『緑蔭小舎と作家たち』へ寄せられた感想2
緑蔭小舎表紙(C)デザイン 北澤敏彦+DIX-HOUSE


ときの忘れものから刊行した柳田冨美子著『緑蔭小舎と作家たち』をお読みになった方からの感想1を先日ご紹介しましたが、その続きの感想2を掲載させていただきます。
本書は著者の柳田さんから各出品作家、ご遺族、美術館、図書館、美術史研究者、その他関係者の方々に献呈されました。


●Sさん(東京、男性、編集者)
本邦有数の碩学の神韻縹渺たる書斎に「緑蔭小舎」の命名とは! その魅力あふれる空間を知らずに過ごしたことは余りに残念! 才色兼備の令夫人が余裕綽々と人生を謳歌された様を知るに充分な一著でした。まさに羨望の一語に尽きるのでありました。

●Kさん(千葉、女性、大学教師)
出版なさった本は、本当に内容・構成ともすばらしく、引越しの準備で忙しい合間をぬって一気に読ませていただきました。
柳田さんの人生に同じ女性として感じ入るところがありました。
元気を与えていただいたと、どうぞお伝え下さい。
私が所属する日本文化学科には民俗学専門の先生もいらっしゃいますので、私が読ませていただいた後は、その先生に本をお貸ししております。

●Oさん(東京、男性、国立美術館研究員)
綿密な資料調査は、『資生堂ギャラリー七十五年史』を思い起こさせられましたが、今回はむしろ学術的なことより、こうしたさまざまな関連資料から関係した人々の体温が感じられ、しみじみとさせられました。

●Oさん(広島、男性、大学教師)
たいへん品のいい本で、編集の御苦労に深く敬意を表します。
『資生堂ギャラリー七十五年史』とはまた違うけれど、雅品ゆかしいお仕事と存じます。柳田冨美子氏ほか皆様もお喜びのことと存じます。
西常雄先生が加藤周一像を作っていたのなど”発見”もあり、楽しく読ませ、また見させていただきました。

●Nさん(愛知、男性、画商)
綿貫ご夫妻ならではの、きめこまやかさあっての力業であると存じます。
来年いよいよ私ども70周年の社史を制作するにも、たいへん勉強になりました。

●Kさん(神奈川、女性、医師、コレクター)
とても興味深く、面白いです。さすがに、良い作家達の展覧会を用いたと感心しきりです。知性の集結という感じがします。

●Mさん(福井、男性、大学教師、大学ギャラリー運営)
瑞々しい装丁が心をさわやかにしてくれるようです。
舟越先生には、専攻は違っていましたが、芸大時代、研究室に度々出入りをしていました。彫刻の友達もそのようなことから多く、私達が集まって、舟越先生の退官の時に、私達からのお礼をこめて、楽しいパーティーを研究室でしたでしょうか、それともアトリエだったかもしれませんが、とてもよく覚えています。
この展覧会の時期は、ちょうど私も大学を出た頃で、忙しいなか出かけることが出来なかったように思います。
しかし、この様にして、ギャラリーが動いていくのだと、ちょっと不思議な感じを持ちました。又、改めて教えられる気持ちともなりました。このように素直に作品に相対することが、むしろ作家としては避けていなければならないようにも感じるところがあり、自分を硬直させているのではないかと、常日頃気をつけていることではありますが、この本を読ませていただいて、気づくことでもありました。
三年が五年、五年が十年ということは、私の思うところでもあります。私だけの努力でどこまでいけるのかという不安は、勿論ありますが、しかし、私だけでもと信じて進んでいくしかないとも考えています。
大きな励ましをいただいた様に思っています。是非一度は訪れてみたかったというのが、心残りとなっています。
私達のギャラリーも、このようにさわやかで、しかし厚みのある場所として育っていかなければと思います。

●Nさん(神奈川、男性、銀座研究家)
緑蔭小舎につきましては、知りませんでした。柳田国男のご長男の奥様が六十歳を過ぎてから始められた画廊(商)の足跡につき、綿貫様が編集されました『資生堂ギャラリー七十五年史』と同じ手法で、記録性を重んじられ、手堅く、重厚な画廊史になっていると思いました。

●Sさん(神奈川、女性、作家のご遺族)
ご本がとても緑蔭小舎です。柳田様のお言葉がとてもステキだと思ってます。感謝します。
柳田様のお元気なご様子も嬉しいです。

●Kさん(神奈川、男性、大学教師)
久しぶりに懐かしい名前を聞き、昔のことをいろいろ思い出しました。一九七九年頃、おたずねして山口長男作品を見せてもらったことがあります。あそこが柳田国男氏の住居だったとは知りませんでした。良い記録集を作りましたね。
芸術家と共にひとつの時代を作ってきたという歴史の証言でもあります。

●Hさん(神奈川、男性、美術評論家)
緑蔭小舎が実際にあったころ何度かおたずねしたことがあり、そこでとりあげられたのがわたしのかねて私淑し評価する作家たちだったので、企画者の柳田冨美子さんとはあまり言葉をかわさなくとも感心していました。今度その記録がこれも前から知り合いの「ときの忘れもの」社によって一冊の本にまとめられ、なつかしさ以上に貴重な一時代のドキュメントとなったことにおどろいています。
初期に窪島誠一郎君の「信濃デッサン館」の開館前のコレクションをならべたこともはじめて知りましたし、柳田国男ゆかりの建物をすでに還暦近い主婦が生かす最良の道だったと思います。

●Tさん(東京、男性、画商)
難波田先生の展覧会に何度か伺った事がなつかしく思います。
私の画廊も昨今の厳しい経済状況の中ソフトランディングをし、この様な活動記録集を残したいと思っていますが・・・・・・。キビシイ。

●Kさん(東京、女性、大学教師)
美しい装丁で、中を開くとなつかしい成城のたたずまいがよみがえりました。といっても、当時、ただの美術好きの学生には緑蔭小舎は、やや敷居が高すぎるところで何度も前を通りましたが入る勇気がなくて、やっと一度のぞいたような記憶しかありません。ところが近年、ずっと松岡映丘が気になって仕方なく、少しずつ調べている中で、はっと思い出し、勇気を出してうかがえばよかったと後悔しています。
今回この本を拝見した中で、中学校の美術の先生だった寒川典美先生の名前を発見して驚きました。あとは、世田谷の有名な作家の方々などたくさんの名前がずらりと並んでいて、入りにくかったのも当然だったと妙に納得しました。柳田冨美子様のご健康をお祈りいたします。

●Tさん(東京、男性、茶道家元)
大学入学が昭和五二年ですので、自分のこれまでの歴史と重ねて企画展の動きを拝見しながらいろいろと思い出すことが出来ました。

●Sさん(東京、男性、コレクター)
「緑蔭小舎」は成城駅にほど近い、緑に囲まれた画廊でした。何回かお伺いすると、難波田ご夫妻にもお会いする機会がありました。
展覧会資料を拝見して、当時を懐かしくおもいだしております。最近縁があって青木一美の作品を求めたのも全く偶然です。
ご寄贈の資料は読了後、提携先である東京文化財研究所に納本します。

●Tさん(山形、男性、美術館学芸員)
作家たちとの豊かな出合と交流を持たれた柳田様のお人柄が羨ましく存じました。

●Kさん(東京、女性、作家のご遺族)
しゃれた読み易い御本で懐かしい方々のお写真など楽しく拝見しております。柳田様の御文章も興味深く拝読しました。

●Sさん(東京、男性、彫刻家)
貴重な御著書をお贈りいただきありがとうございました。ゆっくり拝読させていただきます。小生ももうすぐ98になりますが、元気にいたしおります。いつもお心配りをいただき心より感謝申し上げております。

●Tさん(東京、男性、元国立美術館館長)
貴重な記録です。大昔の思い出ですとそこは丹下健三氏の住宅のすぐそばではなかったかと思ったりしています。
ますますお元気で結構。出版界の不振を打破してください。

●Tさん(東京、男性、俳優、作家のご遺族)
父が"緑蔭小舎"で展覧会を開いていたことも知りませんでした。
面白そうな展覧会だったのですね。

緑蔭小舎外観
かつての緑蔭小舎外観
(現在は長野県の飯田市美術博物館に移築され、柳田國男館として活用されています。
緑蔭小舎では、舟越保武山口長男、松田松雄、森芳雄、須田寿、相原求一朗、坂倉新平、大沢昌助、馬場彬、佐野ぬい、難波田龍起長谷川潔畦地梅太郎、西常雄、寒川典美、松岡映丘、青木一美、佐藤忠良、吉井忠、寺田政明、大野五郎、末松正樹、清水三渓、カルペンチール、稲垣知雄、小林喜巳子、秋野勝彦、中谷泰、前島とも、永見譲治、滝沢修、宮下森、渡辺皓司、渡辺享子、羽子田長門、松葉良、磯崎新脇田和、葉逢儀、衣川俊仁、南大路一、柳原義達、小西治男、深水正策、馬場檮男、ヤコブ・デムス、真道茂、安東千恵子、黄書東らの個展やグループ展が開催されました。

緑陰小舎と作家たち(2010年5月1日)

『緑蔭小舎と作家たち』へ寄せられた感想1(2010年5月6日)

『緑蔭小舎と作家たち』へ寄せられた感想2(2010年5月24日)