北代省三

北代省三 Shozo KITADAI
「音の揺らぎ」
 1989年 ピクセル・トランスファー方式による電子版画
 Image Size 26.0×34.2cm
 Ed.15 Signed

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 1951年に瀧口修造が名をつけ親となり結成された「実験工房」は、写真家であり美術家でもあった北代省三はじめ、福島秀子、山口勝弘、武満徹、湯浅譲二、駒井哲郎らが参加し、インターメディア的な活動を展開しました。アートとテクノロージーの融合を目指した先駆的試みでした。
 その中心メンバーだった北代省三が、このような<電子版画>を制作していたことは余り知られていません。亡くなるまで、実験的精神を失わなかった北代らしい作品といえるでしょう。

北代省三(きただい しょうぞう 1921-2001)1921年(大正10)、東京に生れる。父の影響で少年期よりカメラに親しむ。1939年(昭和14)に新居浜高等工業専門学校機械科(現・愛媛大学工学部)に入学、金属材料学に関心を持つ。1942年(昭和17)、陸軍に応召、47年に復員。1948年(昭和23)「モダン・アート夏期講習会」に参加、山口勝弘らと出会う。また、雑誌に掲載されたカルダーのモビール図版から模作を試み「七燿会展」に出品する。翌年、「第1回読売アンデパンダン展」に油彩を出品。1950年(昭和25)ころより、美術家だけでなく音楽家など諸ジャンルの芸術家らとの親交を深め、バレエ公演の舞台美術などを担当する。1951年(昭和26)、綜合芸術グループ「実験工房」を結成。第1回発表会として、バレエ「生きる悦び」の舞台美術などを担当する。「実験工房」ではメンバー共同制作による舞台作品、オート・スライドや映像作品などを発表。またこの年には第1回個展をタケミヤ画廊で開催、構成的な油彩画を発表する。その後は、ベニヤによるレリーフ、モビール、スタビル、印画紙を使った「写真版画」など、絵画以外のが中心となっていく。1957年ころからは、主に雑誌を媒体に写真を発表。『模型飛行機入門』『大型カメラの世界』などの著書もある。練馬区立美術館では「浮遊する彫刻」展(1990年)に出品。2001年(平成13)、死去。