カリン・シェケシーの撮るヌードは、美しい。モデルの身体のラインを実に美しく見せてくれます。エロティックさのない、純粋に美的なヌードです。それは、写真を撮り始めた頃、人形を撮影していたことと無縁ではないでしょう。
静寂の中の静止した時間。シェケシーは、その中に動く人物を登場させることがあります。しかし、それは動きを感じさせるというより、その場から消えてしまう人物のように見えるのが不思議です。まるで、「動いてはならない」という規律を破った途端に消されてしまったかのようです。
この作品は、二人で一つのようでもあり、後ろの人物は前の人物の影のようでもあります。また、こちらを見る視線は、鑑賞する我々との関係を拒絶しているようで、何か冷たさを感じますが、そこが人形のように見える理由かもしれません。人は、拒まれるとこちらから擦り寄って行きたくなるものですが、そういう気分にさせる作品です。
karin szekessy
カリン・シェケシー「mit Katarina」
1977年 Gelatin Silver Print
Ed.20 52.0x51.3cm signed

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カリン・シェケシー(Karin SZEKESSY)
1939年ドイツ生まれ。1957年~1959年ミュンヘンで写真を学ぶ。1959年以降、人形収集と人形撮影をする。1963年画家のポール・ヴンダーリッヒと共同で初めてヌード写真を撮影。1960年から1966年まで、雑誌"Kristall(水晶)"のルポルタージュ・カメラマンとして働き、1962年から1967年には、グループ"Zeitgenossen(同時代人)"のメンバーとして活動。1967年から1969年にかけて、ハンブルクの美術学校でファッション写真についての講義をする。1971年ポール・ヴンダーリヒと結婚、カリンの撮影した写真をもとにポールが絵画・版画作品を制作するなど、コラボレーション作品を発表。1984~1987年"Ullstein-Krimis"のために約300枚のカバー写真を制作。ハンブルクおよびフランス南部に住んで制作を続けている

◆ときの忘れものでは、10月31日[金]―11月8日[土]まで「写真に恋する 写真コレクション展」を開催しています。