昨日4月1日付の東京新聞夕刊に第三面全部を使った「大自然に孤高の面影探す 日本画家・田中一村の奄美大島」という特集記事が掲載されました。
田中一村(1908年~1977年)、いまや奄美に記念美術館ができるくらい人気の画家です。
東京美術学校日本画科では東山魁夷、加藤栄三、橋本明治、山田申吾ら錚錚たる同期生と学びますが中退、中央画壇とは一線を画し、ごく少数の支援者たちの力で画業を続けます。
戦後、1953年の第9回日展に出品するも落選、このときの審査員には同期の東山魁夷がいたというからその屈辱はいかばかりでしたでしょう。
50歳で奄美大島にひとり移住。奄美の自然を愛し、亜熱帯の植物や鳥を鋭い観察と画力で力強くも繊細な花鳥画に描き、独特の世界を作り上げます。生涯独身、貧窮のうちに没します。生前は無名の画家だったといっていいでしょう。
没後、南日本新聞社の記者によって発掘連載された「アダンの画帖~田中一村伝」やNHKの『日曜美術館 黒潮の画譜~異端の画家・田中一村』で一躍ブームを巻き起こしたことは周知のとおり。

東京新聞夕刊にはもう一つ、第6面に小さなべた記事で「棟方志功記念館が閉館」とあります。
棟方志功(1903年~1975年)が亡くなった日のことはよく覚えています。
現代版画センター創立の翌年9月の暑い日でした。
当時の日本の(いや世界の)版画界の二大スターは池田満寿夫と棟方志功でした。
ふたりは1950~60年代にヴェネチア・ビエンナーレはじめ国際展で高い評価を得て、湯川秀樹(ノーベル賞受賞)とともに日本人に復活の元気を与えたなどと書くと、若い人たちには笑われるかもしれませんね。
信州松代の池田満寿夫美術館が閉館したのが2017年7月でした。
一昨日書いた通り、亭主の画商人生も50年を迎えました。
棟方志功記念館と池田満寿夫美術館の開館も閉館もこの50年のあいだのできごとです。
閉館の理由はともに「入館者の減少」ということでした。
人気というのはおそろしい・・・・
ふたりの作家の再評価、復活を信じて、頑張りましょう。

●本日のお勧め作品は池田満寿夫です。
池田満寿夫聖なる手池田満寿夫
「聖なる手1」
1965年 カラー銅版 
36.5x34.0cm  限定30部
サイン有り

池田満寿夫「空の寝台」池田満寿夫
「空の寝台」
1969年 カラー銅版 
36.5x33.6cm  限定50部
サイン有り
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●ときの忘れものの建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
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