ときの忘れものは、本日より新年の営業を開始いたします。どうぞ倍旧のご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。今年最初の企画展は、9日からの「エルンスト・ハース写真展」です。最近は、経済的に暗い話ばかり、政治は相変わらず迷走してブレ・ボケのままですが、今年は少しでも明るい年になってほしいという期待を込めて、ハースの色彩豊かな作品をご覧いただこうと思います。
◆エルンスト・ハース写真展
会期=2009年1月9日[金]―1月31日[土] 12:00-19:00 *日・月・祝日休廊
ハースは、ロバート・キャパらの創設メンバーによって写真家集団「Magnum Photos」に最初に迎えられた写真家の一人です。ハースは、初期のカラーフィルムが低感度であったことを逆に利用し、わざと焦点をはずしたり、ブレさせる手法を用いて強い視覚効果を創り出すことに成功しました。まるで抽象画のように踊る光や形は、カラー写真を芸術の域まで高め、他の写真家に大きな影響を与えました。今回の展示では、人間性を鋭く捉えた素晴らしい作品でありながら、あまり言及されることないモノクロのポートレイトから、カラーによって街や花をダイナミックに表現した作品、そして闘牛などの躍動する動きを流れるように捉えた作品など22点をご覧いただきます。色彩の踊るギャラリーで、新しい年への希望を感じていただければと思います。
■エルンスト・ハース Ernst HAAS(1921-1986)
オーストリア・ウイーン生まれ。大学は医学部に通うが、1947年に雑誌「Heute」誌のカメラマンとなる。第2次大戦のオーストリア捕虜帰還を撮影したフォト・エッセイで名声を上げ、2年間パリで暮らした後、50年にアメリカへ移住。ロバート・キャパの勧めで写真家集団「Magnum Photos」に参加。52年、初めてカラーフイルムを使用し、ライカでニューヨークの街頭風景を撮影。この時の写真は『ライフ』誌に24ページ2部構成で掲載される。ハースはカラー写真でその才能を発揮し、巧みな色彩、ブレ、動きなど多くの手法を用い「エルンスト・ハースの色彩の世界」を確立した。62年、ニューヨーク近代美術館で個展が開催される。64年ジョン・ヒューストンの映画「天地創造」にスタッフとして参加、その後も「ハロー・ドーリー」(1969)「小さな巨人」(1970)などの映画制作に参加した。71年ハースにとって最高傑作となる写真集「THE CREATION」を刊行。75年、アメリカ建国200年の年に写真集「IN AMERICA」を出版。86年Hasselblad(ハッセルブラッド)賞受賞。『ライフ』誌を中心としたフォト・ジャーナリストの他、マールボロ、クライスラー、フォルクスワーゲン等の広告写真家としても活躍した。
◆オリジナルプリントを挿入した「ときの忘れものアーカイヴスVol.1 五味彬Yellows」特装版を創刊しました。限定175部、挿入されたプリントは技法、サイズ、イメージなど全てが異なります。
価格7,350円(税込)です。
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