こんにちわ、3月20日(春分の日)に富山県美術館で開催された「没後20年 東野芳明と戦後美術」を見てきましたのでレポートいたします。
「没後20年 東野芳明と戦後美術」
会 期:2025年1月25日(土)~4月6日(日) 終了
会 場:富山県美術館
https://tad-toyama.jp/exhibition-event/18872
富山県美術館の外観。
美術館の前の看板。
富山県美術館の前身である富山県立近代美術館は1981年に開館しました。
開館前から富山県は瀧口修造先生に初代館長を打診していたそうですが、瀧口先生はそれを固辞し、開館前の1979年に亡くなります。東野芳明先生は瀧口先生に代わって開館記念展のコミッショナーや講演会などを開いて、常に美術館の良き理解者であったそうです。会館から35年が経った富山県立美術館は老朽化により新築移転が決まり、2017年に現在の富山県美術館が開館しました。
富岩運河環水公園越しに見える富山県美術館。(右手奥)
展覧会チラシ(表)
展覧会チラシ(裏)
図録
美術館の1階の真っ赤な壁。
富山県美術館の模型。設計は内藤廣さん。
会場の入り口。
会場の図。会場内は撮影禁止。(一部撮影可能な作品あり)
1~9章に区分けされた会場。
章毎にジャスパー・ジョーンズの《黒の数字シリーズ》と東野先生の著作本が展示されており、ジャスパーの数字に誘われながら東野先生と旅をしているような心地でした。
1959年2月にマックス・エルンストのアトリエを尋ねた東野先生。東野先生が持っていたパトリック・ワルドベルグの本にエルンストがサインとメッセージを書いた実物が展示されています。エルンストによる2羽の鳥のイラストがとてもキュート。エルンストの妻ドロテア・ターニングとも面会したそうです。新婚旅行のため空港で花束を掲げている東野先生と出光真子さんの後ろにいる瀧口先生のクールな表情が印象的な写真も見ることができます。ジャン・ティンゲリーが東野先生へ宛てたレタードローイングもとてもチャーミングでした。
ほかには、ルイーズ・ニーヴェルスンの木を黒いペンキで塗った立体《スカイ・リフレクション》(1962-1977年)や、南画廊の「色彩と空間」展のポスター、山口勝弘《港No.2》(1967年 アクリル樹脂・光)、トム・ウェッセルマン《スモーカー#26》(1978年 キャンバス・油絵具 243.8×406.4cm)も迫力があってなかなかいいです!
マルセル・デュシャンの「遺作」の設計図を東野先生が模写したメモがあり、デュシャンのペンの色分けや小さな「?」マークまでまったく同じように東野先生が写し取っていました。1977年の西武美術館での「Art Today'7見えることの構造」展では宇佐美圭司、島州一、河口龍夫、倉俣史朗らが出品したそうで、当時の展覧会を再現したような一角があり、倉俣先生の《ガラスの椅子》が展示されていました。倉俣先生は東野さんの書斎の棚もデザインしたそうです。
瀧口先生による富山県立近代美術館の館長辞退のメモ《美術館計画についての告白的メモ》(1977年)原稿用紙8枚も展示されています。
原本は海藤日出男氏が所蔵されていたそうですが、このコピーは5部確認できているそう。
富山県が2部+東野先生が1部+詩人の大岡信先生が1部+磯崎新先生が1部(計5部)がそれぞれ持っていたらしいです。
撮影が可能だったものを下にいくつかご案内します。
パウル・クレー作品3点。東野芳明先生の『パウル・クレー試論』がある。
ジャクソン・ポロック《無題》1946年 メゾナイト板、油絵具、エナメル、新聞紙コラージュ 60.5×48.0cm 富山県美術館蔵
もちろんコレクション展も観てきました。
コレクション展の入り口。
コレクション展には、難波田龍起先生の《街》1952年 キャンヴァス・油絵具を発見!



屋上で子供たちが遊べる遊具がたくさんあります。



椅子のコレクションの展示もありました。

倉俣史朗《アームチェア〈シング・シング・シング〉 》1985年 スチールパイプ(クロームメッキ仕上げ)、スチールエキスパンドメタル(クロームメッキ仕上げ)もあります!

そしてそして忘れてはならない富山に来たら瀧口修造ルームを見なければ。
常設として一部屋に瀧口先生の作品やコレクションが展示されています。
「瀧口修造コレクションⅣ」を開催していました。



福田繁雄《バード・ツリー》



デカルコマニー、水彩、ロト・デッサンなどなど、、時間を忘れて浸ってしまいました。たまりません。

気づけば美術館に3時間ほどいて、予定がおしてしまいました。
ちなみに美術館のちかくには、「世界一美しいスタバ」と呼ばれるスターバックスコーヒーがありました。


「没後20年 東野芳明と戦後美術」展は終了してしまいましたが、瀧口修造作品はいつでもご覧になれますので、ぜひ行って見てください!
東京駅から富山駅までは、北陸新幹線で2時間で着きますので日帰りも可能ですよ。
(スタッフM)
●本日のお勧め作品は瀧口修造です。
瀧口修造
詩集『地球創造説』より ロト・デッサン
1972年
ロトデッサン、鉛筆、紙
イメージサイズ: 14.5×14.5cm
シートサイズ: 17.6×17.4cm
本サイズ:31.6×26.8cm
台紙にサインあり
◆「ポートレイト/松本竣介と現代作家たち」展
2025年4月16日(水)~4月26日(土)11:00-19:00 ※日・月・祝日休廊
出品作家:松本竣介、野田英夫、舟越保武、小野隆生、靉嘔、池田満寿夫、宮脇愛子+マン・レイ、北川民次、ジャン・コクトーほか
●GW中の営業日について
ときの忘れものの休廊日は下記となります。
4月29日(火・祝)「昭和の日」
5月3日(土・祝)「憲法記念日」
4日(日・祝)「みどりの日」
5日(月・祝)「こどもの日」
6日(火)振替休日
※4月30日(水)~5月2日(金)は通常営業
GW明けの5/7(水)からは「2025コレクション展2/瀬木愼一旧蔵作品他」が始まります。
ぜひお気軽にお立ち寄りください。
●松本莞さんが『父、松本竣介』(みすず書房刊)を刊行されました。ときの忘れものでは莞さんのサインカード付本書を頒布するとともに、年間を通して竣介関連の展示、ギャラリートークを開催してゆく予定です。
『父、松本竣介』の詳細は1月18日ブログをお読みください。
ときの忘れものが今まで開催してきた「松本竣介展」のカタログ5冊も併せてご購読ください。
画家の堀江栞さんが、かたばみ書房の連載エッセイ「不手際のエスキース」第3回で「下塗りの夢」と題して卓抜な竣介論を執筆されています。
著者・松本莞
『父、松本竣介』
発行:みすず書房
判型:A5変判(200×148mm)・上製
頁数:368頁+カラー口絵16頁
定価:4,400円(税込)+梱包送料650円
●ときの忘れものの建築は阿部勤先生の設計です。
建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

「没後20年 東野芳明と戦後美術」
会 期:2025年1月25日(土)~4月6日(日) 終了
会 場:富山県美術館
https://tad-toyama.jp/exhibition-event/18872
富山県美術館の外観。
美術館の前の看板。富山県美術館の前身である富山県立近代美術館は1981年に開館しました。
開館前から富山県は瀧口修造先生に初代館長を打診していたそうですが、瀧口先生はそれを固辞し、開館前の1979年に亡くなります。東野芳明先生は瀧口先生に代わって開館記念展のコミッショナーや講演会などを開いて、常に美術館の良き理解者であったそうです。会館から35年が経った富山県立美術館は老朽化により新築移転が決まり、2017年に現在の富山県美術館が開館しました。
富岩運河環水公園越しに見える富山県美術館。(右手奥)
展覧会チラシ(表)
展覧会チラシ(裏)
図録
美術館の1階の真っ赤な壁。
富山県美術館の模型。設計は内藤廣さん。
会場の入り口。
会場の図。会場内は撮影禁止。(一部撮影可能な作品あり)1~9章に区分けされた会場。
章毎にジャスパー・ジョーンズの《黒の数字シリーズ》と東野先生の著作本が展示されており、ジャスパーの数字に誘われながら東野先生と旅をしているような心地でした。
1959年2月にマックス・エルンストのアトリエを尋ねた東野先生。東野先生が持っていたパトリック・ワルドベルグの本にエルンストがサインとメッセージを書いた実物が展示されています。エルンストによる2羽の鳥のイラストがとてもキュート。エルンストの妻ドロテア・ターニングとも面会したそうです。新婚旅行のため空港で花束を掲げている東野先生と出光真子さんの後ろにいる瀧口先生のクールな表情が印象的な写真も見ることができます。ジャン・ティンゲリーが東野先生へ宛てたレタードローイングもとてもチャーミングでした。
ほかには、ルイーズ・ニーヴェルスンの木を黒いペンキで塗った立体《スカイ・リフレクション》(1962-1977年)や、南画廊の「色彩と空間」展のポスター、山口勝弘《港No.2》(1967年 アクリル樹脂・光)、トム・ウェッセルマン《スモーカー#26》(1978年 キャンバス・油絵具 243.8×406.4cm)も迫力があってなかなかいいです!
マルセル・デュシャンの「遺作」の設計図を東野先生が模写したメモがあり、デュシャンのペンの色分けや小さな「?」マークまでまったく同じように東野先生が写し取っていました。1977年の西武美術館での「Art Today'7見えることの構造」展では宇佐美圭司、島州一、河口龍夫、倉俣史朗らが出品したそうで、当時の展覧会を再現したような一角があり、倉俣先生の《ガラスの椅子》が展示されていました。倉俣先生は東野さんの書斎の棚もデザインしたそうです。
瀧口先生による富山県立近代美術館の館長辞退のメモ《美術館計画についての告白的メモ》(1977年)原稿用紙8枚も展示されています。
原本は海藤日出男氏が所蔵されていたそうですが、このコピーは5部確認できているそう。
富山県が2部+東野先生が1部+詩人の大岡信先生が1部+磯崎新先生が1部(計5部)がそれぞれ持っていたらしいです。
撮影が可能だったものを下にいくつかご案内します。
パウル・クレー作品3点。東野芳明先生の『パウル・クレー試論』がある。
ジャクソン・ポロック《無題》1946年 メゾナイト板、油絵具、エナメル、新聞紙コラージュ 60.5×48.0cm 富山県美術館蔵もちろんコレクション展も観てきました。
コレクション展の入り口。
コレクション展には、難波田龍起先生の《街》1952年 キャンヴァス・油絵具を発見!


屋上で子供たちが遊べる遊具がたくさんあります。


椅子のコレクションの展示もありました。

倉俣史朗《アームチェア〈シング・シング・シング〉 》1985年 スチールパイプ(クロームメッキ仕上げ)、スチールエキスパンドメタル(クロームメッキ仕上げ)もあります!

そしてそして忘れてはならない富山に来たら瀧口修造ルームを見なければ。
常設として一部屋に瀧口先生の作品やコレクションが展示されています。
「瀧口修造コレクションⅣ」を開催していました。



福田繁雄《バード・ツリー》


デカルコマニー、水彩、ロト・デッサンなどなど、、時間を忘れて浸ってしまいました。たまりません。
気づけば美術館に3時間ほどいて、予定がおしてしまいました。
ちなみに美術館のちかくには、「世界一美しいスタバ」と呼ばれるスターバックスコーヒーがありました。


「没後20年 東野芳明と戦後美術」展は終了してしまいましたが、瀧口修造作品はいつでもご覧になれますので、ぜひ行って見てください!
東京駅から富山駅までは、北陸新幹線で2時間で着きますので日帰りも可能ですよ。
(スタッフM)
●本日のお勧め作品は瀧口修造です。
瀧口修造詩集『地球創造説』より ロト・デッサン
1972年
ロトデッサン、鉛筆、紙
イメージサイズ: 14.5×14.5cm
シートサイズ: 17.6×17.4cm
本サイズ:31.6×26.8cm
台紙にサインあり
◆「ポートレイト/松本竣介と現代作家たち」展
2025年4月16日(水)~4月26日(土)11:00-19:00 ※日・月・祝日休廊
出品作家:松本竣介、野田英夫、舟越保武、小野隆生、靉嘔、池田満寿夫、宮脇愛子+マン・レイ、北川民次、ジャン・コクトーほか●GW中の営業日について
ときの忘れものの休廊日は下記となります。
4月29日(火・祝)「昭和の日」
5月3日(土・祝)「憲法記念日」
4日(日・祝)「みどりの日」
5日(月・祝)「こどもの日」
6日(火)振替休日
※4月30日(水)~5月2日(金)は通常営業
GW明けの5/7(水)からは「2025コレクション展2/瀬木愼一旧蔵作品他」が始まります。
ぜひお気軽にお立ち寄りください。
●松本莞さんが『父、松本竣介』(みすず書房刊)を刊行されました。ときの忘れものでは莞さんのサインカード付本書を頒布するとともに、年間を通して竣介関連の展示、ギャラリートークを開催してゆく予定です。
『父、松本竣介』の詳細は1月18日ブログをお読みください。
ときの忘れものが今まで開催してきた「松本竣介展」のカタログ5冊も併せてご購読ください。
画家の堀江栞さんが、かたばみ書房の連載エッセイ「不手際のエスキース」第3回で「下塗りの夢」と題して卓抜な竣介論を執筆されています。
著者・松本莞『父、松本竣介』
発行:みすず書房
判型:A5変判(200×148mm)・上製
頁数:368頁+カラー口絵16頁
定価:4,400円(税込)+梱包送料650円
●ときの忘れものの建築は阿部勤先生の設計です。
建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

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