難波田龍起静かな街

難波田龍起 Tatsuoki NAMBATA
「静かな街」
 1978年頃  etching
 18.2×15.0cm
 E.A.のみ数部
 Signed  *レゾネNo.99

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから

◆8日から始まった「難波田龍起展 没後10年ー未発表版画を中心に」には、未発表のままになってしまった銅版画を6点出品しています。
ここで未発表というのは、難波田龍起先生が版をつくり試刷りまで行なっていながら、結局数部を刷っただけで廃版にしてしまった銅版画のことです。
1998年に阿部出版から出されたレゾネ「難波田龍起全版画作品集」には、リトグラフが39点(No.1~39)、銅版画が105点(No.40~144)、孔版画・木版画が8点(No.145~152)、コラージュ・モノタイプ・ゴーフラージュが15点(No.153~167)の合計167点が収録されています。
その7割ほどに私は版元として関わりました。
一番多いのが銅版画ですが、レゾネにも<E.A.のみ>と記載されているものが28点、<Ed.不明>が1点、Ed.が記載されているが、実際には<E.A.のみ>と推定されるものが2点、それぞれあります(この数字は私が追悼集に書いた文章の数字と違っています。あのときはまだレゾネが刊行されておらず、編集部からゲラを見せていただき執筆したので正確に数えることができませんでした)。
つまり全105点のうち、3割がエディションなしの数部の試刷りで終わってしまった。
その元凶が私であることは先の追悼文集で懺悔したので繰り返しませんが、その判断の基準が製版にあったことは間違いありません。しかしこの「静かな街」だけは思い出しても、こんなに製版もうまくいってすばらしい刷りなのに、没にした理由がわかりません。
すべては私の不徳にいたすところですが、返す返すも残念でなりません。