自らをマン・レイ・イストと名乗る石原輝雄さんが、マン・レイの展覧会資料を集成した本を出版なさいましたのでご紹介させていただきます。この本は、世界を想定して、本文は英語で書かれています。ご自分で造本もなさり、限定75部という、もう稀覯本間違いなしの力作です。以下、石原さんご自身による紹介文です。
************************************
銀紙書房から新しい本を刊行しましたのでお知らせいたします。
題して: マン・レイ展のエフェメラ(Ephemerons: Traces of Man Ray)
マン・レイの芸術家としての活動を初期から晩年、そして、現在に至るまでの展覧会資料によって跡づける画期的な書。収録は1913年から2008年にわたり、個展関係555、グループ展関連286の合計841点。利用目的から欧文による構成となっているが、筆者のエッセイ3編については日本語でも掲載した。世界中の研究者、コレクター、ファンが驚き、今後のマン・レイ研究の基礎資料となると思われる。一般の書店に配本される事はありませんので、直接、著者へ申し込んで頂きますよう宜しくお願いいたします。

[収録 展覧会資料]
カタログ、ポスター、案内状、葉書、リーフレット、チラシ、広報紙、価格表、ワーク・シート、新聞、チケット、プログラム、メニュー、写真、ビデオ、手紙、雑誌、書籍等々

[内容の紹介]

こうした触媒として作用する展覧会をめぐる印刷物は、役割を終えたら捨てられる類のもの。欧米では一般的に長期使用や保存を意図しない一枚だけの印刷物をエフェメラ「ephemera」と呼ぶ。ギリシャ語や近代ラテン語で1日しか存在しえないものを指す言葉「epi=on hemera=day」を起源に、転じて蜻蛉などの短命な虫や花、ないし短期のみ存在するものを意味するようになったと云う。

 エフェメラという言葉は、はかなさ故の魅力を持ち、人を郷愁に誘う。フランスの古書業界では、指先で頁を拡げる小型のカタログや案内状を「パピヨン」と呼ぶ。形と動きから連想された美しい言葉だ。対して日本の業者は一括りに「紙モノ」と名付けて扱う。選び出し、意味を与えるのは愛する者の仕事である。湿潤な気候風土によって、総てが朽ち果てるエフェメラであるような国の古い街に住みながら、展覧会の印刷物に魅了されて35年が経過した。
 展覧会を蘇らせる三種の神器は、カタログとポスターと案内状。この神聖によって作品と写真は時間と場所を思い出し、ソワソワとあの日の感情を再現する。わたしには、はっきりと人々の顔が見える。 p.192
-------------------

1 New York, The Daniel Gallery. Exhibition of Drawings and Paintings by Man Ray. Until November (10–) 23, (1915). Catalogue, 18.5 × 12.7 cm, printed recto only. A single sheet folded to form 4 pp. One illustration of Dance Interpretation “list-no. 17”. List of 30 works: Paintings and drawings. Man Ray first one-man show. Provenance: New York, Bernard Karpel. Tokyo, Masaaki Kasahara. Also show at: Tokyo, Zeit-Foto Salon, 1980; Osaka, Librairie Arcade, 1990; Nagoya, Nagoya City Art Museum, 1996; New Jersey, Montclair Art Museum, 2003; Athens, Georgia Museum of Art, 2003; and Chicago, Terra Museum of American Art, 2004. (See p.14, 31, 42, 132, 141, 195)

2 Paris, Librairie Six. Exposition dada Man Ray. December 3–31, 1921. Catalogue, 21.4 × 40.5 cm, unfolded, folded as to make 8 pp, texts and street-plan on recto, monochrome deep violet on verso. List of 35 works: Paintings, assemblages, sculptures, and airbrushs. Texts by Louis Aragon, Arp, Paul Eluard, Max Ernst, Man Ray, G. Ribemont Dessaignes, Philippe Soupault, and Tristan Tzara. Inserted a triangle of yellow paper, printed recto only, 20 × 19 cm. “UNE BONNE NOUVELLE, CHER AMI, VOUS ÉTES INVITÉ AU VERNISSAGE, DE L’EXPOSITION MAN RAY (CHARMANT GARçON) QUI AURA LIEU LE 3 DÉCEMBRE, 1921 DE 2 H. 1/2 à 7 H. 1/2, SOUS LA PRÉSIDENCE DU MOUVEMENT DADA”. Man Ray first one-man show in Europe. Also show at: Osaka, Librairie Arcade, 1990; and Nagoya, Nagoya City Art Museum, 1996. (See p.24, 42, 195)  p.34
--------------------

石原輝雄箸
限定75部 208頁 限定番号、サイン入り サイズ 21x15x1.6cm
著者自装(パピヨンかがりによる手製本)
本文; エコラシャ きぬ 70kg
表紙; ケンラン モスグレー 265kg
表紙カバー; キュリアスIRパール 103kg
印刷; エプソン PX-A650

****************************************
マン・レイ「Ephemerons」表紙DSCF8567

画廊にもございますので、下記のフォームからお申し込みいただけます。ただし、こちらの本は、送料500円いただきますのでご了承ください。
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから

◆ときの忘れものでは、1月9日[金]―1月31日[土]まで「エルンスト・ハース写真展」を開催しています。

◆オリジナルプリントを挿入した「ときの忘れものアーカイヴスVol.1 五味彬Yellows」特装版を創刊しました。限定175部、挿入されたプリントは技法、サイズ、イメージなど全てが異なります。価格7,350円(税込)です。