客はアートでやって来る先日、栃木県板室温泉の大黒屋さんで開催された出版記念パーティのことをこのブログに書きましたが、その本・山下柚実「客はアートでやって来る」(240頁、東洋経済新報社、税込1,680円)が発売になりました。
この本を書いた経緯については、山下柚実さんのブログをお読みいただきたいと思いますが、「保養とアート」を経営の前面にかかげた大黒屋室井俊二さんのユニークな発想、試行錯誤、そして他の温泉旅館が凋落して行くなかで、旅行会社にも頼らず7割以上のリピーター客を獲得するに至った奮闘ドキュメントとして私は一気に読ませていただきました。

大黒屋玄関大黒屋菅作品

絵画などアートを展示した旅館やホテルは珍しくありません。むしろ客室に絵が飾ってあるのが一般的といっても良いでしょう。でもその実態は、一度飾ったら飾りっぱなし、展示換えもなければ、額の縁を触れば埃だらけというのがまあ偽らざるところでしょう。
大黒屋さんや室井さんのことは以前から存じ上げていたので、上記のようなことはあるまいと思っていたのですが、それでも実際に訪れてみて、その徹底したアートへの傾倒、館内、庭園などいたるところに展示された菅木志雄をはじめとする作品の質の高さ、展示の完璧さには驚きを通り越してただただ溜息。
これはホンモノだ!
何より、室井さんはじめスタッフの皆さんの作品を大切にする姿勢が半端ではない。
文字通り「保養とアート」がこの温泉旅館のコンセプトなのだと実感しました。
この本には美しい景色とともにたくさんの現代美術の作品写真が掲載されています。
銀座の養清堂画廊で村井正誠の版画を買ったのが室井さんのコレクションの始まりだそうですが、一人のコレクターがやがて菅木志雄のパトロン的存在になって行く様が手にとるようにわかります。
著者の山下さんにサインをお願いしました。
サイン入り税込1,680円です(送料サービス)、画廊においてありますので、どうぞお求めください。
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