昨年2009年7月に神戸に開館したBBプラザ美術館で、6月27日(日)まで、「パリと日本を駆け抜けた画家 菅井汲の眼差しー版による色彩と記号のシンフォニー」展が開かれています。

 菅井汲(すがい くみ 本名 貞三 1919-1996)は神戸に生まれ、大阪美術学校で学んだ後、阪急電鉄広告宣伝課で1945年まで商業デザインを担当。1952年に渡仏し、以来パリで制作を行います。
 菅井の最初の版画作品は、1955年にパリのクラヴェン画廊の勧めで制作したりトグラフ《赤い鬼》に始まり、その後はリュブリアナ国際版画ビエンナーレ、ノルウェーー国際版画ビエンナーレなどに度々出品しています。1960年の第2回東京国際版画ビエンナーレでは、国内の最高賞、国立近代美術館賞を受賞。1962年にはイタリアのヴェネツィア・ビエンナーレでも入賞するなど、版画においても独自の世界を構築し、注目を浴びます。
 また、この頃乗り始めたスポーツカー・ポルシェは菅井の画業に大きな影響を与えます。作品には運転中の視野に飛び込んでくる道路標識が使われ始め、記号化と明快さとが特徴となります。信号や道路標識に続いてトランプ、花札、S字など、記号的な図像が版画作品にも多く使用され、赤、青、緑、黄といった鮮やかな色彩が駆使されています。作品自体が菅井汲を代弁する記号となり、生きた時代や社会を象徴する記号とも言えます。
 本展では、菅井の代名詞ともいえる版画作品に焦点をあて、初公開作品となる滞仏時に描かれたペン画、1950年代に制作した陶土による静物レリーフ等を併せて展示します。無署名のマルチプルという菅井の版画に対する眼差し、色彩と記号のシンフォニーでパリと日本を駆けぬけたシステマティックな版画の仕事を、ゆかりの地神戸で紹介いたします。(同館HPより)
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同展のホームページを見たら、出品作品の画像はすべて私どもがかつてエディションした作品でした。深い感慨を覚えるとともに、ぜひ若い人たちにスガイ版画の素晴らしさを知っていただきたいと思います。
sugai_02_miti菅井汲
「道 ROUTE」
1976年 シルクスクリーン(刷り:石田了一)
作品サイズ:15.0×10.0cm
額装サイズ:32.0×26.0cm(八切)
Ed.200  サインあり
額付き

sugai_GROUP3菅井汲
「GROUP 3」
1980年 シルクスクリーン(刷り:石田了一)
54.0×38.0cm  Ed.150
サインあり  額付き

sugai060809菅井汲
「スクランブル F」
1976年 凸版+シルクスクリーン(刷り:石田了一)
36.0×25.0cm  Ed.150
サインあり  額付き

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