去る7月24日[土]17時より、「Tricolore2010―君島彩子・若宮綾子・渡辺貴子」展のキュレーションをお願いした和光大学教授の三上豊さんと三名の作家の皆さんをお招きしてギャラリートークを開催いたしました。


まず、三上さんから、「作家を選ぶにあたっては、シリーズとして作品を作っていて、かつ、ときの忘れもの的でない作家を選んだ。ときの忘れもののいわゆるホワイトキューブではない、住空間に近い変則的な展示スペースに、『墨の黒』、『白いオブジェ』、『小さくて色があるけれどけばけばしくない立体』を配置することを考えた。それらが三すくみとなって、それぞれを消し合うのを狙ってみた。」という解説がありました。
その後、三上さんがそれぞれの作家に質問するという形で、トークが進みました。

今回の展示について。
若宮「住空間を意識して、音の震えを形で表現してみた。本棚の中に自分の作品を並べてみようと思ったとき、フレームを使って、棚の枠とフレームの枠の重なりが面白いと思った。」
渡辺「今までインスタレーション的な展示を考えてやってきたが、材質を変えたので、台の上に載せるような作品も良いかと思った。」
君島「はじめは油彩で友人の顔ばかり描いていたが、現在はモデルは使っていない。最初の墨が乾く前に描き終らなければならないので、1点1点は短時間で描きあげていますが、一日紙を目の前にして何も描けないときもある。今回は、特定の人を思い浮かべないような作品を選びました。」


トーク終了後のパーティもひじょうに和気藹々とした雰囲気で会話が弾みました。
ご参加いただいた皆様ありがとうございました。
君島彩子 出品No.1
「POURED-1」
2010年 紙、墨
35.0x25.0cm
価格42,000円(額付、税込)
若宮綾子 出品No.16
「rib」
2009年 スタイロフォーム、トリコット(布)
H14.0xW50.0xD15.0cm
価格29,400円(税込)
渡辺貴子 出品No.43
「untitled」
2009年 ひもづくり
H34.0×W24.5×D12.0cm
価格33,600円(税込)
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
*画廊亭主敬白
先日のギャラリートーク、上掲の写真をご覧になるとおわかりのように、ときの忘れものには珍しく(いつもは定員オーバーでお断りする場合も少なくない)参加者がそう多くはありませんでした。
それに亭主の姿もない!
トークを欠席するなんて、参加された方にはもちろん、三上豊さんや三人の作家の方にもたいへん申し訳なく、お詫びする次第です。
実は、急な仕事がはいり、奈良に行っておりました。いくつか面白い展開になりそうな話でしたが、それはのちほどご報告するとして、今回の企画は、外部の三上豊さんに全てをお任せした結果、ときの忘れもののラインナップに華やかで新鮮な、しかもときの忘れもの的でない作家たちが三人も加わりました。三人とも画廊らしくない雑然たる空間をうまく使って見事な展示をしてくださいました。
私たちは三上豊さんの眼を100%信用していましたので、期待した以上の素晴らしい展示になったことを嬉しく思っています。
画廊が新しい作家を選ぶ場合、いろいろなきっかけがあります。
近年はやりの「現代アート」分野で「若い作家」をみつけるため、画商さんたちが美大の卒業制作展に大挙しておしかけ、青田買いをするなんて、一昔前なら考えられませんでした。
大学を出たか出ないかくらいの若い作家を囲いこみ、どんどん描かせて売り込む。
先年、ときの忘れもののグループ展で取り上げた作家(まだ大学生)など、あっという間に他の画廊さんが契約したとかで、絵がもらえなくなってしまった・・・・
アートフェアの中には出品作家の「年齢制限」をするところまである。
若くないと駄目という風潮はいかがなもんでしょうか。
若いときの天才かと見紛うほどのきらめきは、誰にでもあります。
亭主だって18歳のときは「オレは天才だ」と思っていました(いまはもちろんタダの人です)。
優れた芸術表現には、若さがもつきらめきに加えて、長い間の修練と、人生を重ねることにより獲得できる諸々の何かが必要です。
それを持つ作家に巡り会い、その作家と一緒に仕事ができれば画商としてこんな幸せはない。
亭主と社長は波乱万丈な画商人生を送ってきたため、そういう巡り会いには事欠かなかった。
ときの忘れものは物故作家ばかり扱っているように見えるでしょうが、私たちにとってその多くはある時代をともにした同時代作家なのです。
しかし30数年もやっていると鬼籍に入る作家も増え、私たち自身が老い、だんだんと怠惰になり、挑戦する気概も失せてくる。
特に新しい才能の出現に鈍感になってしまう。
そういう意味で、今回の三上豊さんの企画は、私たちに新たな血を注いでくれ、不得手な分野に確かな足がかりをつくってくれたようです。
あらためて夏の暑い日ざしの中、「Tricolore2010―君島彩子・若宮綾子・渡辺貴子」展にお運びいただき、作品をお買い上げいただいた皆さんには心より御礼を申し上げます。
ありがとうございました。
いつも言うことですが、展覧会は終了しましたが、作品は画廊でご覧になれます。
三人の作家の今後の活躍をサポートし、大切に扱っていきたいと思いますので、どうぞ応援してください。


まず、三上さんから、「作家を選ぶにあたっては、シリーズとして作品を作っていて、かつ、ときの忘れもの的でない作家を選んだ。ときの忘れもののいわゆるホワイトキューブではない、住空間に近い変則的な展示スペースに、『墨の黒』、『白いオブジェ』、『小さくて色があるけれどけばけばしくない立体』を配置することを考えた。それらが三すくみとなって、それぞれを消し合うのを狙ってみた。」という解説がありました。
その後、三上さんがそれぞれの作家に質問するという形で、トークが進みました。

今回の展示について。
若宮「住空間を意識して、音の震えを形で表現してみた。本棚の中に自分の作品を並べてみようと思ったとき、フレームを使って、棚の枠とフレームの枠の重なりが面白いと思った。」
渡辺「今までインスタレーション的な展示を考えてやってきたが、材質を変えたので、台の上に載せるような作品も良いかと思った。」
君島「はじめは油彩で友人の顔ばかり描いていたが、現在はモデルは使っていない。最初の墨が乾く前に描き終らなければならないので、1点1点は短時間で描きあげていますが、一日紙を目の前にして何も描けないときもある。今回は、特定の人を思い浮かべないような作品を選びました。」


トーク終了後のパーティもひじょうに和気藹々とした雰囲気で会話が弾みました。
ご参加いただいた皆様ありがとうございました。
君島彩子 出品No.1「POURED-1」
2010年 紙、墨
35.0x25.0cm
価格42,000円(額付、税込)
若宮綾子 出品No.16「rib」
2009年 スタイロフォーム、トリコット(布)
H14.0xW50.0xD15.0cm
価格29,400円(税込)
渡辺貴子 出品No.43「untitled」
2009年 ひもづくり
H34.0×W24.5×D12.0cm
価格33,600円(税込)
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
*画廊亭主敬白
先日のギャラリートーク、上掲の写真をご覧になるとおわかりのように、ときの忘れものには珍しく(いつもは定員オーバーでお断りする場合も少なくない)参加者がそう多くはありませんでした。
それに亭主の姿もない!
トークを欠席するなんて、参加された方にはもちろん、三上豊さんや三人の作家の方にもたいへん申し訳なく、お詫びする次第です。
実は、急な仕事がはいり、奈良に行っておりました。いくつか面白い展開になりそうな話でしたが、それはのちほどご報告するとして、今回の企画は、外部の三上豊さんに全てをお任せした結果、ときの忘れもののラインナップに華やかで新鮮な、しかもときの忘れもの的でない作家たちが三人も加わりました。三人とも画廊らしくない雑然たる空間をうまく使って見事な展示をしてくださいました。
私たちは三上豊さんの眼を100%信用していましたので、期待した以上の素晴らしい展示になったことを嬉しく思っています。
画廊が新しい作家を選ぶ場合、いろいろなきっかけがあります。
近年はやりの「現代アート」分野で「若い作家」をみつけるため、画商さんたちが美大の卒業制作展に大挙しておしかけ、青田買いをするなんて、一昔前なら考えられませんでした。
大学を出たか出ないかくらいの若い作家を囲いこみ、どんどん描かせて売り込む。
先年、ときの忘れもののグループ展で取り上げた作家(まだ大学生)など、あっという間に他の画廊さんが契約したとかで、絵がもらえなくなってしまった・・・・
アートフェアの中には出品作家の「年齢制限」をするところまである。
若くないと駄目という風潮はいかがなもんでしょうか。
若いときの天才かと見紛うほどのきらめきは、誰にでもあります。
亭主だって18歳のときは「オレは天才だ」と思っていました(いまはもちろんタダの人です)。
優れた芸術表現には、若さがもつきらめきに加えて、長い間の修練と、人生を重ねることにより獲得できる諸々の何かが必要です。
それを持つ作家に巡り会い、その作家と一緒に仕事ができれば画商としてこんな幸せはない。
亭主と社長は波乱万丈な画商人生を送ってきたため、そういう巡り会いには事欠かなかった。
ときの忘れものは物故作家ばかり扱っているように見えるでしょうが、私たちにとってその多くはある時代をともにした同時代作家なのです。
しかし30数年もやっていると鬼籍に入る作家も増え、私たち自身が老い、だんだんと怠惰になり、挑戦する気概も失せてくる。
特に新しい才能の出現に鈍感になってしまう。
そういう意味で、今回の三上豊さんの企画は、私たちに新たな血を注いでくれ、不得手な分野に確かな足がかりをつくってくれたようです。
あらためて夏の暑い日ざしの中、「Tricolore2010―君島彩子・若宮綾子・渡辺貴子」展にお運びいただき、作品をお買い上げいただいた皆さんには心より御礼を申し上げます。
ありがとうございました。
いつも言うことですが、展覧会は終了しましたが、作品は画廊でご覧になれます。
三人の作家の今後の活躍をサポートし、大切に扱っていきたいと思いますので、どうぞ応援してください。
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