「刷り師・石田了一の仕事」
第13回「AⅠ(あい)はとこしえ 弁天町」
A)……絵の天才に松本で出会った…… と西丸四方の自伝「彷徨記」などにあります。
Ⅰ) 西丸四方(にしまるしほう)は信州大学医学部の精神科医で、1950年代に草間さんをいち早く世に紹介した先生です。お母様は島崎藤村の姪で画家でもあったそうです。
離れてはいても、縁(えにし)や人柄を大切に思う医師だったようですね。
草間さんが、ずっと心身の管理(ケア)を任せてきた病院は、西丸の師にあたる内村祐之(うちむらゆうし)が1951年に開設した日本で最初の開放病棟だけのメンタルクリニックです。父はあの内村鑑三です。
ここでは、画家でもある徳田良仁医師が主宰する芸術療法研究会も開かれていて、ユング研究所から帰国して間もない頃の河合隼雄と精神科医の中井久夫*が初めて出会ったのもこの病院でした。 *中井久夫「日時計の影」
1980年代、版画にするための元絵を病院に受け取りに行くと、
階段の踊り場に絵が並べられていて、入院中の方々が見守る中、選んだこともありました。診察時間の終わった夜のロビーで、版画にサイン入れてもらったこともありますよ。
自宅のマンションも近くにあったのですが、ここも作品で溢れかえっていましたね。
伺った時などには、部屋の片付けを頼まれ、お礼に作品をお土産に頂いたりなどして。
ラメの「コーヒーカップ」、この刺激的な小物は、後にラメ版画の誕生につながってゆきます。「夕映えの雨」も頂いた絵が元となって、版画となりました。
A)ここは、これら慧眼の士のスピリットが集う地なのですね。
Ⅰ)弁才天(サラスヴァティ)はヒンドゥー教では、知恵、学問、芸術の女神でしたよね。 まさしく、女神の化身、弁天町にありです。
ご近所には和算の関孝和も。あっ、夏目漱石もいらっしゃいました。

松本 薄川のほとりにて (2010年)

「愛はとこしえ」松本市美術館にて (2010年)
(いしだ りょういち)
■石田了一(いしだ りょういち)
シルクスクリーン刷り師・石田了一工房主宰
1947年北海道根室生まれ、1970 年美學校で岡部徳三氏に師事。
1971年、宇佐美圭司展(南画廊)で発表された<ボカシの 40 版>の版画で
工房をスタート。これまでにアンディ・ウォーホル、安藤忠雄、磯崎新、
草間彌生、熊谷守一、倉俣史朗、桑山忠明、五味太郎、 菅井汲、関根伸夫、
田名網敬一、寺山修司、鶴田一郎、萩原朔美、
毛綱毅曠、元永定正、脇田愛二郎、脇田和 他 ,
様々なジャンルのアーティストのシルクスクリーン作品を手掛ける。
●連載「刷り師・石田了一の仕事」は毎月3日の更新です。
次回は7月3日を予定しています。どうぞお楽しみに。
●本日のお勧め作品は草間彌生です。
《夕映えの雨》
1992年
シルクスクリーン
52.5×45.5cm
Ed.75
サインあり
※レゾネNo.171(阿部出版 2005年新版)
作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●「草間彌生 版画の世界―反復と増殖―」
2025年4月25日-2025年9月7日
前期:4月25日(金)~6月29日(日)/後期:7月1日(火)~9月7日(日)
会場:京都市京セラ美術館[ 新館 東山キューブ ]
◆「開廊30周年記念 塩見允枝子×フルクサス from 塩見コレクション」

ときの忘れものは6月5日に開廊30周年を迎えます。
30周年記念として塩見允枝子(b.1938)の2 回目となる展覧会を開催します。
●ときの忘れものの建築は阿部勤先生の設計です。
建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

第13回「AⅠ(あい)はとこしえ 弁天町」
A)……絵の天才に松本で出会った…… と西丸四方の自伝「彷徨記」などにあります。
Ⅰ) 西丸四方(にしまるしほう)は信州大学医学部の精神科医で、1950年代に草間さんをいち早く世に紹介した先生です。お母様は島崎藤村の姪で画家でもあったそうです。
離れてはいても、縁(えにし)や人柄を大切に思う医師だったようですね。
……幻覚妄想的不安状態を薬で抑えると絵が描けなくなってしまう。
絵は描けなくても薬で安静を得たいか、苦しんでも絵が描けた方がよいか、
いずれを取るかと尋ねると、苦しんでも描ける方がよいと言い、
三十年も病気に苦しみながら絵を描いていた。……
絵は描けなくても薬で安静を得たいか、苦しんでも絵が描けた方がよいか、
いずれを取るかと尋ねると、苦しんでも描ける方がよいと言い、
三十年も病気に苦しみながら絵を描いていた。……
草間さんが、ずっと心身の管理(ケア)を任せてきた病院は、西丸の師にあたる内村祐之(うちむらゆうし)が1951年に開設した日本で最初の開放病棟だけのメンタルクリニックです。父はあの内村鑑三です。
ここでは、画家でもある徳田良仁医師が主宰する芸術療法研究会も開かれていて、ユング研究所から帰国して間もない頃の河合隼雄と精神科医の中井久夫*が初めて出会ったのもこの病院でした。 *中井久夫「日時計の影」
1980年代、版画にするための元絵を病院に受け取りに行くと、
階段の踊り場に絵が並べられていて、入院中の方々が見守る中、選んだこともありました。診察時間の終わった夜のロビーで、版画にサイン入れてもらったこともありますよ。
自宅のマンションも近くにあったのですが、ここも作品で溢れかえっていましたね。
伺った時などには、部屋の片付けを頼まれ、お礼に作品をお土産に頂いたりなどして。
ラメの「コーヒーカップ」、この刺激的な小物は、後にラメ版画の誕生につながってゆきます。「夕映えの雨」も頂いた絵が元となって、版画となりました。
A)ここは、これら慧眼の士のスピリットが集う地なのですね。
Ⅰ)弁才天(サラスヴァティ)はヒンドゥー教では、知恵、学問、芸術の女神でしたよね。 まさしく、女神の化身、弁天町にありです。
ご近所には和算の関孝和も。あっ、夏目漱石もいらっしゃいました。

松本 薄川のほとりにて (2010年)

「愛はとこしえ」松本市美術館にて (2010年)
(いしだ りょういち)
■石田了一(いしだ りょういち)
シルクスクリーン刷り師・石田了一工房主宰
1947年北海道根室生まれ、1970 年美學校で岡部徳三氏に師事。
1971年、宇佐美圭司展(南画廊)で発表された<ボカシの 40 版>の版画で
工房をスタート。これまでにアンディ・ウォーホル、安藤忠雄、磯崎新、
草間彌生、熊谷守一、倉俣史朗、桑山忠明、五味太郎、 菅井汲、関根伸夫、
田名網敬一、寺山修司、鶴田一郎、萩原朔美、
毛綱毅曠、元永定正、脇田愛二郎、脇田和 他 ,
様々なジャンルのアーティストのシルクスクリーン作品を手掛ける。
●連載「刷り師・石田了一の仕事」は毎月3日の更新です。
次回は7月3日を予定しています。どうぞお楽しみに。
●本日のお勧め作品は草間彌生です。
《夕映えの雨》1992年
シルクスクリーン
52.5×45.5cm
Ed.75
サインあり
※レゾネNo.171(阿部出版 2005年新版)
作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●「草間彌生 版画の世界―反復と増殖―」
2025年4月25日-2025年9月7日
前期:4月25日(金)~6月29日(日)/後期:7月1日(火)~9月7日(日)
会場:京都市京セラ美術館[ 新館 東山キューブ ]
◆「開廊30周年記念 塩見允枝子×フルクサス from 塩見コレクション」

ときの忘れものは6月5日に開廊30周年を迎えます。
30周年記念として塩見允枝子(b.1938)の2 回目となる展覧会を開催します。
●ときの忘れものの建築は阿部勤先生の設計です。
建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

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