8月15日(土)に五味彬先生と東京都写真美術館の金子隆一先生をお招きし、「コレクターのための印画紙講座」と題してギャラリートークを開催いたしました。暑い中、遠くは福岡や新潟、栃木などから熱心なコレクターの方がお集まりくださいました。
まず、五味先生から写真の印画紙のバライタ紙とRCペーパーの違い、特に樹脂をベースにしているRCペーパーの組成について、また、その処理速度の速さという便利さと同時に、組成上長期保存に耐えられない可能性が高いものであるということを実際のプリントを引き裂いた実物を交えてお話いただきました。そして、その保存性が劣ると言われるRCペーパーを美術館ではどう捉えているのかという問いかけに、金子先生の答えは、「美術館は、常に展示と保存と言うアンビヴァレントなものを抱えており、RCペーパーのことも承知している。しかし、植田正治先生が、RCペーパーの出始めのときに、これを使うと面白い諧調が出せると言ってある時期使っていたように、作家の表現手段としてRCペーパーを使っているものについては、認めざるを得ない。美術館は、オリジナルプリントを収集する場所であり、オリジナルプリントとは、作家の表現の最終的な形を表してしるものである。だから、それが保存に適していなくても、作家が自分の表現に必要なメディアだと言うことであれば、受け入れます。」というものでした。また、歴史的にRCペーパーの登場とそれをベースとするカラー写真を使った作品の登場は重なっていて、保存の問題を抱え続けてきたが、近年は、質も向上してきているということです。
他にもカラー写真の代表的な三つの種類、ダイトランスファー、ダイブリーチ、クロムジェニックの特性についてもお話しいただくなど、いろいろな方向に話が及び、実に充実したギャラリートークになりました。
その後の二次会でも、お二人から貴重なお話を伺うことができました。
五味さんの、写真家とプリンターの関係と言うことで、ピエール・ガスマンがマーティン・ムンカッチのネガを没後にプリントしたときの大胆なトリミングの話や、金子さんからの作家の没後にプリントを作る時は、「著作権者」「プリンター」「研究者」という三つの柱が重要であるというお話など、いつにも増して遅くまで話が盛り上がりました。
◆ときの忘れものは夏休み無しで、8月4日[火]―8月22日[土]「五味彬写真展」を開催しています。
今回はヘアヌード解禁前夜の1989~1991年に撮影された「Yellows」のプロトタイプと言える作品のヴィンテージプリントを中心に約30点を展示します。1991年イタリアの写真家トニ・メネグッツォと共作した写真集『nude of J』のために撮影されたカラーのポラロイド作品、同年『月刊PLAYBOY』6月号に掲載されたポスターカラーで修正が施されたカラープリント、仙葉由季の写真集『SEnBa』のために撮影されたポラロイドなどのヴィンテージのほか、『BRUTUS』に掲載された「ジャパニーズ・ビューティ」および『nude of J』より村上麗奈、小森愛のニュープリントなどをご覧いただきます。
五味さんの、写真家とプリンターの関係と言うことで、ピエール・ガスマンがマーティン・ムンカッチのネガを没後にプリントしたときの大胆なトリミングの話や、金子さんからの作家の没後にプリントを作る時は、「著作権者」「プリンター」「研究者」という三つの柱が重要であるというお話など、いつにも増して遅くまで話が盛り上がりました。
◆ときの忘れものは夏休み無しで、8月4日[火]―8月22日[土]「五味彬写真展」を開催しています。
今回はヘアヌード解禁前夜の1989~1991年に撮影された「Yellows」のプロトタイプと言える作品のヴィンテージプリントを中心に約30点を展示します。1991年イタリアの写真家トニ・メネグッツォと共作した写真集『nude of J』のために撮影されたカラーのポラロイド作品、同年『月刊PLAYBOY』6月号に掲載されたポスターカラーで修正が施されたカラープリント、仙葉由季の写真集『SEnBa』のために撮影されたポラロイドなどのヴィンテージのほか、『BRUTUS』に掲載された「ジャパニーズ・ビューティ」および『nude of J』より村上麗奈、小森愛のニュープリントなどをご覧いただきます。
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