
前川國男の建物たちガイドマップ先日ご案内したとおり、明日16日に綿貫不二夫が弘前で講演しますが、主催者の「前川國男の建物を大切にする会」が作った『前川國男の建物たちガイドマップ』をいただいたので、希望者におわけします。
ときの忘れものまでお申し込みください。
亭主が弘前を初めて訪れたのは今から30数年前、現代版画センターの行商時代です。
弘前城のお堀の水に沈まんばかりの満開の桜と、雪道を革靴で往生しながら歩いた記憶があります。
桜と雪の日は、あるいは別の日だったかも知れません。
版画200枚をつめこんだカルトンケースを3個(!)両手にぶら下げて、雪に滑りそうになりながら坂道をうろうろし、洒落た喫茶店で息をついたのを思い出します。
地元のK堂さんという美術品を扱う店があり、そこのご主人が暖かく迎えてくれ、その後もずっと取引が続き、つい先年亡くなられるまでご贔屓にしていただきました。
でも盛岡や秋田県の大曲、角館のように年に何度も訪れるような場所ではありませんでした。
弘前を近しく感じ出したのは、ときの忘れものを開廊してからで、宮崎から上京して国学院大学に入ったM君が友人たちと遊びに来るようになってからでした。
M君は私のお世話になった鈴木素直先生(日本野鳥の会会員、瑛九のエスペラントの教え子、瑛九の会メンバー)の甥で、鈴木先生に大学に入ったらときの忘れものを尋ねてみたらといわれたのでしょう。
数人の仲間と突然現れては雑談をしてゆきました。
その仲間のひとりに石場君という青年がいました。弘前の旅館の息子だということは聞いていたのですが、それからずっと後になって(つまり彼らが大学を卒業して就職してから)石場君が久しぶりに画廊に顔を出し、「東京の勤めを辞めて、母が一人で守ってきた石場旅館を継ぐ決心をした。」というではありませんか。
きけば弘前城の直ぐそばの「日本キリスト教団 弘前教会」に隣接した明治12年創業の老舗旅館。ものすごく古い建物で、客も少ない。これから先どうなるか・・・・
亭主はおっちょこちょいなものだから、つい「じゃあ、ツアーでも組んで石場君を応援するか」てなことになり、当時入社したばかりの尾立麗子に企画を丸投げして「建築都市・弘前を訪ねる 前川國男、洋風建築、温泉の弘前ツアー」を組んだのでした。
例によって植田実さんをナビゲーターに、20代の若者から80代の柳田冨美子さんまで大勢の参加者があり大成功のツアーでした。
このとき真面目に弘前の街のことを石場君にいろいろ教えていただき、日本有数の「建築博物館」であることを知ったのでした。
思えば、瑛九がそもそもの始まりでした。
瑛九の故郷宮崎に何の伝もなく訪れたとき、当時宮崎市の助役だった富松昇さんと前述の鈴木素直さんがいろいろな方を紹介してくれ、瑛九の作品を扱う上でどんなに心強かったことでしょう。
街の魅力は、そこに住む人々の魅力でもあります。
機会があったらぜひ弘前へ。もちろんお泊りは石場旅館へ。
◆前川國男の建物を大切にする会 セミナーⅠ 弘前を多面的に探る
講演『ときのわすれもの -都市を巡る・画商が見た、弘前・建築・アート・人-』
講師:綿貫不二夫
日時:2010年5月16日(日)午後2時~4時
*13:45より、welcome musicあり
会場:青森県立弘前中央高等学校講堂(前川國男設計)
(弘前市蔵主町7-1)
*最寄駅JR弘前駅下車。弘南バス浜の町線に乗車、中央高校前下車。(約15分)
主催:前川國男の建物を大切にする会
連絡先:代表 葛西ひろみ 0172-33-3260
e-mail: spacemeans@kkf.biglobe.ne.jp
亭主を弘前に導いてくれた瑛九のとっておきのコレクションをご紹介しましょう。

瑛九「作品名不詳」
フォトデッサン+吹きつけ
23.0x38.3cm
裏に「瑛九作 都」と記載あり

瑛九「作品-B(アート作品・青)」
1935年 油彩(ボード)
29.0×24.0cm(F3)
*山田光春『私家版・瑛九油絵作品写真集』(1977年刊)No.19
現存する瑛九の油彩作品の中では最も初期に属する。
旧久保コレクション

瑛九「絵皿と筆」
色紙に水彩 23×27cm
自筆サインあり
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