東京オペラシティアートギャラリーで開催中の「宇野亞喜良展」と「特別展示 没後50年 難波田史男」展。内覧会に出席してきましたのでご報告します。

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会場に到着するとロビーにものすごい人だかりが。何が起きるのかとそわそわしていると開会式が始まり、宇野亞喜良先生、難波田史男先生の実弟である武男様、展示を同時開催されている大城夏紀様の挨拶がありました。

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ロビー内の人だかり

90歳を過ぎたとは思えないシュッとしたお姿で手短に感謝を述べられた宇野先生、「自分はよく(史男先生と)似ていると言われていたから、彼も生きていたらこんな感じだったと思います」と会場の空気を和ませてくれた武男様、「難波田史男さんの繊細で素晴らしい作品を拝見しました」とバトンを受け継ぐように挨拶を始められた大城様。3人の挨拶が終わると、スタッフの方の手により展示室の扉が開けられ、なだれ込むように人が入っていきました。

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階段の隙間から、かろうじて見えた武男様のお姿



まず宇野亞喜良展の会場に入って驚かされたのは、その作品数の多さ。会場にいた関係者らしき方が「事務所にあるもの全部出してきたみたいだね」とおっしゃっているのを耳にしましたが、オペラシティのSNSによると展示総数は900点にも及ぶのだそう。「過去最大の大規模個展」という言葉にも頷けます。

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展示は全12章。室内装飾家の父から手ほどきを受け、早くから絵の才能を開花させていたという名古屋時代の作品から、グラフィックデザイナー時代、企業広告を手掛けたNDC(日本デザインセンター)時代の作品、雑誌・新聞、書籍、絵本 etc.に向けた仕事や、演劇や舞台のポスター、さらには舞台美術やアニメーション映画まで、宇野先生の手掛けられた膨大な作品が一挙に紹介されています。

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15歳の夏休みに描かれたのだという自画像

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カルピス食品工業・広告課在籍時代のパッケージデザイン

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展示の中には、来場者それぞれに思い入れのある作品があるようで、じっと一つの作品の前で立ち止まったり、「このバンド、私の青春!」と思わず声に出したりする方がみられました。

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私も学生時代から大切にしている『旅の詩集』の表紙を見つけ、思わずカメラを向けました

展示の最後を締めくくる宇野先生の挨拶には「ここのところ、俳句をビジュアライズすることにはまっている」との情報が。まだまだ現在進行形のご活動から、自分までパワーをいただいたような気持ちになりました。

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2023年『日曜美術館SP ニューハッピーアーツ!』出演時に描かれた作品

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ロビーにはご本人のインタビュー映像も

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展覧会のオリジナルグッズも多数。写真を撮影していると宇野先生ご本人がいらっしゃり、ハンカチを広げてご覧になっていました



次は階段をのぼって「特別展示 没後50年 難波田史男」展へ。春らしく目をひく蛍光ピンクのリーフレットを手に展示室へと進みます。

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展示室に入ってすぐの壁に掛けられた作品には、リーフレットの色と呼応するようなピンクが

300点近い史男作品を収蔵するオペラシティの寺田コレクションから厳選された作品群が紹介されている今回の展示。広々とした展示室内では、制作年や色味、テーマに沿って作品が配置されていました。難波田武男様は開会式の挨拶で史男先生の作品について「音楽が流れてくるような作品」とおっしゃっていましたが、展示室ではまさにそうした意識の流れ、時間の流れのようなものが表現されていたように思います。

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通路にも作品が

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ときの忘れものからお貸出しした《悲しみの人》は2つめの展示室の序盤、青緑の色が印象的な作品群と並べて展示されていました。

展示室の最後に飾られた年表には、出来事だけでなく史男氏の人柄が感じられるエピソードや本人の言葉が多数引用されています。作品を観ているうちに浮かび上がってきたキーワード(音楽、線、太陽、宇宙、生と死……)がご本人の言葉で肉付けされていくような内容で、まだまだ知識の浅い自分のような人間も、グッとその魅力に引き込まれる感覚を抱きました。展示室の最後に飾られた、難波田龍起氏による1974年(史男が亡くなった年)の作品《幻》《幽》には言い表しがたい迫力があり、その余韻を全身で感じながら会場を後にしました。

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会場で配布されていた作品リスト(※クリックして拡大)



とき忘れものでも「没後50年 難波田史男遺作展」開催中です。オペラシティでの展示とあわせてぜひご覧ください。

(スタッフI)

宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO
2024年4月11日[木]- 6月16日[日]
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー3F
開館時間:11:00 ─ 19:00(入場は18:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
入場料:一般1,400円[1,200円]/大・高生800円[600円]
中学生以下無料

◆特別展示 没後50年 難波田史男
2024年4月11日[木]─ 6月16日[日]
会場:東京オペラシティ アートギャラリー 4F
開館時間:11:00 - 19:00(入場は18:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
入場料:企画展「宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO」の入場料に含まれます。
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)

●本日のお勧め作品は、宇野亞喜良難波田史男です。
uno-02宇野亞喜良
石版画集『七人の魔女』より《第壱の魔女》
1972年
リトグラフ
58.0×42.0cm
Ed.50
サインあり

nanbata_03 (1)難波田史男
《野と空》
1971年
水彩、インク
27.0x38.1cm
サインあり

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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。

没後50年 難波田史男遺作展
会期:2024年4月26日(金)~ 5月11日(土)*日・月・祝日休廊 11:00-19:00
難波田史男展案内状_表面難波田史男(1941-1974)が瀬戸内海で没してから50年が経ちました。
32歳の短い生涯でしたが油彩、水彩、ドローイング、版画など2000点を超える作品を遺しました。今回の出品作品の詳細は4月22日ブログをご覧ください。東京オペラシティ アートギャラリーでも「特別展示 没後50年 難波田史男」が4月11日~6月16日に開催されています。

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ときの忘れものの建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS ときの忘れもの
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com 
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。