山下客はアートでやってくる
タイヤメーカーのミシュランが来年度に新しく日本の温泉旅館のランク本を出すことになり、秘密調査員を拝命している綿貫です。
というのはもちろん冗談ですが、私は友人たちと30年以上前から露天風呂愛好会というのをやっており、日本中の温泉を巡り歩いております。本日は、山下柚実さんの著書『客はアートでやって来る』の出版記念パーティということで、長年憧れておりました板室温泉の大黒屋さんにお招きいただき、ありがとうございます。
今までここに来なかったのは、一つはわれわれ貧乏旅行を旨としており予算的にちょっと合わなかったのと、会のポリシーとして温泉街ではなく一軒宿の温泉を訪ねてきたからです。
しかし、この大黒屋さんに初めて伺い、お湯はもちろんですが、旅館として実に素晴らしいと感嘆しました。
先ず、靴を脱いで上がったら床が気持ちよくて思わずスリッパを脱ぎ裸足になりました。
次に廊下の気持ちよさですね。飾ってある作品はもちろんですが、温度が適温で歩いて気分がいい。清潔で設備も良く、ミシュランなら文句なく三ツ星と思います。

さて、日本中の温泉街がさびれて旅館やホテルがどんどん潰れ、片や新風舎や草思社も倒れる出版不況の中、創業1551年の大黒屋さんをテーマに、1895年創業の老舗出版社東洋経済新報社から、山下柚実さんの『客はアートでやって来る』が刊行されることはとても嬉しく思います。

山下さんは私たちが青山でやっている貧乏画廊「ときの忘れもの」の長年のお客様でして、菅井汲や谷川晃一、ヤコブ・アガムなど身銭を切って作品を買われています。だからアートに関して見当外れなところがなく、きちんとしたスタンスで書かれています。

この本の内容は皆さんがゆっくり読んでいただくとして、アートのパトロンとして我々が尊敬する室井俊二さんが16代目ご当主である温泉旅館大黒屋さんが益々発展し、この本がたくさん売れることを願い、著者の山下さんの今後のご活躍を祈って乾杯の音頭をとらせていただきます。
本日は、おめでとうございます。乾杯!!
(1月19日、板室温泉大黒屋で開催された山下柚実さんの出版記念パーティにて)

綿貫乾杯乾杯の音頭をとる綿貫。右隣の着物姿が著者の山下柚実さん。
右端は大黒屋のご当主、室井俊二さん。

菅木志雄右から、自らの作品について語る菅木志雄さん、トークの司会の片野明さん(五感生活研究所)、室井俊二さん、山下柚実さん。

大黒屋菅作品館内にはいたるところに菅木志雄作品が見事に展示されている。

大黒屋玄関広い敷地に建つ大黒屋さんの玄関。

大黒屋裏庭庭にも現代美術の作品が設置されている。

◆このところ温泉三昧である(お正月に水上の奥に行ってきたばかり。来月は露天風呂愛好会の例会だ)。
先日栃木の名湯、板室温泉の老舗旅館大黒屋さんで開催された山下柚実さんの出版記念パーティは菅木志雄さん、小山登美夫さんはじめ60人を越す人が集まる盛大なものだったが、その雰囲気は出席者の皆さんがブログに書いておられるのでご参照ください(海豚亭通信メセ協スタッフのブログバー・カコイ)。
現代アートを取り入れて、旧来の湯治の宿を21世紀の「保養とアート」の宿に生まれ変わらせた秘密を描いたこの本(1600円+税)、発売は2月1日です。もちろんお薦めです。

◆「柳沢信写真展」本日が最終日です。どうぞお出かけください。

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