

歳のせいか昨年末に体調を崩して以来、週に幾日かは休むという日が続いている。
ここは一番温泉に浸かって体を癒そうと、2008年度の露天風呂愛好会第一回例会の開催となりました。久しぶりに正会員5名が勢ぞろいして群馬県湯宿温泉湯元館に行ってまいりました。
開湯1200年、わが故郷群馬でも屈指の古い歴史をもつ温泉ですが、かつては三国街道の宿場町として栄え、今もその面影が残るひなびた温泉街です。
今回は名古屋からHさんという素敵な女性がゲスト参加、男3人、女3人の温泉行。
露天風呂愛好会はもともとは石田会長がカンテラを頭に括り付け、スコップ担いで山に分け入り、湯船がなければ穴を掘って浸かるというハードな文字通り露天風呂を楽しむ旅から発足し、宿泊は人里離れた一軒宿で粗食に耐えるというのがポリシーですが、最近はお互い歳をとったせいか、すこ~し贅沢も許されるようになりました。
湯元館は歴史は古いのですが、建物はいかにも昭和の温泉ホテルといった外観、お風呂は六角形の空間に丸い湯船、無色透明のさらっとしたお湯で、温度も高からず低からず、私にはちょうど良かった。石田会長夫人に評価では「いまいちピリッとしないわね」とのことでした。
窓の外は雪が降り積もり、静かにふける夜長を炬燵を囲んで、ビールに酒に泡盛とまあいつもの飲み会になりました。
雪は一晩で10センチ以上も積もり、翌日は日本全国に吹き荒れた強風が湯宿にも押し寄せ、まるで地吹雪の如き天気とあいなりました。北国の春はまだ遠い。
強風と雪でバス、新幹線の遅れがあり、それでもお昼には上野到着。
東京国立博物館で「宮廷のみやび―近衞家1000年の名宝」展を観ました。
東博はさすが旧帝室博物館だけあって広くて収蔵作品のスケールが他を圧倒している。常設が充実していていつ行っても楽しめるので上野近辺で用事があったときの時間つぶしにはもってこいです。それに建物がいい。本館が渡辺仁、表慶館が片山東熊、東洋館が谷口吉郎、法隆寺宝物館が息子の谷口吉生、平成館が安井建築設計事務所と、それぞれに歴史と風格を感じさせるデザインで、ちょこまかしていないのがいいですね。
何といっても表慶館の裏手の法隆寺宝物館が抜群のロケーションで、現代建築でありながら佇まいが雅びである。人も少ないし、ここのレストランはデートにはお薦め(ホテルオークラの出店)で、私たちもランチにビールをいただきのんびりしました。
その後は、安藤忠雄先生が改築を手がけた国際こども図書館へ。
明治39年に久留正道らの設計による帝国図書館が誕生し、戦後は国立国会図書館の支部上野図書館となっていました。私も蘆原英了蔵書の調査で支部上野図書館時代に何度も通いましたが、明治期の重厚なルネッサンス様式の建物で、くら~い感じしかなかったのですが、安藤忠雄先生のデザインで見違えるように明るい印象の建物に生まれ変わりました。
安藤先生の古い建物を再生させる手際の素晴らしさは、イタリアのファッション・アパレルメーカーのベネトンがつくったアートスクール(世界各国から奨学生として招聘された25歳以下の若者たちが、さまざまな分野でのクリエーションを試みている)の設計で一躍世界の注目を集めました。17世紀の古いヴィラの再生計画です。地域性や歴史性を尊重し、周囲の田園風景を考慮したうえで、新しい建物の大部分を地下に沈めるという保存改修計画により、伝統的な漆喰肌のヴィラと新設されたコンクリート打ち放しの組み合わせが、歴史と現代の遭遇を象徴した素晴らしい建築となっています。
安藤忠雄 Tadao ANDO「ベネトン・ア-トスク-ルI」
1998 Screenprint(かきた紙)
Image Size 39.0×111.5cm
Sheet Size 60.0×120.0cm
Ed.35 Signed
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豪快な吹雪の温泉から梅の蕾膨らむ雅な上野へと、なかなか味わい深い温泉例会でありました。
さて、遅れていた仕事に復帰して頑張りましょう。
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