。
三茶書房や吾八の店頭でゼロがいくつも並ぶ高額本を溜息をつきながら眺めたものだった。
本を愛し、活字を愛し、造本にこだわる。
1970年代、坂本一敏さん、佐々木桔梗さんはまさに限定本の時代を象徴するスターでした。
その時代の大コレクターだった方の遺された蔵書がときの忘れものの倉庫にも静かに、膨大に眠っています。
今年2023年は「鉄道の日」が制定されて30周年のアニバーサリー、それにかこつけて3冊をご紹介しました。愛書家のもとに届くことを祈りつつ・・・

●ときの忘れものの建築は阿部勤先生の設計です。
建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com 
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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