数日前、突然「画廊のみなさまへ」と題したメールが届いた。
発信人は、Art Bazar Japanの森岡光さん。

お目にかかったことはないが、ネットで新たな美術愛好家を育てようという熱意に私も賛同して、何点かときの忘れものの取り扱い作品を登録していた。
(残念ながら反応は無かったが)
アートソムリエを名乗る山本冬彦さんの発言なども載った、美術界に新風を送り込もうと意欲がよくわかるサイトだった。

以下、送られてきた挨拶状の全文です。

<この度、突然ではありますが、Art Bazar Japanを閉鎖することといたしました。画廊の方々には、2003年末から3年半にわたりご支援いただいたこと、深く感謝申し上げます。
"アートを生活の中に"という初心や、そのためにインターネットの活用が大きな役割を果たせるという信念には変わりはありませんが、時間的、体力的にも限界がきて、本年に入ってからは更新もままならない状況が続いてきました。なかば開店休業状態を続けるのは皆さまや作家の方々
に申し訳なく、打開策が見当たらない以上、閉鎖やむなしと判断し、決断した次第です。
本来はこのお知らせの後、閉鎖すべきだったのですが、一昨日6月1日にはサイトに「閉鎖のお知らせ」を掲載しており、順序が逆になったことをお詫びいたします。
なお作品ご購入に際し、お客さまからいただいた個人情報はすべてサーバーから削除いたします。
なお掲載されていた作品イメージが必要な場合は以下の本メール宛てご連絡下さるようお願い申し上げます。
ご支援いただいた皆さまのご厚情に重ねてお礼申し上げます。ありがとうございました。
また、本来ならお会いしてお伝えすべきところ、メールでの連絡になりましたことお詫び申し上げます。Art Bazar Japan  森岡 光>

あまりに突然なので、少々驚きました。

時間的、体力的にも限界がきて、本年に入ってからは更新もままならない状況が続いてきました>などという文章を読むと、身につまされます。
やれどもやれども反応がない、いくら新しい作品を紹介し、更新を重ねても注文は来ない。
売り上げゼロでも更新作業には時間も経費もかかる。
無力感にとらわれ、更新作業も滞り勝ちになる・・・・
きっとそんな風だったのではと、勝手に想像しています。
森岡さん、ご苦労さまでした。

店舗を持たず、インターネットで絵画を販売するという試みは、ヤフーや楽天で行われていますし、中でも「タグボート」が最も業界では注目されているようです。
きっとそれらがネット販売の勝ち組なのでしょう。

それらに比べれば超零細のときの忘れものも、1999年の秋頃から細々とではありますが、ホームページをつくり、ネットでの美術作品の販売を試行錯誤を繰り返しながら進めてきました。
当初数年間はほんとうに反応が少なくて、泣きたいような日々でしたが、幸いなことに私どもは家族労働で、ネット関係の構築は息子たちが学生時代から手がけてくれ、その後の更新、増殖作業も続けてくれています。
ネットは「継続」に尽きます。
始めたらとにかく諦めずに、しぶとく更新作業を続ける。
それが信用となり、新たなコミュニケーションを生み、最終的には「注文」に結びつくのでしょう。

おかげさまで、ここ数年はネットは私どもの営業の大きな柱となっています。
お目にかかったことのない常連のお客様も増えました。
しかし、やはり美術品の売買は「実物」が基本だ、私はそう堅く信じています。
優れた美術作品は、実物に接しなければ決してそのよさは実感できない。
ネットによるイメージはあくまで、補完的なものだと思います。

ネットは情報は伝えられるが、感動は伝えられない。
そのあたりを深く肝に銘じながら、これからも、しぶとくネットによる情報を発信し続けていくつもりです。
作品の注文や、掲示板への書き込み、そしてネットで知り直接尋ねてきてくださる皆さんの一言がどんなに私たちを励ましてくれたことでしょう。
今後とも皆さんのご支援を心よりお願いいたします。