「関根光才さんの監督作が公開されるから、全員観に行って」。綿貫さんからの指令を受け、公開初日に映画『フロントライン』を拝見してきました。


※映画『フロントライン』予告編

物語の舞台は、2020年2月3日に横浜港に入港し、その後日本で初となる新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」号。劇中ではこの船をめぐり、前代未聞の対応を迫られた人々の姿が描かれます。

夕方、TOHOシネマズ渋谷に着くと、前の回を観ていた沢山の人々がエレベーターから溢れてきました。自分が鑑賞した回にも老若男女、幅広い年齢層の方がいらっしゃり、注目度の高さを感じます。

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映画が始まると、驚かされたのがその規模感の大きさ。ドローンを駆使してなめるように撮影された「ダイヤモンド・プリンセス」号には、テレビや携帯の画面で観ていた俯瞰映像とは全く別スケールの迫力があります。

客船内外のシーンでも、じつに大勢の人々が画面内を行き来していたのが印象的でした。当時船内に宿泊していた乗客(世界56ヵ国の3,711名が乗船していたといいます)や船内スタッフ、急きょ医療対応を担当することになった災害派遣医療チーム「DMAT」やその家族、厚労省の役人、報道スタッフ……。多くの登場人物が登場しますが、観終えてみて、この映画はできるだけ「脇役」をつくらないように意識して撮られたのではないかと感じました。

実際のコロナ禍においてそうだったように、劇中の人々は次々に重大な判断が迫りくる未曽有の事態に恐怖し、困惑し、怒り、悲しみます。感情が非常にもつれやすい限られた状況の中で、ある一人の目から見た景色だけを「善」とせず、一つひとつの立場を検証し、もつれた紐をほどこうとする。その作業のためには2時間9分の上映時間が必要だったのだと感じますし、実際に鑑賞してみると、俳優陣の素晴らしい仕事も相まってあっという間のひと時でした。

実在の人物や状況をモデルにした大規模なエンタメ作品という、ある種ハンドリングが難しそうな条件の中で、誠実にテーマに向き合おうとする監督の姿勢が感じられた本作。作品の最後、海に面する横浜の町が美しく映し出されると、倫理の瀬戸際でなんとか自分の信念を保とうと奔走した劇中の人々の姿が脳内に重なり合うのでした。

(スタッフI)

映画「フロントライン」
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6⽉13⽇から全国公開
監督:関根光才
出演者:⼩栗旬
松坂桃李 池松壮亮
森七菜 桜井ユキ
美村⾥江 吹越満 光⽯研 滝藤賢⼀
窪塚洋介
企画・脚本・プロデュース:増本淳
製作:「フロントライン」製作委員会
制作プロダクション:リオネス
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2025「フロントライン」製作委員会


●本日のお勧め作品は関根伸夫です。
sekine_68《水平線》
1974年
水彩
30.7×26.5cm/40.0×27.5cm
サインあり
作品の見積り請求、在庫確認はメール(info@tokinowasuremono.com)またはお電話(03-6902-9530)で承ります。「件名」「お名前」「連絡先(住所)」とご用件を記入してご連絡ください。

◆「開廊30周年記念 塩見允枝子×フルクサス from 塩見コレクション
Part 1 2025年6月5日(木)~6月14日(土)
Part 2 2025年6月18日(水)~6月28日(土)
※6月17日(火)に展示替え、日・月・祝日休廊
塩見允枝子×フルクサス案内状 表面ときの忘れものは開廊30周年を迎えました。記念展として「塩見允枝子×フルクサス from 塩見コレクション」展を開催します。

松本莞『父、松本竣介
2025年6月8日東京新聞に昭和初期から戦後活躍 早世の洋画家 松本竣介の生き様 新宿在住次男・莞さん 逸話まとめ出版という大きな記事が掲載されました。
また『美術手帖』2025年7月号にも中島美緒さんの書評「家庭から見た戦時の画家の姿」が掲載されています。
ときの忘れものは松本竣介の作品を多数所蔵しています。
松本莞さんのサインカード付『父、松本竣介』(みすず書房刊)を特別頒布するとともに、年間を通して竣介関連の展示、ギャラリートーク他を開催してまいります。詳細は1月18日ブログをお読みください。
今まで開催してきた「松本竣介展」のカタログ5冊も併せてご購読ください。
1200-hyoshi著者・松本莞
父、松本竣介
発行:みすず書房
判型:A5変判(200×148mm)・上製
頁数:368頁+カラー口絵16頁
定価:4,400円(税込)+梱包送料650円

●ときの忘れものの建築空間(阿部勤設計)についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com 
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営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は原則として休廊ですが、企画によっては開廊、営業しています。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
14二階廊下、ウォーホルと関根伸夫