「写真に恋する」最終回は、マニュエル・アルバレス・ブラーヴォの「腰をおろす人々」をご紹介します。
メキシコ生まれのブラーヴォは、メキシコ特有の生活文化を題材とした作品を多く撮影した、南米を代表する写真家です。1930年代後半にシュルレアリスムを創始したアンドレ・ブルトンに出会ったことで、シュルレアリスムも意識するようになり、1940年代に初期の実験的な写真を破棄します。
この写真は、1932~1934年頃に撮影されたものなので、破棄されなかった作品なのでしょう。履きつぶされた靴や薄汚れた服、鎖で繋がっている椅子からは、この時代のメキシコ経済を象徴しているかのように思います。それぞれの背中から、それぞれの空気がかもし出されている、趣のある作品です。(おだちれいこ)
マニュエル・アルバレス・ブラーヴォ
「腰をおろす人々」
c.1932-1934(Printed later)
ゼラチンシルバープリント
22.4×29.5cm
サインあり
◆マニュエル・アルバレス・ブラーヴォ(Manuel Alvarez Bravo)1902年メキシコ・シティーに生まれる。祖父が画家・写真家、父親が画家・作家であったことから、幼少から広いジャンルのアートに触れて育ち、メキシコ革命(1910年~1920年)の激動の中で少年時代を送る。1920年代前半から写真に興味を持ち始め、ティナ・モドッティやエドワード・ウェストンらとの接点もあり、彼らの影響を受けて写真を始める。メキシコの持つ独自の生活文化を常に意識しながら、海外のアート動向も積極的に取り入れる。また、アンドレ・ブルトンに出会ったことでシュルレアリスムも意識するようになった。しかし初期の実験的な写真には満足せず、パーソナルなスタイルが確立した1940年代に多くの初期作品を破棄し、1960年~70年代にかけてはカラーやプラチナプリントを手掛けている。ブラーヴォの作品は、ドキュメンタリー写真や人物・風景写真が中心となる、メキシコの日常的な対象を撮影したものが多いが、そこには南米の神秘的な空気感、生や死が感じられる。1955年ニューヨーク近代美術館の『ファミリー・オブ・マン』展に出品。1970年代にはその評価が欧米で認められるようになり、現在では南米を代表する写真家として高い評価を受けている。2002年歿。
◆ときの忘れものでは、11月14日[金]―12月6日[土]まで「植田正治写真展ー砂丘劇場」を開催します。
初日の11月14日[金]19時より、東京都写真美術館専門調査員・金子隆一氏によるギャラリートークを開催します。参加費1,000円(1ドリンク付)
※要予約/氏名・電話番号を明記の上、メールまたは電話(03-3470-2631)でご予約ください。
メキシコ生まれのブラーヴォは、メキシコ特有の生活文化を題材とした作品を多く撮影した、南米を代表する写真家です。1930年代後半にシュルレアリスムを創始したアンドレ・ブルトンに出会ったことで、シュルレアリスムも意識するようになり、1940年代に初期の実験的な写真を破棄します。
この写真は、1932~1934年頃に撮影されたものなので、破棄されなかった作品なのでしょう。履きつぶされた靴や薄汚れた服、鎖で繋がっている椅子からは、この時代のメキシコ経済を象徴しているかのように思います。それぞれの背中から、それぞれの空気がかもし出されている、趣のある作品です。(おだちれいこ)
マニュエル・アルバレス・ブラーヴォ「腰をおろす人々」
c.1932-1934(Printed later)
ゼラチンシルバープリント
22.4×29.5cm
サインあり
◆マニュエル・アルバレス・ブラーヴォ(Manuel Alvarez Bravo)1902年メキシコ・シティーに生まれる。祖父が画家・写真家、父親が画家・作家であったことから、幼少から広いジャンルのアートに触れて育ち、メキシコ革命(1910年~1920年)の激動の中で少年時代を送る。1920年代前半から写真に興味を持ち始め、ティナ・モドッティやエドワード・ウェストンらとの接点もあり、彼らの影響を受けて写真を始める。メキシコの持つ独自の生活文化を常に意識しながら、海外のアート動向も積極的に取り入れる。また、アンドレ・ブルトンに出会ったことでシュルレアリスムも意識するようになった。しかし初期の実験的な写真には満足せず、パーソナルなスタイルが確立した1940年代に多くの初期作品を破棄し、1960年~70年代にかけてはカラーやプラチナプリントを手掛けている。ブラーヴォの作品は、ドキュメンタリー写真や人物・風景写真が中心となる、メキシコの日常的な対象を撮影したものが多いが、そこには南米の神秘的な空気感、生や死が感じられる。1955年ニューヨーク近代美術館の『ファミリー・オブ・マン』展に出品。1970年代にはその評価が欧米で認められるようになり、現在では南米を代表する写真家として高い評価を受けている。2002年歿。
◆ときの忘れものでは、11月14日[金]―12月6日[土]まで「植田正治写真展ー砂丘劇場」を開催します。
初日の11月14日[金]19時より、東京都写真美術館専門調査員・金子隆一氏によるギャラリートークを開催します。参加費1,000円(1ドリンク付)
※要予約/氏名・電話番号を明記の上、メールまたは電話(03-3470-2631)でご予約ください。
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