画廊のお客様で鋭い展覧会評を寄せてくださるTさんが、ミクシイに先日展示した「磯崎新 百二十の見えない都市(第二期4都市分)」について、感想を書いてくださった。
早速、お許しを得て、転載させていただきます。
先日の展観は、第二期十二都市のうちのまだ4都市(「円柱」「布石」「樹」「孵化」)分に過ぎませんが、磯崎新先生の大構想の一端をうかがうことができます。
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「磯崎新《百二十の見えない都市》展 第二期より」を観た。
第二期、第1回頒布分の4つのテーマ
-「円柱」「布石」「樹」「孵化」- が展示されていた。
(1/24、東京・南青山のときの忘れもの<1/9-1/27>)
+
磯崎新連刊画文集「百二十の見えない都市」の第一期が
都市の「相(そう)」を示したものであるならば、
第二期は都市の「様(さま)」を示そうとしているかのようである。
+
生成するさま、構築のさま、振動するさま、場のさま、空(くう)のありさま、渾沌(混沌)のさま、刻み・刻まれるさま、結晶というさま、過剰なさま、
性のありさま、命あるさま、分かれるさま、増殖するさま...
+
何らかのパラメータ、偏向因子が加われば、ある時は「漏斗都市」、
ある時は「地中都市」、ある時は「蝸牛都市」、「浮揚都市」、
「垂直都市」、「方城都市」、「異物都市」...へと変態する。
蛹が蝶になる。ヤゴがトンボになる。卵がひよこになる。
固体が液体になり、液体が気体になる。
そのように、都市も変態する、「相」が変わる。物語も変わる。
しかし、どの都市も、生成、構築、振動、場、空、渾沌、刻印、結晶、
過剰、生命、性、分節、増殖...という都市の「さま」を抱え持つ。
ただちょっと、「さま」の組み合わせが違ったり、主人公が変わったり、
順番が異なったりするだけ。
ただ、そのちょっとが、ちょっとですまないというのが第一期...だった。
+
第一期が「結晶体」としての「源氏物語」や「平家物語」ならば、
第二期は「さま」に言及している書「古事記」「日本書紀」がふさわしい。
「円柱」

生成の三神、天之御中主神・高御産巣日神・神産巣日神。
交合・構築の二神、伊邪那岐神・伊邪那美神。
神を数える数詞が「柱」であることに言及しつつ、
疥癬どもを蹴散らしながら、構築への強い意志を示してみせる天の御柱
=空中都市/ジョイント・コア。
生成を言祝ぎ、交合・構築を生きる意志としての柱はまた、
降臨を呼ぶ柱、交換を誘う柱でもある。
「孵化」

カミ発生以前に立ち帰ること。
「古事記」「日本書紀」は渾沌をはしょりすぎているから注意せよ。
渾沌を渾沌のままその密度をあげること、度数をあげること。
安易にカミの生成に走らないこと。
「布石」

柱は最低3本立てる。その配置が空を生む。
その空が揺らぎ始め、振動する。
振動が振動を呼び振動が二乗化、三乗化する。
高速で回転する車輪が静止して見えるように、
振動する空間の中で、一瞬結晶体が生じる。
それを「「蝸牛都市」として取り出してもいい、
「浮揚都市」として記述してもいい。
「樹」
「絶対/相対」の彼岸。
玄之又玄。
早速、お許しを得て、転載させていただきます。
先日の展観は、第二期十二都市のうちのまだ4都市(「円柱」「布石」「樹」「孵化」)分に過ぎませんが、磯崎新先生の大構想の一端をうかがうことができます。
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「磯崎新《百二十の見えない都市》展 第二期より」を観た。
第二期、第1回頒布分の4つのテーマ
-「円柱」「布石」「樹」「孵化」- が展示されていた。
(1/24、東京・南青山のときの忘れもの<1/9-1/27>)
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磯崎新連刊画文集「百二十の見えない都市」の第一期が
都市の「相(そう)」を示したものであるならば、
第二期は都市の「様(さま)」を示そうとしているかのようである。
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生成するさま、構築のさま、振動するさま、場のさま、空(くう)のありさま、渾沌(混沌)のさま、刻み・刻まれるさま、結晶というさま、過剰なさま、
性のありさま、命あるさま、分かれるさま、増殖するさま...
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何らかのパラメータ、偏向因子が加われば、ある時は「漏斗都市」、
ある時は「地中都市」、ある時は「蝸牛都市」、「浮揚都市」、
「垂直都市」、「方城都市」、「異物都市」...へと変態する。
蛹が蝶になる。ヤゴがトンボになる。卵がひよこになる。
固体が液体になり、液体が気体になる。
そのように、都市も変態する、「相」が変わる。物語も変わる。
しかし、どの都市も、生成、構築、振動、場、空、渾沌、刻印、結晶、
過剰、生命、性、分節、増殖...という都市の「さま」を抱え持つ。
ただちょっと、「さま」の組み合わせが違ったり、主人公が変わったり、
順番が異なったりするだけ。
ただ、そのちょっとが、ちょっとですまないというのが第一期...だった。
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第一期が「結晶体」としての「源氏物語」や「平家物語」ならば、
第二期は「さま」に言及している書「古事記」「日本書紀」がふさわしい。
「円柱」

生成の三神、天之御中主神・高御産巣日神・神産巣日神。
交合・構築の二神、伊邪那岐神・伊邪那美神。
神を数える数詞が「柱」であることに言及しつつ、
疥癬どもを蹴散らしながら、構築への強い意志を示してみせる天の御柱
=空中都市/ジョイント・コア。
生成を言祝ぎ、交合・構築を生きる意志としての柱はまた、
降臨を呼ぶ柱、交換を誘う柱でもある。
「孵化」

カミ発生以前に立ち帰ること。
「古事記」「日本書紀」は渾沌をはしょりすぎているから注意せよ。
渾沌を渾沌のままその密度をあげること、度数をあげること。
安易にカミの生成に走らないこと。
「布石」

柱は最低3本立てる。その配置が空を生む。
その空が揺らぎ始め、振動する。
振動が振動を呼び振動が二乗化、三乗化する。
高速で回転する車輪が静止して見えるように、
振動する空間の中で、一瞬結晶体が生じる。
それを「「蝸牛都市」として取り出してもいい、
「浮揚都市」として記述してもいい。
「樹」
「絶対/相対」の彼岸。
玄之又玄。
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