草場地へのバスツアーからCIGEの会場に戻ると、すぐに会場の前に止まっているバスに乗り込みました。このバスは、北京市内にあるSOKAギャラリーで今日から始まる展覧会のオープニングに向うバスなのです。アートフェアの会場から、そのまま画廊へ客を運んでしまうという日本では考えられない大技です。すでに満員の客を乗せたバスが1台行った後だったので私の乗ったバスは空いてましたが、2台のバスをチャーターするなんて、物価の安い北京ならではなのでしょう。
バスが目的地に着くと、門があって、そこを入っていった奥ににギャラリーがあります。多分一人で来たら絶対たどり着けません。ギャラリーにはすでに多くの人が来ていて、グラスを片手に作品を見ていました。この展示は、全員日本人アーティストのグループ展で、森村泰昌さんはじめほとんど知っている作家でしたが、何人かは初めて見る作家で、誰がキュレーションしたのか興味のあるところでした。圧巻は小谷元彦さんの作品で、馬にまたがった皮膚のない武士の実物大の立体作品で、ひとつの建物にその作品だけが置いてあり、そこでオープニングのセレモニーがありました。かなり高額な作品らしいですが、売約済みだそうです。
面白いもので、国内では一方的にしか知らない相手には声を掛けづらいものですが、海外だと同じ日本人ということで話かけやすくなります。それで、ここぞとばかりに何人かの方に自己紹介して話をさせていただきました。
用意されたおいしそうな料理にはあっという間に長蛇の列ができて、話をしている間にみるみるなくなってしまい、並んだ時には、料理ではなく、取り皿がなくなっていて、味わうことはできずじまいでした。
翌日、一人で画廊街として有名になった大山子798芸術区に行きました。その広さと画廊の多さにまず驚き、次に人の多いのに驚きました。しかし、実際歩き始めて分かったのは、ずいぶん閉まっている画廊の多いことです。今回の不況でかなりの画廊が店を閉めたとは聞いていましたが、なるほどそんな感じでした。とは言え、それでもまだたくさんの画廊があり、端から廻りましたが、途中食事も入れて2時間以上かかりました。もちろん全ての画廊を廻ったわけではありません。
この地区に最も早く店を出した東京画廊+BTAP
ここの画廊は、前日行った草場地の画廊のように広いところばかりだけでなく、小さな画廊もありますし、お土産屋のような店も多くあります。そして、訪れている人たちは、カップルや家族連れが多く、ほとんどテーマパークに来ているようなノリで、作品を楽しんでいます。だから、画廊の番をしている女性に作品や価格のこと聞いても知らないのは、来るのはそういった人たちばかりであるということの裏づけなのかもしれません。また、作品に触ったり、記念写真を撮るのはそのせいなのでしょう。

ギャラリーの看板は出ているものの閉めてしまっている。
まるで工場の中を歩いているようです。
展示作品については、興味を引くものがいくつもあって、画廊めぐりは実に楽しいものでした。ただ、ある有名画廊で展示していた版画は、すべて元の油彩画を写真に撮って印刷したもので、とても版画作品と呼べる代物ではありませんでしたが、それを「ENGRAVING WORK」と書いて、20~30万円くらいで売っていたのにはあきれると同時に、中国のアートに対する一般的な認識のレベルを見る思いがしました。

このあと草場地を再訪し、前日寄ることが出来なかったMizuma & One GalleryやNoda Contemporary Beijingなどのギャラリーに伺いました。Noda Contemporaryでは、前日から日本人作家の原游さんの個展が始まっていて、やはりCIGEに合わせてオープニングをしたようです。原さんともしばらくお話をさせていただきましたが、こちらで驚かされたのが、画廊の真ん中に飲み物やお菓子を用意したテーブルがあり、そこに真っ赤なチャイナドレスを着た、まさに美人が立っていてサービスしてくれるのです。コンパニオンの女性とのことでしたが、これも日本では見かけないことです。
このような日々でしたので、観光は、天安門広場や故宮を見てきたくらいです。それでも、天安門広場の人の多さに圧倒されたり、古い町並みに暮らす人たちなど、中国のほんの一部を垣間見ただけですが、良い経験になりました。
簡単ですが、北京を見てきたレポートは以上です。北京を訪れることがございましたら、多少はアドバイス差し上げられると思いますので声をかけて下さい。
なお、今回旅行するにあたって、たいへん参考になったのが「アジア現代美術の『マーケット』」(樋田豊郎編、アート・インタラクティヴ東京刊)という本です。昨年4回に亘って開催されたレクチャーを採録したもので、アート・オークション、建築家、美術作家、ギャラリストそれぞれの立場からみたアジア(特に中国と韓国)の現在の状況をひじょうに分かりやすく解説してくれています。税込500円です。(ときの忘れものでの扱いはございません。)
中国でもプロジェクトが進行中の建築家・磯崎新先生の作品をご紹介します。
磯崎 新「ヴィッラKu」
1978年 シルクスクリーン
47.0×47.0cm
Ed.75 サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
◆香川県丸亀に300年の歴史を誇る大名庭園「中津万象園」があります。15,000坪の庭園と付設する丸亀美術館で「磯崎新版画展 宮脇愛子展」が4月25日~6月21日まで開催されています。会期中無休です。

面白いもので、国内では一方的にしか知らない相手には声を掛けづらいものですが、海外だと同じ日本人ということで話かけやすくなります。それで、ここぞとばかりに何人かの方に自己紹介して話をさせていただきました。
ここの画廊は、前日行った草場地の画廊のように広いところばかりだけでなく、小さな画廊もありますし、お土産屋のような店も多くあります。そして、訪れている人たちは、カップルや家族連れが多く、ほとんどテーマパークに来ているようなノリで、作品を楽しんでいます。だから、画廊の番をしている女性に作品や価格のこと聞いても知らないのは、来るのはそういった人たちばかりであるということの裏づけなのかもしれません。また、作品に触ったり、記念写真を撮るのはそのせいなのでしょう。
ギャラリーの看板は出ているものの閉めてしまっている。
展示作品については、興味を引くものがいくつもあって、画廊めぐりは実に楽しいものでした。ただ、ある有名画廊で展示していた版画は、すべて元の油彩画を写真に撮って印刷したもので、とても版画作品と呼べる代物ではありませんでしたが、それを「ENGRAVING WORK」と書いて、20~30万円くらいで売っていたのにはあきれると同時に、中国のアートに対する一般的な認識のレベルを見る思いがしました。
このあと草場地を再訪し、前日寄ることが出来なかったMizuma & One GalleryやNoda Contemporary Beijingなどのギャラリーに伺いました。Noda Contemporaryでは、前日から日本人作家の原游さんの個展が始まっていて、やはりCIGEに合わせてオープニングをしたようです。原さんともしばらくお話をさせていただきましたが、こちらで驚かされたのが、画廊の真ん中に飲み物やお菓子を用意したテーブルがあり、そこに真っ赤なチャイナドレスを着た、まさに美人が立っていてサービスしてくれるのです。コンパニオンの女性とのことでしたが、これも日本では見かけないことです。
簡単ですが、北京を見てきたレポートは以上です。北京を訪れることがございましたら、多少はアドバイス差し上げられると思いますので声をかけて下さい。
なお、今回旅行するにあたって、たいへん参考になったのが「アジア現代美術の『マーケット』」(樋田豊郎編、アート・インタラクティヴ東京刊)という本です。昨年4回に亘って開催されたレクチャーを採録したもので、アート・オークション、建築家、美術作家、ギャラリストそれぞれの立場からみたアジア(特に中国と韓国)の現在の状況をひじょうに分かりやすく解説してくれています。税込500円です。(ときの忘れものでの扱いはございません。)中国でもプロジェクトが進行中の建築家・磯崎新先生の作品をご紹介します。
磯崎 新「ヴィッラKu」1978年 シルクスクリーン
47.0×47.0cm
Ed.75 サインあり
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◆香川県丸亀に300年の歴史を誇る大名庭園「中津万象園」があります。15,000坪の庭園と付設する丸亀美術館で「磯崎新版画展 宮脇愛子展」が4月25日~6月21日まで開催されています。会期中無休です。
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