本日から12月25日(土)まで「エドワード・スタイケン写真展」を開催します。2010年をしめくくるのに相応しい写真の古典ともいうべき展観です。会期中無休ですので、どうぞお出かけください。
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さてこのブログでは、亭主やスタッフたちが感銘した展覧会を可能な限り紹介してきましたが、なかなか日々のあれこれに追いまくられているうちに会期の過ぎてしまったものも少なくありません。
亭主が、今年一番の感銘を受けたのは、広尾の小美術館「1223 現代絵画」で開催中の小笠原美環展です。
久しぶりに人間が手で描くことの力を信じさせてくれる素晴らしい展示です。思わずスタッフの女性に「ハンマースホイって知ってる」と聞いたら、にっこり笑って「小笠原さんも好きで影響を受けたとおっしゃっていました」との返事。さもあらん。
これは来年2月6日まで開催していますので、どうぞ皆さんお出かけください。有料で(500円)、月曜・火曜が休館ですのでご注意。

橋本平八と北園克衛展 表橋本平八と北園克衛展 裏
世田谷美術館の「橋本平八と北園克衛展 異色の芸術家兄弟」はうかうかしているうちに12月12日(日)で終了してしまい、ご紹介できませんでした。スイマセン


今年、洗足池の病院の建物の中に誕生したギャラリー古今のことは以前ご紹介しましたが、2010年11月13日(土)ー12月18日(土)まで「倉重光則展」が開催されています。コレクターによるこのようなギャラリー活動はぜひ持続して欲しいですね。

川上澄生展 表川上澄生展 裏
栃木県立美術館では川上澄生展が10月30日ー12月23日まで開催されています。
亭主にとって創作版画はふるさとみたいなものですから、新幹線に飛び乗って行かねばならぬ展覧会なのですが・・・・
まだ間に会うか。行こう!


都内では、ナショナルミュージアムが快挙ともいうべき写真展を開催しています。
写真の大家あまたいる中で、没後10年、ご健在だったとしてもまだ60代の写真家の展覧会を開くなんて近美もたいしたもんだ(拍手)。
鈴木清写真展/百の階梯、千の来歴
会場:東京国立近代美術館本館 ギャラリー4(2F)
会期:2010年10月29日(金)~12月19日(日)
時間:10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
※入館は閉館30分前まで
入館料:一般 420円 大学生130円
休館日:月曜日
鈴木清写真展_表鈴木清写真展_裏

「写真集というメディアが、今日、改めて注目されています。綴じられたページをめくることで現われるイメージどうしが、連鎖し、響きあい、そこにひとつの小世界が立ちあがる。そんな写真集独特の可能性を、ひときわユニークな手法で探究しつづけた写真家鈴木清(1943-2000)。その仕事は近年、世界的に注目されています。
鈴木清の作品を顧みるうえで「書物」は重要なキーワードです。読書家であり、愛読書から得たインスピレーションをしばしば自らの写真の指針としたということだけでなく、彼自身の写真集が、いずれも「書物」と呼ぶにふさわしいものだったからです。
炭鉱という自らの出自に関わる場や、同時代の社会、旅の時間や文学作品などをモティーフに、眼の前の現実と夢や記憶が自在に交錯する、重層的な作品世界が展開された鈴木の写真集は、まさに繰り返し読み込まれるべき「書物」としての奥行きを獲得していました。
今回の展覧会では、『流れの歌』(1972)や『天幕の街』(1982)、『夢の走り』(1988)など、8冊の写真集それぞれからの作品を紹介するとともに、写真集のダミーや個展会場の手描き図面など、鈴木独特の手作業を通じた創作のプロセスにも注目しつつ、その作品世界の全体像を探ります。」(展覧会テキストより)
鈴木清略歴
1943年 福島県いわき市生まれ
1965年 漫画家を志し上京。
1969年 東京綜合写真専門学校卒業。同年から翌年にかけ、『カメラ毎日』に「シリーズ・炭鉱の町」を発表、写真家として出発。以降、看板描きを生業とし、写真家活動を展開。
1972年 写真集『流れの歌』刊行。
1976年 写真集『ブラーマンの光』刊行。
1982年 写真集『天幕の街』刊行、翌年同書および同題の個展により第33回日本写真協会賞新人賞受賞。
1985年 東京綜合写真専門学校の講師に就任。
1988年 写真集『夢の走り』刊行、翌年第1回写真の会賞受賞。
1991年 写真集『愚者の船』刊行(IPC刊、唯一自費出版ではない写真集)
1992年 個展「母の溟」により第17回伊奈信男賞受賞。
1994年 写真集『修羅の圏』刊行、翌年同書および同題の個展により第14回土門拳賞受賞。
1998年 写真集『デュラスの領土』刊行。
2000年 3月死去、10月に遺された展覧会プランにより個展「千の来歴」開催。
2008年 オランダ、フローニンゲンのノールトリヒトギャラリーで個展「Soul and Soul」が開催される。

写真家は、写真集が自身の最終成果物と考える作家が多いと言えますが、その中でも鈴木清は自費で写真集を出版し続け、その完成度を追求した写真家でした。この展覧会では、もちろんプリントを見ることもできますが、手作りの写真集のプロトタイプや、写真展での展示プランの詳細なスケッチなど、鈴木清が自分の写真をどのように見せるかにこだわったかを知ることができる資料が展示されていてひじょうに興味を引きます。彼の人生が凝縮されている実際の写真集も見ることができます。

麻生三郎展 裏麻生三郎展 表
同じく同館では「麻生三郎展」開催されていますので、19日までと会期の残りわずかですが、ぜひお出かけください。

◆ときの忘れものは、本日2010年12月15日(水)~12月25日(土)まで「エドワード・スタイケン写真展」を開催しています(会期中無休)。
スタイケン案内状600
エドワード・スタイケンは、20世紀のアメリカの写真にもっとも大きな影響を与えた写真家であるだけでなく、キュレーターとして数々の写真展を企画し、写真界の発展に多大な貢献をしました。
1986年と1987年に写真家のジョージ・タイスによってオリジナルネガからプリントされた、1920年代か30年代の作品を中心に、ヌード、ファッション、風景、ポートレートなど17点を選び展示いたします。
ぜひこの機会に古典ともいうべきスタイケンの写真作品をコレクションに加えてください。
出品リスト及び価格はホームページに掲載しています。

◆第4回「写真を買おう!! ときの忘れものフォトビューイング」のご案内
日時:12月17日(金)19:00~20:00
ホスト:原茂(写真コレクター)
ゲスト:風間健介(写真家)
※要予約(参加費1,000円/まだ残席があります。参加ご希望の方は、電話またはメールにてお申し込み下さい。
Tel.03-3470-2631/Mail.info@tokinowasuremono.com
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風間健介<風を映した街>より「三笠奔別炭鉱跡」
第4回目のゲストは、写真家・風間健介さんをお迎えして開催いたします。
炭鉱の町、夕張に暮らしながら撮り続けた作品をご紹介します。
特別に通常より割引価格でプリントをお求めいただけますので、ぜひご参加ください。

風間健介 Kensuke KAZAMA
1960年三重県生まれ。20代のときにカメラとともに日本を放浪した後、北海道に移住。2005年に出版した写真集『夕張』(寿郎社)によって、2006年日本写真協会新人賞、写真の会賞を受賞。

◆ときの忘れものは通常は日曜・月曜・祝日は休廊ですが、企画展の開催中は会期中無休です。