8月12日(月・祝)まで大倉集古館で「特別展 大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ ~絵画をめぐって~」が開催されており、その関連企画として、隈研吾先生の講演会があったので参加してきました。
隈研吾「ル・コルビュジエの建築と絵画を語る」
7月21日(日)14時~15時半
会場:早稲田大学・西早稲田キャンパス
隈研吾先生は「ル・コルビュジエにおける南について」をテーマに話されました。
ル・コルビュジエといえば、幾何学、数学、モデュロールのような理科系を連想するかもしれないが、隈先生には別のイメージがある。それが「南」で、コルビュジエは南に触発され、大きな影響を受けたと思う。
隈研吾先生(1954年生まれ)は、10歳のときに丹下健三設計の国立代々木競技場を訪れた際、衝撃を受け、建築家になりたいと思った。
1970年大阪万博を訪れ、暑い季節だったこともあり、人工的なコンクリートばかりの近代建築に幻滅したことを鮮明に覚えている。コンクリートは暑苦しいと思った。自身の建築は木造の伝統建築とも近代建築とも違う、その間のような建築つくりたいと思った。
東京大学では原広司研究室だった。原研は2年に一度海外に行っており、隈先生はアフリカの集落に興味があったので調査に行きたいと伝えると、学生を無事に帰国させなきゃいけないからアフリカは無理だと言われた。隈先生は危険じゃないルートや行く時期、予防接種などを調べて、もう一度打診したところ、そこまで言うのならとアフリカ行きが決まった。1978~1979年(アフリカの季節は冬)に、アルジェリア中部のガルダイアに調査に行った。
ガルダイアは、ル・コルビュジエが1931年に訪れて絶賛し、インスピレーションを受けた集落と言われている。
原研一行はバルセロナからマルセイユに入り、車2台をフェリーに乗せてアフリカに渡った。かなりハードな道のりの中、ムザブの谷に突如城壁に囲まれたガルダイアの集落が現れた。丘の頂上にある塔を中心に箱(建物)が斜面に拡がる美しい町だった。箱が集まって丘のようになっているようにも見えた。屋根など所々にブルーの色が塗られているのは虫よけの効果があり、扉に「手」の絵が描かれているのは魔除けという。コルビュジエの絵に「手」が出てくるのは、ガルダイアで見た「手」からきているのではないかと思う。
ガルダイアは7つの町からなり、ムザブ族が住んでいた。村人は原研一行を警戒して家の中に入ってしまったが、子供たちだけは集まってくるので、危険な人たちではないことを知ってもらい、集落の調査に入ることができた。もちろん言葉は通じないが、家の寸法を測らせてもらえた。
隈先生はこの時の経験のおかげで、世界に出ることを「怖くない」と思えたから、今世界中で仕事を出来ていると言う。怖がっていては始まらないと思ったと。
コルビュジエは1911年に東方への旅に出ている。東方というか南方なのだが、その旅行でコルビュジエは建築のヒントを得たと思う。また、アルジェの女性を描いた絵もたくさんある。
コルビュジエは、モダニズムに南の感性を入れたと話されました。
そして、隈先生もこのガルダイア集落からインスピレーションを得て、「丘をつくる」建築をいくつか設計されたそうで、ご自身の建築作品をいくつかご紹介いただきました。
国立競技場は木の丘をイメージしたそうです。
素晴らしい隈研吾先生の講義を聞けて、ル・コルビュジエの作品の勉強にもなりました。
大倉集古館の展覧会「もうひとりのル・コルビュジエ ~絵画をめぐって~」は8月12日(月・祝)までですので、是非ご覧になってください。
(おだち れいこ)
特別展 大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ ~絵画をめぐって~
会期:2024年6月25日(火)~8月12日(月・祝)
会場:公益財団法人 大倉文化財団 大倉集古館
住所:〒105-0001 東京都港区虎ノ門2-10-3(オークラ東京前)
TEL:03-5575-5711

チラシ表面(クリックして拡大)

チラシ裏面(クリックして拡大)
コルビュジエの絵画への情熱を紹介する同展では、油彩・素描・版画・タピスリー・彫刻など約130点の作品を紹介。
●本日のお勧め作品はル・コルビュジエです。
ル・コルビュジエ
《モデュロール》
1956年
リトグラフ
70.5×53.0cm
版上サインあり
ル・コルビュジエ
〈ユニテ〉より#4
1965年
銅版
57.5×45.0cm
Ed.130
自筆サインあり
ル・コルビュジエ
《ヌード》
1933年(刷りは後年)
リトグラフ
29.0×21.0cm
Ed.250
版上サインあり
作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●ときの忘れものは8月11日(日)~19日(月)は夏季休廊いたします。
各種お問い合わせへの対応は8月20日(火)以降となりますのでご理解いただけますと幸いです。
●「杣木浩一×宮脇愛子」展カタログを刊行
ときの忘れもの 2024年 25.7×17.2㎝ 24P
執筆:杣木浩一
図版:26点掲載(杣木浩一13点、宮脇愛子13点)
編集:尾立麗子(ときの忘れもの)
デザイン:岡本一宣デザイン事務所
価格:1,100円(税込み)+送料250円
オンラインでも販売中です。
●取り扱い作家たちの展覧会情報(7月ー8月)は7月1日ブログに掲載しました。
●ときの忘れものの建築は阿部勤先生の設計です。
建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

隈研吾「ル・コルビュジエの建築と絵画を語る」
7月21日(日)14時~15時半
会場:早稲田大学・西早稲田キャンパス
隈研吾先生は「ル・コルビュジエにおける南について」をテーマに話されました。
ル・コルビュジエといえば、幾何学、数学、モデュロールのような理科系を連想するかもしれないが、隈先生には別のイメージがある。それが「南」で、コルビュジエは南に触発され、大きな影響を受けたと思う。
隈研吾先生(1954年生まれ)は、10歳のときに丹下健三設計の国立代々木競技場を訪れた際、衝撃を受け、建築家になりたいと思った。
1970年大阪万博を訪れ、暑い季節だったこともあり、人工的なコンクリートばかりの近代建築に幻滅したことを鮮明に覚えている。コンクリートは暑苦しいと思った。自身の建築は木造の伝統建築とも近代建築とも違う、その間のような建築つくりたいと思った。
東京大学では原広司研究室だった。原研は2年に一度海外に行っており、隈先生はアフリカの集落に興味があったので調査に行きたいと伝えると、学生を無事に帰国させなきゃいけないからアフリカは無理だと言われた。隈先生は危険じゃないルートや行く時期、予防接種などを調べて、もう一度打診したところ、そこまで言うのならとアフリカ行きが決まった。1978~1979年(アフリカの季節は冬)に、アルジェリア中部のガルダイアに調査に行った。
ガルダイアは、ル・コルビュジエが1931年に訪れて絶賛し、インスピレーションを受けた集落と言われている。
原研一行はバルセロナからマルセイユに入り、車2台をフェリーに乗せてアフリカに渡った。かなりハードな道のりの中、ムザブの谷に突如城壁に囲まれたガルダイアの集落が現れた。丘の頂上にある塔を中心に箱(建物)が斜面に拡がる美しい町だった。箱が集まって丘のようになっているようにも見えた。屋根など所々にブルーの色が塗られているのは虫よけの効果があり、扉に「手」の絵が描かれているのは魔除けという。コルビュジエの絵に「手」が出てくるのは、ガルダイアで見た「手」からきているのではないかと思う。
ガルダイアは7つの町からなり、ムザブ族が住んでいた。村人は原研一行を警戒して家の中に入ってしまったが、子供たちだけは集まってくるので、危険な人たちではないことを知ってもらい、集落の調査に入ることができた。もちろん言葉は通じないが、家の寸法を測らせてもらえた。
隈先生はこの時の経験のおかげで、世界に出ることを「怖くない」と思えたから、今世界中で仕事を出来ていると言う。怖がっていては始まらないと思ったと。
コルビュジエは1911年に東方への旅に出ている。東方というか南方なのだが、その旅行でコルビュジエは建築のヒントを得たと思う。また、アルジェの女性を描いた絵もたくさんある。
コルビュジエは、モダニズムに南の感性を入れたと話されました。
そして、隈先生もこのガルダイア集落からインスピレーションを得て、「丘をつくる」建築をいくつか設計されたそうで、ご自身の建築作品をいくつかご紹介いただきました。
国立競技場は木の丘をイメージしたそうです。
素晴らしい隈研吾先生の講義を聞けて、ル・コルビュジエの作品の勉強にもなりました。
大倉集古館の展覧会「もうひとりのル・コルビュジエ ~絵画をめぐって~」は8月12日(月・祝)までですので、是非ご覧になってください。
(おだち れいこ)
特別展 大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ ~絵画をめぐって~
会期:2024年6月25日(火)~8月12日(月・祝)
会場:公益財団法人 大倉文化財団 大倉集古館
住所:〒105-0001 東京都港区虎ノ門2-10-3(オークラ東京前)
TEL:03-5575-5711

チラシ表面(クリックして拡大)

チラシ裏面(クリックして拡大)
コルビュジエの絵画への情熱を紹介する同展では、油彩・素描・版画・タピスリー・彫刻など約130点の作品を紹介。
●本日のお勧め作品はル・コルビュジエです。
ル・コルビュジエ《モデュロール》
1956年
リトグラフ
70.5×53.0cm
版上サインあり
ル・コルビュジエ〈ユニテ〉より#4
1965年
銅版
57.5×45.0cm
Ed.130
自筆サインあり
ル・コルビュジエ《ヌード》
1933年(刷りは後年)
リトグラフ
29.0×21.0cm
Ed.250
版上サインあり
作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●ときの忘れものは8月11日(日)~19日(月)は夏季休廊いたします。
各種お問い合わせへの対応は8月20日(火)以降となりますのでご理解いただけますと幸いです。
●「杣木浩一×宮脇愛子」展カタログを刊行
ときの忘れもの 2024年 25.7×17.2㎝ 24P執筆:杣木浩一
図版:26点掲載(杣木浩一13点、宮脇愛子13点)
編集:尾立麗子(ときの忘れもの)
デザイン:岡本一宣デザイン事務所
価格:1,100円(税込み)+送料250円
オンラインでも販売中です。
●取り扱い作家たちの展覧会情報(7月ー8月)は7月1日ブログに掲載しました。
●ときの忘れものの建築は阿部勤先生の設計です。
建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

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