1月13日、版画家の吉原英雄先生が亡くなりました。
76歳というのは、いまどきではむしろまだまだお元気で制作して欲しいと思う年代ではないでしょうか。
1960~70年代、泉茂、池田満寿夫、靉嘔らと版画の時代を築いたスター作家のお一人でした。
いつものようにリトグラフで刷られた干支の猪の年賀状をいただいていたので、そんなにお悪かったのかと驚いています。
リトグラフによるさわやかな表現はこの時代の記憶としていつまでも残ると思います。
私が最初にお目にかかったのは1974年でした。
当時私が創立した現代版画センターの旗揚げのエディションをお願いに大阪のご自宅に伺ったのですが、ちょうどそのとき、京都芸大の若い学生さんたちが何人もいらっしゃっており、その一人が山本容子さんでした。
私の予備知識では、リトグラフの作家とばかり思っていたのですが、「こんなのも作っているんだよ」と見せていただいたのが、みみずくを描いた銅版画の小品でした。
一目で気に入ってしまい、その銅版画の絵柄を、現代版画センターのマークにさせていただきました。
以後、このみみずくのエンボスマークが15万枚にのぼる現代版画センターのエディションのほとんどに捺されることになりました。
作家としても教師としても優れた方だったと思います。
関東の人間には、どうも関西の言葉のアクセントが難しいのですが(吉原先生はもともと瀬戸内海因島の出身)、「よしわら、ではなくて、ヨシハラです」と教えてくださったのを昨日のように思いだします。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
掲載した作品は、現代版画センターのエディションで
「ガラステーブルの上の花」
1982年 シルクスクリーン(刷り:石田了一)
53×40cm 限定150部
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