先日7月19日のブログで金沢での「谷口吉生先生のお別れ会に出席して」を書きました。ブログには2010年に青山時代での「マン・レイと宮脇愛子展」オープニングの折の写真を掲載しました。写っているのは宮脇愛子先生と槇文彦先生、谷口吉生先生、お三人は長い交友関係でした。


2010年 マン・レイと宮脇愛子展 2010年9月28日~10月16日 オープニングにて、青山・ときの忘れもの
左から宮脇愛子先生と谷口吉生先生、槇文彦先生

ブログに掲載した写真をご覧になって直ぐにSNSで投稿されたのが鈴木杜幾子先生。著名な美術史家で明治学院大学名誉教授。専門はフランスを中心とするヨーロッパ近代美術史、ジェンダー論。故・鈴木博之先生の奥様です。

杜幾子先生の投稿にさっそく反応したのが児島薫先生。美術史家で実践女子大学教授です。東京国立近代美術館で活躍された故・近藤幸夫先生の奥様です。

途中から参戦したのが松下由里先生。群馬県立館林美術館学芸員で、ご専門は19世紀英国美術。

三人とも著名な研究者なので、美術史の話しが展開するのかと思ったら、あにはからんや、ファッションでした。

●鈴木 杜幾子
その昔、鎌近の宮脇展の内覧会にこの写真のお二人が申し合わせたように紺ブレとグレーフラノのパンツ姿で連れ立って見えていました。ブレザーはダブルだったでしょうか。このファッションの源泉は慶応?それともアイヴィリーグ?どなたかご存じの方に教えて頂けないでしょうか。

●児島 薫
近藤は慶應の定番が紺のブレザーだと言ってました。
河合先生も。

松下由里
イギリス発祥、20世紀初頭から1920年大にかけてアメリカに伝わったそうです。

鈴木 杜幾子
ダブルとシングルはどちらが正統ですか?

松下由里
ググりました!
イギリスのブレザーは、シングルはもともとモーニングコートから生まれたテニスやクリケットのシングル上着から発展して、特にオックスブリッジのボート部の制服(1820年代)あたりが広まるきっかけだったとか。テムズ川でヘンリーレガッタとかありますものね。
ダブルはそもそもポーランド騎兵の軍服が期限で、19世紀にプロシアやイギリスの軍服に採用され、軍艦ブレザー号が名前の由来になったとか。19世紀半ば。ピーコートの形もそうですね。
イギリスではそもそもフランネルが、スポーツやゆったり着に使うので、ズボンがフラノなのは実際的なのでは。そして上着できちんとする。
スポーツ由来シングル、軍服由来ダブルでしょうか。

鈴木 杜幾子
ありがとうございます! 軍服がダブルなのは寒風が入らないようにするためだと読んだことがあります。

松下由里
そうです!ピーコート暖かいですよね。シングルはボタンを外して羽織るけれど、ダブルはボタンを外さないのがルールみたいですね。
衣服史の大原則で、上の身分の服が下位にも伝わっていき、上の身分の服はより略式になっていくそうです。チコちゃんのトリビア、イギリスのサッカーナショナルチームのユニフォームは最初絹だったそうです!フランスは綿。

鈴木 杜幾子
今ではウェイターやホテルマンは黒の上着かチョッキに白いシャツや黒タイだけれど、客はTシャツに短パンにゴム草履やスニーカーですからね。

 

というコメントのラリーが続いておりました。
TPOとよく言いますが、服装というのは相手への敬意や配慮でもあるので、私も一日の仕事のスケジュールを確認して選ぶように心がけていますが、確認を怠り慌てることもあります。いつもきちんとした格好をしていたら慌てないのでしょうが。最近はスニーカーが楽で・・・
槇文彦先生と谷口吉生先生はともに慶應ボーイ。いやはや勉強になります。
(おだち  れいこ)

●ときの忘れものの建築空間(阿部勤 設計)についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
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