無事「磯崎新ブックアーカイブスI ― TSUKUBA1983」が終了したのはいいのですが、臨時古本屋と化した画廊では撤収作業でてんやわんやでした。
今後への課題も多く、特に「ブックアーカイブ」というタイトルがお客様に混乱を招いたようで、「えっ、売っているの？」とか「磯崎さんの蔵書を並べたのかと思った」という反応も少なくなく、むしろ端的に「書籍セール」とした方が良かったかなと反省しています。

さて、11月は内外３ヶ所へのアートフェアに出展します。この一ヶ月は殺人的スケジュールになりそうです。
チューリッヒのアートフェアに向けて、先発隊の尾立麗子は本日成田から出発です。

閑話休題、贋物に関する話題です。
以前にも某オークションに出品された坂田一男の贋作について書きましたが、今回は今をときめく奈良美智さんです。
先日、小山登美夫ギャラリーさんからメールが入りました。
以下、その全文です。
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緊急ニュース：Yahooオークション出品作品について
現在、Yahooオークションに出されている作品２点は、出品者の記述の通り、奈良美智作品ではありません。
奈良さん本人に確認し、ここにご報告致します。
作品詳細については、以下をご覧ください。
http://page4.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/d97450032
http://page11.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/n81953962
小山登美夫ギャラリー
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ヤフーオークションには＜額付き女の子　絵　検索用水彩画？奈良美智？大型？大作？＞と、思わせぶりなタイトルで２点が出品されていました。
出品者のコメントがまたなんとも贋作にふさわしい古典的な言いまわしで笑ってしまいますが、これも全文引用しましょう。
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祖父の家が老朽化のため解体することになり、蔵より出てきました
祖父が骨董品や美術品を集めており、この機会に手放すことになりました
祖父が亡くなったため、真相や価値等が素人の為わかりません
鑑定はしてないので、真贋の程は分かりませんので
画像にて判断のつかれます方、お好きな方、慎重に判断頂いて注意事項等など納得の上
自己責任に於いてご入札お願いいたします。
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「素人の為」とか「真贋の程は分かりません」などと逃げておきながら、タイトルにはちゃっかり「奈良美智？」と記載する。
「自己責任」などという馬鹿げた屁理屈を流行らせた小泉元首相の罪は深いですね。
問題は、小山さんや作家自身が明らかに偽物（贋作）と断定し、恐らくクレームが入ったのでしょう、出品者自身の追記（2009年 10月 26日 9時 58分 追加、記載している通り鑑定等はしておりませんので奈良美智の作品ではありません作者不明ですので入札の際はご注意下さい）があったにもかかわらず入札が殺到し、213,000円、460,000円というとんでもない高値で落札されたことです。
もしかしらた、出品者も落札者も確信犯なのでしょうか。
出品者は「自己責任」という言葉で、公然と偽物を正当化し、大金を稼ぐ。
落札者は偽物と承知しながら高値で落札する。転売目的なのでしょうか。しかし、出るところに出たら真っ赤な偽物だと確定してしまいますから、売るとしたら闇から闇へと裏の流通ルートしかない。
善意に解釈して、いくらその絵が素晴らしいと落札者が思ったとしても、40万円は大金です。
いったいどういうことなのでしょうか。