細江英公写真展 ギャラリー・トークのご報告と御礼

去る3月26日(土)17時より細江英公先生と文筆家の大竹昭子さんをお迎えしてギャラリートークを開催しました。
いろいろなイベントが自粛する中、予定通り開催し、20名を超える方がご参加くださいました。
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トークは、大竹さんの質問に細江先生が答えるというかたちで進行しました。まず、今回の作品が撮影されたイタリア、ルッカでの展覧会で展示された写真絵巻の生まれたいきさつ、それに使われているデジタルプリントについてお尋ねすると、和紙にデジタルプリントした風合いが、60年代のご自分の写真集に使用されたマットグラビアのマチエールにひじょうに近いものがあり、それがたいへん気に入っていらっしゃるとのこと。いきさつについては、当日会場にいらした写真絵巻に詩を提供なさっている詩人の朝倉勇さんが、写真による絵巻を作りたいと考えていたとき、細江先生の作品の持つ強い物語性が絵巻には最適だと気付き、細江先生に提案したと客席からお話しくださいました。そこから細江英公写真絵巻制作チームを作り、これらの写真絵巻が生み出されたということでした。
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また、特に初期の作品に見られるハイコントラストについては、ディテールを尊重しながらも、強い表現をしたかったとのこと。ただ、それがデザイン的にならないように、同じ丸でも平面的な円ではなく、立体的な丸味が出るように気を配りながら、白と黒のコントラストで叫びのようなものを描きたかったとおっしゃっていました。
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予定の一時間は、あっという間に過ぎてしまい、続けて行われた懇親会でも、細江先生は次々される質問にお答えになっていました。
GT20110326_7場所を移しての二次会では、昨年、文化功労者に選ばれて、宮中で開催された昼食会に参加されたときの貴重なお話しなども伺うことができました。
ご多用のところご参加くださいました皆様には、厚く御礼申し上げます。
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細江英公「Villa Bottini #6

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◆ときの忘れものは、2011年3月18日[金]―4月2日[土] 「細江英公写真展―写真絵巻とフレスコ画の時を越えた出会い~イタリア・ルッカ」を開催しています(会期中無休)。
細江英公展案内状600

昨年の文化功労者に選ばれた写真家・細江英公の新作による〈ヴィッラ・ボッティーニ〉12点連作は、イタリアのルッカにある16世紀の貴族の館を舞台に、ルネサンス期のフレスコ画と21世紀の細江作品との息詰まるような「対決と融合」の瞬間を捉えた作品です。
2009年11月の細江英公展の会場となったヴィッラ・ボッティーニは天井や壁面にフレスコ画が描かれた邸宅で、その絢爛たる空間に、総延長120mにわたり、細江先生と日本の職人チームが日本的伝統美の粋をこらした赤・青・緑の壁面をしつらえ、〈おとこと女〉〈薔薇刑〉〈鎌鼬〉〈ガウディの世界〉〈春本・浮世絵うつし〉他の代表作の絵巻、軸、屏風を展示しました。ヨーロッパの壮大な古典的建築空間と、和の色彩世界の対決と融合は、カラー作品でなくては表現できなかったでしょう。撮影は2009年ですが、発表するのは今回が初めてです(ヴィンテージ)。