昨日、久しぶりに町田に行ってきました。
町田市立国際版画美術館で「ピラネージ版画展2008―未知なる都市の彼方へ―展」が開催されているので、建築家であり、版画家であったピラネージのファンとしては見逃せません。同館や静岡県立美術館などの所蔵作品約200点で構成され、見ごたえがあります、
入り口でルーペを貸してくれるので、私、一番大きな虫眼鏡を片手に、好きな作品の細部を眺めながら鑑賞しました。カタログ(2,200円)所収、同館学芸員・佐川美智子さんの「ピラネージのエッチング技法」という論考がとても参考になりました。ピラネージが銅版に描画するに際して決して線を交差させなかった、つまりパラレルな線だけで、あの壮大な幻想風景をつくっていった過程がよくわかります。
他に収穫だったのは、常設展示「池田満寿夫ー愛とエロスの過程」展です。1956年~1972年にかけての主にカラー作品40点が展示されていましたが、特に最初期の1956年、1957年の<未だ池田満寿夫になっていない>作品「原始の太陽」(タイトルからして時代を感じさせます)、「目のある風景」、「アフリカの女」など15点が私には興味深かった。色彩はあるのですが、鈍く、とても後の輝くような躍動はない、それが何かのきっかけで大きな転機が訪れ、あの池田満寿夫になったに違いない。それを想像しながらの楽しいひと時でした。
また、廊下の一角に駒井哲郎先生が1961年まで使っていたという銅版プレス機も展示してあります。この小さなプレス機で「束の間の幻影」などの名作が刷られたのだと思うと、感慨一入でした。
ピラネージ展の会期は11月24日までです。少しですが、招待券がありますので、ご希望の方はメールでお申し込みいただくか、画廊にいらっしゃってください。プレゼントします。

因みに下記のピラネージの牢獄シリーズは、ときの忘れもののコレクションです(同じものが同展にも展示されています)。
ピラネージ
「牢獄 Ⅳ Carcere Ⅳ」
1761年 エッチング
イメージサイズ:55.0×40.5cm
※レゾネNo.118

ピラネージ、
「牢獄 XII Carcere XII」
1761年 エッチング
イメージサイズ:41.0×56.0cm
※レゾネNo.121

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