本日は日曜ですが]「山田陽写真展 Line1_Lily Grass」開催中のため開廊しています。
(16日まで無休)
作家の山田陽さんも在廊していますので、ぜひ青山にお運びください。

『ことばのポトラック
3.11のかなしみをのりこえるために』


震災後、さまざまな場所で、さまざまな人たちが心をこめて種々の試みを行なっています。
大竹昭子さんもその一人です。
先日、超特急で仕上げた冊子を紙袋に入れて、ついでに請求書と領収書まで(笑)用意周到に大竹さんがいらしてくれました。
ことばのポトラック
『ことばのポトラック』
寄稿者(掲載順)/J.M.G.ルクレジオ、大竹昭子、ピエールバルー、佐々木幹郎、平田俊子、小池昌代、堀江敏幸、古川日出男、管啓次郎、Ayuo、くぼた のぞみ、南映子、東直子、間村俊一、かのう よしこ、潮田あつ子バルー
仕様/20cm×20cm 本文64頁
頒価:1,000円

この冊子ができあがるまでの経緯を大竹さんの文章を再録する形でご紹介します。

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忘れることのできない春になりました。
まもなく桜が咲くというのに、とても楽しむ気持ちになれないほど、心のなかは深い悲しみと不安におおわれています。
想像以上の災害であるのが判明し、直視することのできないほどの悲しい光景がニュースで流れはじめたとき、ふと思いだしたことがありました。悲しみのどん底にあった終戦直後の沖縄で、てるりんこと照屋林助さんは村々をまわって漫談をしました。こんなときにお笑いなんかして、とまゆをひそめる人もいましたが、彼は「生きているお祝いだ」といいながら人々を笑わせてまわったのです。
これまではエピソードのひとつとみなしていたこの話が、今回の災害でリアリティーをもって迫ってきました。悲しくて漫談なんか聞いていられない人もいたでしょう。苦々しい思いをした人もいたかもしれません。でも想像を絶する状況下で、人はそれぞれの抱える事情を生きるしかないのです。てるりんにとって「生きているお祝い」として慰問をおこなうことが自分を生きることだったのでしょう。

連休中、そんなことをつらつらと考えながら過ごしていました。
そして、いま必要なのは震災の情報や状況説明ではなく、心を強めてくれる凝縮された詩の「ことば」なのだと思いいたりました。さっそく詩や短歌を書いていらっしゃる方々に連絡したところ、たちまち10数名の方が出演を名乗りでてくださいました。
今週末、3月27日(日)に「ことばのポトラック」を開催いたします。
これは詩人、歌人、作家、歌手の方々が「ことば」をもちよる集いです。自作詩、翻訳詩、短歌、歌唱など、さまざまなかたちの「ことば」を身に浴びて、心の灯をともしましょう。会場は、ロベール・ドアノーのイベントをおこなった渋谷の「サラヴァ東京」です。
家でひとりで妄想にかられて不安がるより、いまを生きる力をシェアしあう場を!という願いを込めた<カタリココ>番外編へ、みなさまのご参加をお待ちしています。

「ことばのポトラック」 出演者(エントリー順)
 佐々木幹郎(詩)
 管啓次郎(詩)
 古川日出男(散文詩)
 平田俊子(詩)
 東直子(短歌)
 くぼたのぞみ(詩)
 南映子(詩)
 かのうよしこ(歌唱)
 Ayuo高橋鮎生(弾き語り)
 堀江敏幸(詩)
 小池昌代(詩)
 間村俊一(俳句)
 潮田明(翻訳詩)

 大竹昭子
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地震被害による悲しみと不安を突破するのに、いま私たちの心が欲しているのは、情報や状況説明以上に、心を強くしてくれる詩の「ことば」のように思います。緊急に詩人、歌人、作家、歌手の方々が「ことば」をもちよる「ことばのポトラック」を企画しました。さいわい、短時間のうちに多くの方が出演を名乗りでてくださいました。自作詩、翻訳詩、短歌、歌唱など、さまざまなかたちの凝縮した「ことば」を身に浴びて、心の灯をともしましょう。家でひとりで妄想にかられて不安がるより、いまを生きる力をシェアしあう場を!という思いを込めた<カタリココ>番外編です。
3月27日の「ことばのポトラック」の出演者が朗読したことばと書下しのエッセイを掲載、ほかに海外からルクレジオとピエール・バルーが寄稿してくれました。
サラヴァ東京の潮田あつ子バルーさんがダメモトでルクレジオに文章を寄せてくださいとメールしたのは4月、すぐに「よろこんで!」と返事がありましたが、なかなかそれが届かない。もうなしで出そう、というときに到着!すぐに管啓次郎さんが和訳、英語の原文とともに最初のページに載ってます。
正方形の厚さ5ミリの冊子にならんだ総勢17名のことばには、いまの思いが託されてます。記録することの意味を再確認するときが、この先幾度となく訪れるでしょう。
編集にはサラヴァの倉本芳美さんほか思潮社の藤井一乃さんが尽力くださいました。また、寄稿者ごとに文字量が異るというむずかしいレイアウトを見事にクリアしてくれた五十嵐哲夫のデザイン力にも感謝。
みんなの総意によってできたこの冊子は1冊1000円、うち200円が義援金にまわります
大竹昭子

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冊子『ことばのポトラック』はときの忘れもので扱っています。

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