
1983年アンディ・ウォーホルの「KIKU」のフィルムを点検している石田了一さん(版画藝術より転載)。
2006年、つい先日ときの忘れものでの「アンディ・ウォーホル展」で久しぶりに自分で刷った「KIKU」を前にした石田さん、20数年を経て、髪はすっかり白くなりましたが、まだまだ若いですね。
刷り師の石田了一さんに初めて会ったのは1974年だから、もう30数年の付き合いです。
石田さんは、日本のシルクスクリーンの先駆的刷り師の岡部徳三さんが育てた弟子の中で最も技量に優れていることは衆目の一致するところです。
私とは、版元(発注者)と職人という関係ではありますが、それ以上の深い深い付き合いです。
1970年代から露天風呂愛好会を結成し、全国の温泉めぐりを続けています。石田さんが会長で、私が幹事長であります。
それはともかく、石田さんは、単に作家の指示のもとに版画を刷る職人というよりは、作家や版元の私たちに適切なアドバイスをし、ときには誰も思いつかなかったようなアイデアを提案する。
草間彌生先生がアメリカから帰国後、初めて版画を制作したときの刷り師が石田さんですが、あのラメ刷りを草間先生に提案されたのは石田さんの大功績でしょう。
石田さんが版画界で注目されたのは、まだ20代のころ、南画廊で発表された宇佐見圭司のあの微妙なグラデーションを見事に刷り上げたことによってです。
以来「ぼかしの石田」というのが石田さんのトレードマークともなりました。
コメント